管理者こそ“タイムマネジメント力”を磨け!できない人は仕事もできない?

人材育成

閉塞感漂う現在の経済環境の中にあって、企業では業務の高度化・複雑化により仕事環境が一段と厳しさを増し、今の時代に成果を出し続けることは至難の業といえます。

日頃、管理者教育では次のように伝えています。

「過去のどんな時代と比べても、現代の管理者ほど忙しく、難易度の高いスキルを求められる時代はない」と。

しかし、人間に与えられた時間は、昔も今も同じです。貸し借りもできませんし、特別待遇者もいません。1日は24時間であり、1年は365日なのです。

こうしてみると、時間の使い方、つまりタイムマネジメントのうまい下手が、今後益々、仕事の成果を左右するといっても良いのではないでしょうか。いかに有効に時間を使うか、その術を学び実践できる人こそが、大変厳しい環境の中にあっても成果を出し続ける人だと思います。

タイムマネジメント力を上げるためのスタートは、現在の時間の使い方について実態を把握することから始まります。ある企業で、マネージャーに1ヶ月間の行動を行動別に時間入力してもらい、構成比をグラフ化して情報共有するという実態調査を行いました。

マネージャーが、何にどれだけ費やしているかを明確にすることが調査の目的でしたが、結果は予想通り、本部業務や間接業務にとられ、最も大事な「利益の源泉である現場指導」が手薄になっていたことが明確になりました。

本人達も、自分の時間の使い方を改めて“見える化”したことで、時間管理の重要性を再認識し改善に取り組んでいます。これは働き方に自由裁量のある管理者こそ、タイムマネジメントを学ぶことが大切であるという事例です。

タイムマネジメントは、仕事の優先順位づけと計画、その実践にかかっており、決して難しい話ではありません。極めてシンプルです。

この優先順位づけの決め手になるのが、「重要度」と「緊急度」です。一般的には、4象限のマトリックスによって解説されていますが、私達は、「①緊急度が高く重要度の高い業務」を優先に仕事を行います。

次に、多くが、「②緊急度が高く重要度の低い業務」にとりかかるのです。これによって、実は大変重要な、「③緊急度は低いが重要度の高い業務」、例えば「人材育成」や「業務改革」など中期的に成果に影響を及ぼす事項が後回しになってしまいます。

大切なことは、③をいかに計画的に実行するかです。言うことは簡単ですが、なかなか難しい。しかし、時間に限りがある以上、仕事が減らない以上、人に振るか、フォーカスすべき仕事を厳選するかしかありません。

時間が足りなくて困っているという管理者の皆さん、一度、自分の仕事を棚卸ししてみましょう。どこにどれだけ時間を費やすか、その計画にこそ時間を費やし、自己を律して行動することが、現代の管理者に求められるタイムマネジメント力なのです。

筆者紹介

株式会社アタックス 執行役員 中小企業診断士 北村 信貴子
1963年生まれ。中小企業診断士、産業カウンセラー、BCS認定ビジネスコーチ。大手食品メーカー勤務後、アタックス入社。中堅中小企業を対象に経営診断や人事制度設計運用・人材育成業務に従事。現在は、後継者育成、管理者教育、女性リーダー育成を中心に実践型の教育訓練・能力開発に特に注力。講演・セミナー実績多数。受講者との対話を通じて理解を深めていく迫力ある指導には定評がある。
北村信貴子の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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