今こそ事業承継を!〜新しい視野で事業展開するために

事業承継

最近、M&Aの相談件数が急増しています。1日2件もの相談を受けるときもあります。多くが後継者不在で、現社長が今後の選択肢の一つとして、M&Aを検討されるというケースが大半であり、M&Aというツールの社会的認知が高まってきたことを窺わせます。

現在、相続税の基礎控除の引き下げ、最高税率アップの税制変更が協議されていますが、実行となれば税負担が増えることは間違いありません。一方で、事業承継税制の要件緩和も検討されています。

事業承継税制とは、簡単に言えば、中小企業の後継者が一定の要件を満たせば、非上場株式にかかわる相続税の8割を猶予することができるという税制です。

現社長は、後継社長をどうするかという問題と同時に、相続税にどう対応していくかなど、事業承継に関する課題は増える一方です。

M&Aが活発になり税制も変わったから事業承継を考えよう、というのは私から言わせると、短絡的な考えだと思います。リーマンショックが起こり、東北大震災が起こりました。

中国を先頭にアジア各国が歴然と力を持つという現実の中で、日本の人口は、平成17年の1.2億人をピークに今後、減少が予想されています。(昭和25年約8000万人→平成17年約1.2億人→平成77年約8000万人。総務省統計局データ ) 戦後、日本が高度成長してきた環境下とは全く違うことは明らかです。

戦後、日本経済は右肩上がりの経済環境下で、企業はビジネスモデルを構築してきました。頑張れば頑張った分、売上も利益も上がった時代です。しかし、前述したように経済環境は大きく変わりました。

今では右肩下がりの経済環境下を前提とした新しいビジネスモデルの構築が強く求められています。その中で、新しいモデルを考える際に、右肩上がりの経済環境での成功体験が、邪魔になるようなケースも多分に見受けられます。

このような経済環境下だからこそ、旧来の枠組みにとらわれることなく、新しいビジネスモデルの構築に足を踏み出すことが大切であると思いますが、それでは、誰がその新しいビジネスモデル構築を担うべきでしょうか。

それは、後継者です。
現社長が新しいビジネスモデルを作り上げていくのも一つの方法ですが、現社長の命に限りがあるのも事実です。ならば、いっそのこと思い切って後継者に事業をバトンタッチし、新しい視点で事業展開をして行くのも有効な選択肢ではないでしょうか。

社会のインフラであるM&Aや税制を活用しながら、今後の自社の将来のあるべき姿また新しい視点でビジネス展開を考えるところから、事業承継のプロセスは始まります。それは、まさに今なのです。

筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー 公認会計士・税理士 林 公一
1987年 横浜市立大学卒。KPMG NewYork、KPMG Corporate Finance株式会社を経て、アタックスに参画。KPMG勤務時代には、年間20社程度の日系米国子会社の監査を担当、また、数多くの事業評価、株式公開業務、M&A業務に携わる。現在は、過去の経験を活かしながら、中堅中小企業のよき相談相手として、事業承継や後継者・幹部社員育成のサポートに注力。
林公一の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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