中堅中小企業にも“ガバナンス”は重要だ~リスクヘッジの手段として

会計

会社法の改正に向けての議論が進んでいます。今のところ、上場企業などにおける社外取締役設置の義務付けは見送り、親会社株主が子会社の経営陣の責任を追求できる制度は導入、というのが主な内容です。オリンパスや大王製紙などの不祥事を防止するため、コーポレートガバナンス(企業統治)を強化することを目的としています。

会社法改正の影響は大企業中心になりますが、中堅中小企業の経営にも“ガバナンス”が必要な場面があります。

ある会社の例です。
すご腕創業者が一代で築いた中堅規模の会社があります。関連会社を何社か持ち、全国展開を行ない、数年前までは立派な業績と財務内容を誇ってきました。

しかし、会社を取り巻く環境が徐々に変化し、業績も下降気味になってきた頃に、とうとう、このすご腕創業者が亡くなります。

その後、新経営陣が経営を引き継ぎましたが、業績はさらに低迷し、先行き不透明な状況が続いています。今はまだ、過去の遺産(すご腕創業者が築いた過去の内部蓄積)が残っていますが、このままの状態があと数年続くと考えれば、決して安心していられる状況ではありません。

しかし、良き時代を過ごしてきた新経営陣の殆どは、現状に対する危機感が低いままです。過去と同じように接待費を使い、真実の数値を直視しようとせず、経営課題を解決するような有意義な会議は行なわれていません。それどころか、一部の役員を除けば、役員、経営幹部の多くが自分の立場を守ることを優先しているような状態です。

すなわち、この会社には、適正な“ガバナンス”が存在していないわけです。
“ガバナンス”は決して大企業だけのものではありません。少なくとも、中堅中小企業にもある一定レベルの“ガバナンス”が必要になります。その際には、例えば、次のような点をしっかり押えるべきではないでしょうか。

1.役員会、経営会議など重要な意思決定の場が、議論の場になっているか。
2.経営陣、経営幹部が財務数値を的確に把握し、経営課題を把握できる状態にあるか。
3.経営課題を解決するうえで、PDCA(計画、行動、検証、改善)ができているか。

その会社にマッチした“ガバナンス”(一定の規律を守りながら、相互に協力し、目標に向けた意思決定や合意形成を行ない、円滑な事業経営を行うこと)は中堅中小企業にも非常に重要です。それが出来れば、どのような厳しい状況も必ず乗り越えられるはずです。

筆者紹介

アタックス税理士法人 代表社員COO 税理士 磯竹 克人
1987年 名古屋市立大学卒。税務・会計の業務を中心に数多くのクライアントに対する指導実績を持ち、親切で丁寧な指導が厚い信頼を得ている。現在は、事業再構築支援、事業承継支援、資本政策支援などを中心にクライアントの問題解決にあたっている。
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