中期経営計画を動かすカギ!KPIを用いた指標設計の極意

経営

経営計画や事業計画策定のご支援の際、次のような悩みをよくお聞きします。

「計画を作成したが、社内に定着せず、イマイチ成果が感じられない。」
「せっかく立てた計画が社員に上手く伝わらず、現場に十分に落とし込めない。」
「P(Plan)D(Do)C(Check)A(Action)の経営サイクルが途中でストップしてしまい、上手く回らない。」

今回は、そのような悩みを解決するための1つの手法として、計画を動かすカギとなる「戦略指標」の活用方法をご紹介します。

戦略指標とは何か?

戦略指標は、「社員全員で追いかければ、戦略・計画が自律的に実行される数字」です。戦略・計画を数字で表したものになります。

戦略指標は、
ROA(総資産営業利益率)や売上高営業利益率等の最終成果指標(KGI *1)ではなく、
途中の活動プロセスをマネジメントするプロセス活動評価指標(KPI *2)です。
*1:KGI・・・Key Goal Indicators
*2:KPI・・・Key Performance Indicators

つまり、自社の経営、事業、ビジネスモデルにとって、業務を行う上で、一番重要な数値指標(KPI)を特定し、その戦略指標を全社員でトコトン追いかけて行きましょう、というマネジメント手法です。

具体的な戦略指標の例

では、「日本女子バレーはなぜ強くなったのか?」を題材として、戦略指標マネジメントを見てみましょう。

◇従来の日本女子バレーの課題は?
⇒スピードバレーが出来ていなかったこと。

◇スピードバレーとは何か?
⇒トスを上げてからスパイクを打つまでの時間を早くして、レシーブする余裕を与えないこと。

◇考えられた戦略指標(KPI)は?
⇒トスを上げてからスパイクを打つまでの時間(秒)(※ビデオで測定)。

◇戦略指標の目標値は?
⇒1秒以内。

◇どのように努力したか?
⇒1秒以内で打てるようにビデオで測定しながら猛練習。

上記の例で、戦略指標マネジメントのイメージを持っていただけたと思います。

戦略指標で成果を出している企業事例

次に、戦略指標を追いかけて、最終成果を上げている企業の事例を幾つかご紹介します。

◇日本一の旅館として有名な温泉旅館K社
お客様の個別ニーズに徹底的に応えて差別化するのがK社の戦略ですので、「客室係の接客時間」が成功のカギとなります。他部門も含め、全社をあげて客室係の「接客時間」を追いかけています。

◇運輸サービスY社
配送地域、トラック積載などのあらゆる場面で、「密度」を追いかけています。

◇菓子メーカーK社
原料仕入、生産、物流の上流から下流のあらゆる業務プロセスで一貫して、「鮮度」を追いかけています。

◇コンビニエンスストアS社
天気・当該地域の祭事等の多様な情報収集・分析を基に、仮説・検証作業を繰り返して、各店舗での「商品発注精度」を追いかけています。

◇野菜宅配サービスO社
お客様の嗜好データを分析し、「一度食べたらやみつき率」を追いかけています。

◇鉄鋼メーカーJ社
業務プロセス毎の収益改善活動を通じ、「発生責任部門別在庫量」を追いかけています。

◇鉄鋼メーカーU社
生産・販売・物流の業務プロセスを統合的に革新し、「製品別利益速度」を追いかけています。

◇回転すしS社
流す寿司ネタを350mで廃棄、過去データから時間ごとの来店客が求める寿司ネタなどを予測するシステムを活用し、「廃棄率」を追いかけています。

どのように戦略指標を決めればよいか?

私たちが開催している『アタックス社長塾』でも、戦略指標(KPI)の考え方を伝えています。
その導入の一部を紹介します。
「戦略的損益分解ツリー(プロフィットツリー)展開」という基本的な考え方です。

最上位目標指標(KGI)に営業利益を設定し、その構成要素にブレークダウンします。
営業利益=粗利益-販売費および一般管理費さらに、粗利益=売上高×粗利益率 売上高=単価×数量に分解します。
また、販売費および一般管理費=人件費+広告宣伝費+その他費用項目に分解します。

「このツリーの中で、どの指標項目を戦略指標(KPI)として改善・コントロールしていく対象とするか?」を考えていく手法です。
戦略的損益分解ツリーの切り口は、企業それぞれの問題点・課題に即した独自の切り方に修正します。そして、そのツリーの中で各社独自の「戦略指標」を設定し、追いかけて行きます。

皆さんの会社では、PDCAサイクルを確り回し、成果を上げていくために、どのような「戦略指標」を全社員で追いかけますか?

アタックスグループでは、全社員で「戦略指標」を共通言語として追いかけ、経営成果を確実に上げていくために、中期経営計画策定・運用や業績管理制度(管理会計)導入支援プログラムを提案しています。

【中期経営計画策定・運用】
【業績管理制度(管理会計)導入】
ご検討頂ければ幸いです。

筆者紹介

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アタックスグループ アタックス社長塾 主席コンサルタント 西公通
1992年 一橋大学卒。IBMビジネスコンサルティングサービス、国内外戦略系コンサルティング会社にて成長戦略、企業変革、新規事業開発支援、博報堂ブランドコンサルティングにてブランド戦略に従事。アタックス参画後は、中堅中小企業の経営サイクル改善、事業利益モデル改革支援業務の他、現在は、アタックス社長塾プロデューサーとして活躍中。
西公通の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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