PDCAサイクルはもう古い?OODAループで不確実な時代を生き抜こう!

経営

OODAループ(ウーダループ)という意思決定手法をご存知でしょうか。

アメリカ空軍のジョン・ボイド大佐が提唱し、アメリカ海兵隊で採用され、湾岸戦争などでも成果をあげ、現代では民間企業にも採用されています。

軍事的な観点から生まれている背景から想像できるとおり、急激な変化にさらされる環境下において、特に効果を発揮しやすい意思決定手法です。

詳細は後程触れますが、OODAループは、以下4つの要素で構成されます。

Observe(観察)→Orient(情勢判断)→Decide(意思決定)→Act(行動)

コロナ禍ではPDCAサイクルは通用しない?

このような4つの要素の意思決定手法というと、PDCAサイクルを思いうかべる方も多いのではないでしょうか。

私自身、多くの中堅中小企業のご支援に携わらせていただいておりますが、特に震災や新型コロナといった有事においては、P(計画)からはじめる意思決定プロセス一辺倒では、成果を生むことが難しいことを痛切に実感しています。

話題のドラマ「半沢直樹」でも取り上げられているように、業績が悪化し資金繰りに窮した企業の事業再生に対して、実抜計画(実現可能性の高い抜本的な経営再建計画)を策定し、金融機関をはじめとした関係者の支援をもとに、PDCAサイクルを推進し、業績改善を実現するという事業再生の枠組みが存在しています。

一方、新型コロナの発生以降、「実現可能性の高い抜本的な計画」の策定が困難な企業が多い状況です。

暫定的に、国の公的機関である中小企業再生支援協議会を通じた、新型コロナ特例リスケジュール(最大1年間の返済猶予)の活用が中心となっています。

こういった事業再生の動向からも、先が見通せない中では、有効なP(計画)が立案できず、そのため関係者の合意形成や経営改善の実現ができない、ということが読み取れます。

なお、私は決してPDCAサイクルではダメだ、とは思っていません。状況や目的に応じて他の有効な手法にも目を向ける必要があると思っています。

先に述べたとおり、OODAループは「観察」→「情勢判断」→「意思決定」→「行動」の4つのプロセスで構成されています。

観察

自社に影響を与える内部・外部(市場・競合)のデータが何か定義し収集する
例)得意先の生産計画、得意先の在庫状況、建築着工件数等の市場データ等

情勢判断

収集したデータが何を意味するか解釈し、進むべき方向性の「仮説」を立案する
(データを価値のあるインフォメーションに変換する)
例)得意先の在庫減少に合わせて、自社の稼働を考えると見込生産が必要

意思決定

どの仮説に基づいて行動するか決定する
例)見込生産として50t製造する

行動

意思決定に基づき行動をやりきる行動の情報を観察データとしてフィードバックする

OODAループの重要な3つのポイント

綿密な「計画」を起点に行動するPDCAサイクルに対して、OODAループでは、「観察」つまり環境変化を前提としていることに大きな違いがあります。

OODAループを有効に機能させるうえで重要となるポイントは以下の3点です。

変化を前提とし、想定外の想定内化に注力する

自社の売上動向や在庫情報のみで生産計画を策定している場合と、得意先の売上動向や在庫状況を掴んで生産計画を策定している場合とでは、どちらがより成果が出るでしょうか?

当然後者ということになります。

難しいことではありますが、これまで想定外(わからない)であった事象を想定内(完全ではないが仮説を立てられる)に変えていく、「観察」「情勢判断」の強化が成果に大きな差を生み出します。

勝つ(負けない)ために小さな失敗を繰り返す

環境変化が激しい中では、「小さな失敗を繰り返す=絶対的な行動量を確保する」ことが、大きな成果を生み出します。

足元の事例で言えば、中堅中小企業でもWebミーティングを活用したリモートセールスへの取組みの着手の速さ、試行回数の確保によるノウハウ蓄積により、足元の受注見込に大きな差が出ています。

チームに権限を委譲しスピードを重視する

トップから縦長での意思決定プロセスでは、情報の鮮度の低下、スピードの低下、責任の分散により、上記2につながらずOODAループは機能しません。

トップはミドルに対してミッション(使命)を明確にすることと、致命的な失敗の発生の回避に注力し、トップと現場の相互信頼をベースに、現場感を持ったミドルを中心としたチームでスピーディにループを回すことが重要となります。

PDCAサイクルとOODAループの適用場面

最後にPDCAサイクルとOODAループそれぞれに適した目的(適用場面)について触れておきます。

【不確実性の低い環境に適したPDCAサイクル】
 ・単年度予算運用
 ・人事評価制度における成果指標
 ・中期経営計画の方針管理
【不確実性の高い環境に適したOODAループ】
 ・製造・営業といった現場判断
 ・新規事業運営
 ・研究開発
 ・有事の際の短期方針管理

こういった意思決定手法やフレームワークを組織全体に浸透させるには時間がかかりますが、まずは部分的な場面(目的)で、2つの意思決定手法の使い分けに取り組まれてはいかがでしょうか。

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 取締役
中小企業診断士 平井 啓介
業務系システムを扱う大手システムベンダーを経てアタックス入社。 システムエンジニア時代は、会計システムを中心に、中堅中小企業~上場企業まで業種を問わず、約60社の業務改革を支援。システム企画~導入・運用支援まで、プロジェクトマネジメントのみならず、現場の実態を理解したうえでのサポートを得意とする。アタックス参画後は、システムエンジニア時代に得たITスキル、ロジカルシンキングスキルを応用し、業績管理制度構築サポート、業務プロセス改革サポート(BPR)、事業再生サポートに従事。経営者、管理部門責任者の相談相手に注力している。
平井啓介の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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