“理念経営”の真の力!勝ち組グローバル企業の現地視察録

人材育成

一ヶ月前、ブラザー工業(以下B社)の中国における開発・製造・販売子会社を視察しました。

創業は古く、1908年にミシンの修理からスタートしており、現在ではプリンター及び電子文具・工業用・家庭用ミシン・工作機械・業務用通信カラオケシステムなどの製造・販売をグローバルに展開しています。

同社の成功要因の一つは早くから、製造・販売両面でグローバル展開してきたことが挙げられます。

現社長は、20代から米国を中心にグローバル市場で活躍し、経営方針の一つに“真のグローバル化”を掲げています。

またB社は中国へ早くから進出し1990年代前半には製造が2000年代には販売が進出しました。

今回訪れたのは上海にある二つの販売会社、杭州にある開発会社、西安にある工業用ミシンと工作機械の製造工場で、筆者の関心事は海外子会社のマネジメントがどのようになされているのかを現地現物で確認することでした。

上海の販売子会社の董事長(日本の取締役会会長に相当)は日本からの出向者でしたが、総経理(日本の社長に相当)は子会社立ち上げから関与している中国の人でした。

管理職に占める中国人の比率も年々高まっており、現状80%弱とのことでした。

董事長は「子会社を現場の従業員(中国人の社員)一人ひとりが誇りの持てる会社にしたい」と語っており、「進出地域から支持される会社でなければ子会社経営はうまくいかない」と言います。

董事長の経営は日本本社の社長の経営スタイルを踏襲しているように感じました。グループ経営方針を踏まえた上で子会社の経営方針を従業員に示す。

子会社トップとして従業員向のメッセージを毎週ネットで発信する。新入社員教育は自らも講師を努め、グループの日々の意思決定と実行に関する「基本方針」「行動規範」となる「ブラザーグループ グローバル憲章」を伝えています。

またグループ全体の方針でもある環境保護活動も熱心に行い、内モンゴルの砂漠化防止活動を董事長も参加して行います。

進出地域(区)の貧困家庭の子女に学費補助も10年以上まえから継続しており、区の労働組合から「先進企業」として表彰もされました。

この様な社会貢献活動で働く社員が「誇りを持つ」ことになり、間接的ではあるが組織の活性化と、会社に対する高いロイヤリティに結びついているといえます。

働く人のことを第一に考え、大切にする日本的経営をローカライズ(現地化)することが、社員の結束力を高め強い組織づくりになっていると感じました。杭州の開発子会社でもマネジメントスタイルは同様でした。

5年前の進出時から陣頭指揮している現董事長兼総経理を中心に日本人出向者の頑張りは相当なもので、コミュニケーションの活性化、董事長と語る会の開催、董事長からの定期的なネットによるメッセージ発信、グループのグローバルミッションの研修・浸透活動など、ローカル人材が誇りを持って仕事が出来る環境づくりを行っています。

30代の現場リーダー3名から報告を受けましたが、いずれも優秀で正直な所、同世代の日本人と比べるとピリッとしており覇気を感じました。

彼らは工会(組合)のまとめ役、B社の経営方針の浸透のまとめ役などをまかされており、いずれ彼らが子会社幹部となり経営を担う時代が来ると感じました。

西安に進出している工業用ミシンと工作機械の製造工場のマネジメントスタイルも前述の拠点と概ね同じでした。

環境保全活動(植樹)、社会貢献活動(ミシン寄贈、奨学金支給)、家族職場見学会など行われており、進出地区における、高額納税企業に入っており製造工場におけるミッション・中期ビジョンと社員に求める行動基準が全員へ明示されています。

董事長からの説明の後に、広い工場の現場を案内され、筆者は品質管理の徹底と物づくり技術向上のための人材育成に大変力をいれていることを感じました。

B社の監査役が「ミッション・ビジョンが共有され、浸透している子会社のマネジメントは良好である」と語っていたのが印象的で、子会社トップが掲げるミッション・ビジョンにしたがって現地で働く人々が誇りを持って働くことのできる職場づくりが同社の掲げる「真のグローバル化」の原点ということでしょう。

今中国では、稲盛和夫京セラ創業者の経営哲学(フィロソフィ)を信奉する企業家も多いようです。
稲盛氏の経営フィロソフィを一言で述べれば「人間として正しいことをする」「働く社員の物心両面の幸福を実現する」という理念経営です。

長期的観点で会社の存続発展を考え、経営理念をベースとして社員全員を巻き込むミッション経営はグローバルスタンダードであると言って良いでしょう。

アタックスグループでは組織活性化・事業承継など様々な場面で、組織風土改革の支援を行っています。
組織風土診断を実施し経営理念刷新の支援も行っております。

筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー公認会計士・税理士 丸山 弘昭
数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
丸山弘昭の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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