「話し方」はこうして磨く!~話の材料を集めて感性を養おう!

人材育成

皆さんは、会社の朝礼で何を話してよいかわからない、人と話をしようとしても全然言葉が出てこない、という経験をされたことはありませんか? こうした悩みを持っている人は意外に多いようです。その原因は、「話す話題が見つからない」ということにあります。今回はこの話題の見つけ方についてお話します。

朝礼などでスピーチの順番が回ってきてから「何を話そうか」と考えても、多くの場合、すぐに話題は浮かんできません。何も思いつかないまま時間だけが過ぎていき、あせりも高まります。 結局、自分でも余り納得できない話をすることになってしまい、その結果、人前で話すことが苦手、嫌いになる。こういう人は少なくないようです。

話のネタは、話すことが決まってから探すのではなく、日常の生活の中から見つけてストックしておくことが大切です。 つまり、日常の「自分の体験」、「人の話」、「見たもの・読んだもの」などで、ちょっと心に残ったものがあれば、それをメモしておくのです。

話の材料集めの第一歩は、材料を集めようと常に意識することから始まります。 なお、「自分の体験」は、決して仰々しいものではなく、日常の生活の中で少し心に残ったようなものが対象になります。例えばこのようなものです。

●定例的にこなしている仕事のやり方をちょっと工夫したところ、今までの半分の30分で終えることができるようになった。
●予約した新幹線に乗り込んだところ、自分の指定席に人が座っていた。チケットをよく見てみると、予約したのは1本前の列車だった。

こうした体験は、ともすれば心に留めないで忘れてしまいがちですが、メモしておくことで立派な話の材料になります。

ところで、メモをする際にとても重要なことがあります。それは、その話題について、自分なりの解釈や意見を添えておくことです。 仕事を工夫したことや、新幹線の席を間違えたことなど事実を書いただけでは話の材料になりません。それだけを話しても、聞いた人は「それで?」という反応になるだけだからです。

事実を言っただけでは単なる報告です。話をするということは、自分の考えや気持ちを聞き手に伝えることであり、それらが伝わってはじめてコミュニケーションが成立します。

更に、スピーチなどでは、事実を解釈して「示唆」を導き出さなくてはいけません。でないと、聞き手はあなたが何を感じ、何を考えたのかわからない、つまりあなたが何を言いたいのかわからないということになります。 「自分の体験」は、この思いや考えが出しやすいため、スピーチのネタにしやすいのです。

しかし、「自分の体験」以外でも思いや考えは盛り込むことができます。 少し前に放映された「コードブルー -ドクターヘリ緊急救命-」というテレビドラマの中で印象的なシーンがありました。 ある工事現場で事故が発生し、駆けつけたレスキュー隊員も救出活動中に負傷してしまいます。その隊員が担架で運ばれるときにこういう話をしました。

「レスキューの現場に条件のいいものなどない。言い訳しようと思えばいくらでもできる。でも、言い訳する奴に命を預ける奴なんているか?人は起きたことはすべて自分の責任だと言い切れる人に命を預けたいと思うはずだ」

私はこの言葉に感動し、自分に関係することは全て自分にも責任があると思う、仕事にはそれくらいの厳しさで臨むべきだ、といった感想とともにすぐにメモしました。 それから道を歩いている時、電車に乗っている時にふと、このシーンを思い出し、自分の考えや思いを付け足しました。

「責任を持てるかどうかは当事者意識にかかっている」とか「自分にはこの当事者意識が足りない場面が多々あるはずだけど、自分ではそれが認識できていない。それを見つければ更に成長できるかも知れない」など。

このように、「人の話」や「見たもの・読んだもの」でも、ちょっと心に残るものを思いや考えとともに記録しておく。そしてそれを思い返すことで、考えや思いを深めることができます。

材料集めを常に意識する

心に残ったものを思いや考えとともにメモする

メモしたことを振り返って思いや考えを深める

こうした習慣を身につければ、スピーチや日常会話での話題に困ることも少なくなるでしょう。そればかりではなく、自身の物事に対する感性も磨かれていくはずです。そして、この感性こそが自身を成長させる糧になるのです。 皆さんも自身の思いや考えを添えた話の材料集めを習慣にしてみませんか?

日本話し方センターの話し方教室では、話の材料集めの方法から、その材料をもとにした話の組み立て方、人の心に響く話の仕方など、話し方全般について、じっくりと学べます。また、人間関係をよくするものの考え方についても、しっかり学んで頂けます。ご興味がおありの方は是非ホームページをご覧ください。

筆者紹介

l_yokota

株式会社アタックス 執行役員 グループサポート本部 本部長
株式会社日本話し方センター 代表取締役社長 中小企業診断士
横田 章剛
1983年 神戸大学卒。メガバンクで、国内・海外の勘定系システムの開発、ガバナンス業務、銀行決算・銀行税務の取り纏めなどに従事。2007年 アタックスに入社し、グループ全体の経営企画、総務、経理、法務等の間接部門を統括。

タイトルとURLをコピーしました