欧州女性役員登用制度はやがて日本にも波及か

人材育成

欧州では、上場企業と公的機関に一定以上の女性役員登用を義務づける制度の導入が加速しているようだ。〈8/18(木)日本経済新聞・夕刊〉
既にベルギー、オランダでは法律が成立し、欧州連合(EU)はEU全域を対象にした法案の検討に入り、役員の30~40%を女性に割り当てる内容のようである。

ちなみに日経記事では、ベルギーは女性役員の割合を30%とすることを義務づける女性登用の「割当制」(クオータ制)を導入、オランダは従業員250人以上の上場企業が対象で、2016年までに30%の女性役員登用を義務づけると紹介されている。

クオータ制は、当初、男女平等という人権上の配慮から制度が広がったようであるが、最近は「企業統治(コーポレートガバナンス)の強化」が主目的になりつつあると解説されている。

確かにコーポレートガバナンスが機能せず経営陣の不祥事が発覚し、会社が経営危機に陥るケースは後を絶たない。

数年前のことになるが、不二家、雪印乳業、赤福、といった誰もが知っている優良企業で不祥事が発覚し、当時の経営陣が大変な思いで経営を立て直した事件があった。「もし生活者視点を持った女性役員が複数名いたら、未然防止できたのではないか」と考えさせられる。

ところで、10年以上前のことであるが、米国の医療事情を視察する研修に参加したことがある。ハワイにある大病院、介護施設などを視察したが、そこで日本と違うなと感じたことがあった。

一つは人種の異なる人々が同じ職場で働いていることであった。これからは日本の職場でも同じ様な状況になると思う。
もう一つは、女性管理職が多く働いていた(記憶では面会したある大病院のTOPは女性であった)ことである。

また昨年、中国に進出している顧問先の工場を、6ヶ月間の現場改善プロジェクトの最終報告会に出席するために訪問したが、ここでも中国人の女性管理職の活躍振りが目についた。なでしこジャパンのサッカーW杯の優勝で、女性の強さを再認識した人も多いと思う。

つまりこれからは、様々な分野で女性が活躍する時代である。企業経営の現場にあってもこの流れは止まらない。

法律で義務づけられているからという消極的な理由ではなく、組織を活性化する、消費者を意識した経営を徹底する、コーポレートガバナンスを強化するといった経営の必要性から女性管理職、女性役員を登用する時代がいずれやって来るのではないか。

特に日本は少子高齢化を迎えており、働き手が不足する時代である。優秀な女性を採用し、戦力化する企業は勝ち組企業となるはずである。欧州の女性役員登用がやがて日本にも波及するととらえ、広く女性を戦力化するという観点で経営を考えて見てはいかがであろうか。

<参考記事>
「女性役員 欧州一気に 30~40%登用義務 各国で導入、EUも検討」
2011年8月18日(木)日本経済新聞 夕刊

筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー公認会計士・税理士 丸山 弘昭
数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
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