ネクストマーケット・ミャンマー 進出成功の鍵は人材の育成

人材育成

政府は民主化に取り組むミャンマーを支援するため、2012年度中にヤンゴン近郊の経済特区の周辺インフラの開発、火力発電所の改修、地方自治体の生活基盤インフラ整備を目的とした500億円規模の円借款を実施するようです。

500億円の円借款は2011年度供与額でみると、2000億円を超えるベトナム・インドに次ぎ、フィリピン・バングラディッシュなどに並ぶ規模で、ミャンマーを生産あるいは消費のニューフロンティアとして注目する日本企業を金融面から後押しすることになります。

今回の円借款が、内需の縮小、長引く円高で閉塞感のある日本企業の海外進出を促進し、再成長への突破口となることを期待したいものです。
ところで、筆者は先月(11月中旬に)ベトナムを訪問しました。訪問目的は、社外監査役を務める上場企業B社の工場と販売会社の現地での活動状況の視察でした。

実は筆者は今から20年前の1990年代の初めにも、ベトナム(ハノイ・ホーチミン)を訪問したことがあります。当時のベトナムは、ドイモイ(市場経済化)政策が5年程前にスタートしていましたが、ベトナム最大都市ホーチミンであっても、町並みはみすぼらしく、日本人が宿泊できる一流ホテルはひとつしかありませんでした。またホーチミンの町には日本の電機メーカーの看板はよく見かけましたが、日本企業の進出はそんなに多くはありませんでした。

ところが、今回の訪問ではホーチミン市内には、一流ホテル・高層・中層ビルが数多く立ち
並び、ホーチミン市内から車で1時間程の工業団地にあるB社の工場へ向かうと、途中には高層マンションが建設され、あるいは建設中でまさにその経済成長ぶりがうかがえました。

またB社の位置する工業団地は、日本の商社が中心で開発された広大なものでした。日本企業の工場進出も約50社に及んでおり、日本企業にとってベトナムが生産基地あるいは、販売市場として有力な進出先であることを目の当たりにしました。

ミャンマーの話題を戻しましょう。今ミャンマーの経済・社会情勢は20年前のベトナムといってもいいでしょう。今後、自社の存続を掛けて、ミャンマーへの進出を考える日本企業は、急速に増えるであろうし、先行者利益も得やすいのではないでしょうか。

ところで、これから海外進出を考える企業は、海外で通用するグローバル人材の育成を加速させるべきです。

今回筆者は、B社の工場を2箇所(ハノイ・ホーチミン郊外)、販売会社(ホーチミン市内)を視察しましたが、日本からの出向者が現地に根付いて活躍していました。彼らのキャリアを尋ねてみると、会社が若い時から、グローバル人材として海外経験をさせています。仕事人生の大半を海外で勤務しています。何人かの工場の現場マネジャーは、初めての海外赴任ではあると言っておりましたが、その前に長期海外出張を行い、現地工場の指導をしていました。いずれにしても、豊富な海外経験を積んでいました。

そして、B社の現地トップは日本企業の強みである「お客様を決して裏切らない」「働く社員(当然のことながらローカルの人を考えて)に誇りと満足を」「チームワークで仕事を」といった、経営方針を立て、長期時視点に立ってマネジメントを行っていました。

お客様と働く人々を大切にする日本的経営の原点を忘れないことが海外進出でも重要であると実感しました。日本的経営は、21世紀のグローバルスタンダードの経営モデルとなるのではないでしょうか。

筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー公認会計士・税理士 丸山 弘昭
数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
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