後継者のあなた「拡大」「維持」「縮小」どのタイプ?~中小企業白書調査結果より

私は、定期的に中小企業白書を読み返しているのですが、今回は、2019年版「中小企業白書」の中で気になった箇所をご紹介します。

2019年版中小企業白書は、中小企業の事業承継にスポットを当てて、経営者の円滑な世代交代や、経済・社会構造の変化に合わせた自己変革の取組みについて分析が行われています。

特に第2部第2章では、起業や事業承継により、新しく経営者になる人に着目して分析がなされています。

後継者のあなたはどのタイプ?

その中で、後継者が事業を継いだ後の経営課題として重要と考えているものをアンケートした結果が出ています。後継者のタイプを拡大型・維持型・縮小型に分類して記載されています。

拡大型の後継者が経営課題と考えているものを上位からみると、

(1) 新しいマーケットの情報収集・・・50.0%
(2) 既存マーケットの将来性の見極め・・・35.3%
(3) 役員・従業員からの理解・・・35.0%
(4) 現経営者からの理解・・・32.5%
(5) 資金調達・・・31.9%

となっており、
マーケットという外部環境の変化を重要視する傾向にあります。

一方、維持型の後継者を見てみると、

(1) 現経営者からの理解・・・20.7%
(2) 役員・従業員からの理解・・・18.1%
(3) 既存顧客・取引先との関係・・・17.6%
(4) 資金調達・・・17.2%
(5) 新たな専門知識・技能の習得・・・15.9%

となっており、
外部環境より内部環境を重要視する傾向にあります。

ちなみに、縮小型の後継者を見てみると、

(1) 資金調達・・・21.1%
(2) 既存マーケットの将来性の見極め・・・14.0%
(3) 現経営者からの理解・・・12.3%
(3) 役員・従業員からの理解・・・12.3%
(3) 既存顧客・取引先との関係・・・12.3%

となっています。

それぞれの型ごとの特徴が出ていますが、全ての型で共通して重要視されている項目が、「現経営者からの理解」と「役員・従業員からの理解」の2つです。

後継者という立ち位置から考えて、「現経営者からの理解」は納得の結果ですが、多くの後継者は「役員・従業員からの理解」を非常に重要な経営課題だと考えています。

この点について中小企業白書では、「社内での衝突を防ぐためにも、あらかじめ話合いを進めておくことが重要といえよう」と簡単に分析していますが、実際の企業経営において「役員・従業員からの理解」を得るのは非常に難しい問題です。

重要な経営課題を乗り越えるには

私は、職業がら、様々な会社の経営会議に参加させていただきますが、後継者に限らずこの部分で大変ご苦労されている経営者が多くいらっしゃると実感しています。

経営者の考えを一方的に伝えるだけでは駄目で、しっかりと腹落ちしてもらわないと意味がありません。

また、伝える内容も
・経営理念
・ビジネスモデル
・社長のリーダーシップ
・仕事の仕組化
・社員の労働環境
など多岐にわたります。

特に難しいのが、それぞれの内容を役員と社員がどの程度まで理解しているのか、また、どのように感じているかを把握することです。

つまり、経営者と役員・従業員との間でどの程度考え方にギャップがあるかを認識することが重要です。

間違った状況認識に基づいた打ち手は、逆の効果を生み出してしまう可能性があるからです。

一方、巷にあふれる組織風土診断やモラルサーベイでは、診断の仕組みや目的が異なっているため、経営者が意図する診断結果を得ることは難しいといえます。

役員や従業員の声を傾聴し、経営に真摯に生かしていくことはとても重要ですし、今後の厳しい経営環境を乗り越えていくには、経営者・役員・従業員が一枚岩となることが必要です。

アタックスグループでは、組織風土診断やモラルサーベイでは得ることが難しい統合的な診断も行っています。ご興味がありましたらこちらからお問い合わせください。

筆者紹介

アタックス税理士法人 税理士 海野 大
1996年 法政大学卒。税務顧問業務をはじめ、税務コンサルティング業務や組織再編実行支援業務のプロジェクトリーダーとして活躍中。税務指導のほか、経理業務改善、経営財務面からの強い会社づくりにも注力している。
海野大の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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