本気で進める「働き方改革」~生産性向上の鍵「約束」を守る!

経営

2018年版の中小企業白書はご覧になられたでしょうか?

その中で、主な課題提起として挙げられているのが、「大企業と中小企業の労働生産性(従業員の労働時間1時間あたり付加価値)の格差の広がり」です。
※[出所・定義] 2018年版「中小企業白書」

2009年度の時点でも中小企業の労働生産性は大企業の約50%と大きな差がありましたが、2016年度では約40%となっています。

リーマンショック以降、大企業は労働生産性が改善に向かっている一方で、中小企業はほぼ横ばいであり、この格差は徐々に広がってきています。

また、中小企業の設備投資目的の統計を見ると、維持更新目的の回答比率が46%(2007年)→54%(2012年)→57%(2017年)と年々高まっており、前向きな投資というよりは、現状維持が精一杯な企業が多いというのが見て取れます。

一方で、労働生産性向上に成功した企業は、現状維持企業と比較して、特に人財育成、IT化投資、研究開発投資に積極的に投資を行っているという統計も出ています。

積極投資したいという思いは多くの経営者にありながらも、経営資源(特にカネ)の問題で維持更新投資や、成果が明確な設備投資に留まらざるを得ないのが実情です。

最近、特に強く感じるのが、経営資源に限りがある中でも生産性向上や経営目標達成を実現している企業には、以下のシンプルな共通点があるということです。

「約束を守る」

そんなことは生産性云々の前に、出来て当然、当たり前にできていると感じられる方は、極端に言うと他社に比べて生産性は相応に高い状況にあると考えていただいて差支えないのではないでしょうか。

「約束を守る」ということは、仕事のうえで当たり前のことです。
しかし、以下の時代背景も相まって、良くも悪くも、当たり前が当たり前ではない環境になっているのが実情と感じています。

【経営者側面】
事業承継(創業社長から2代目への引継ぎ)が進み、初代ほどのカリスマ性を発揮するのが困難なこと

【マネージャー側面】
パワハラに代表される労働問題がメディアでも頻繁に取り上げられ、部下に厳しく接することが難しいこと

【従業員側面】
働き方や価値観の多様化が進んでいること

近年、経営計画策定、業績管理制度構築、PDCA推進といった仕組みづくりの分野では、多くの書籍も出版されています。
これによって、各企業の特にP(計画)、 C(評価)、 A(改善策立案)のプロセス品質は総じて上がっています。

しかし、筆者は、上記時代背景も相まって肝心のD(実行)の「決めた行動をやり切る=約束を守る」という組織風土が崩れているように感じています。

例えば以下のような事例に陥っているケースを目にします。

◆P(計画):
来月末までに新製品案を3つ考えましょう

◆D(実行):
生産が忙しくて出来ませんでした

◆C(評価):
計画に対して△3製品ですね

◆A(改善策立案):
納期を延ばすので来月末こそ新製品案3つお願いします

◆D(実行):
クレーム対応が入って忙しかったのですが1つだけできました

◆C(評価):
計画に対して△2製品ですね

◆A(改善策立案):
現場も忙しいので今出ている1案の有効性について検討しましょう

これではせっかくいい仕組みや計画があっても、コストをかけずに向上するはずの生産性や利益までもが上がってこないという状況が発生してしまいます。

例えば上記のケースの問題点は、C(評価)がA(改善施策立案)を行うためのものになっており、P(計画)の目標を実現するD(実行)を担保するためのC(評価)になっていないことです。

C(評価)を週次や日次といった短いスパンで介入し、実効性を担保するためのフィードバックを行っていくことが必要となります。

経営資源の豊富な企業であっても、経営の仕組みや、AI・RPA・IOTに代表されるような情報関連投資といった有益なインフラが市場に揃ってきている今だからこそ、それらを活かす基盤となる「約束を守る=やるべき事をやり切る」という面に改めて注目してみてはいかがでしょうか。

アタックスでは、計画策定制度構築だけでなく、研修・現場指導・クラウド実行支援ツール活用をとおして、約束を守る(やるべき事をやり切る)組織への変革を支援しております。

・経営計画を立てても実行されない
・会議を繰り返しやっても報告会になり物事が前に進まない
・目標管理制度(MBO)を導入したがうまくいかない
・プロジェクトがスケジュール通り進まない

こういったお悩みをお抱えでしたら、
弊社までお気軽にお問合せください。

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 執行役員
中小企業診断士 平井 啓介
業務系システムを扱う大手システムベンダーを経てアタックス入社。 システムエンジニア時代は、会計システムを中心に、中堅中小企業~上場企業まで業種を問わず、約60社の業務改革を支援。システム企画~導入・運用支援まで、プロジェクトマネジメントのみならず、現場の実態を理解したうえでのサポートを得意とする。アタックス参画後は、システムエンジニア時代に得たITスキル、ロジカルシンキングスキルを応用し、業績管理制度構築サポート、業務プロセス改革サポート(BPR)、事業再生サポートに従事。経営者、管理部門責任者の相談相手に注力している。
平井啓介の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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