貴社のビジネスモデルはコロナ終息後も通用しますか?

経営

注目すべき中小企業等事業再構築促進事業とは

1月28日に2020年度第3次補正予算が可決成立しました。

昨年の12月に閣議決定されたのちに新型コロナウイルスの感染者が急増したこともあり、GOTOトラベル等に対する予算措置に批判もありましたが、政府案通り可決されました。

総額19兆1,761億円の内訳は以下の通りです。

  • 「新型コロナウイルス感染症の拡大予防策」4兆3,581億円
  • 「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現」11兆6,766億円
  • 「防災・減災、国土強靭化の推進など安全・安心の確保」3兆1,414億円

そのうち、企業経営に直接関係してくると考えられる経済産業省関連の予算は4.7兆円です。

その内容は、
「デジタル改革」に1,356億円、
「グリーン社会の実現」に2兆37億円、
「中小企業・地域」に2兆2,206億円、
「サプライチェーン強靭化・多元化」に2,225億円
となっています。

その中で特に筆者が注目しているのが、上記の「中小企業・地域」の中のひとつである「中小企業等事業再構築促進事業」です。

この施策は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業が実施する新規事業分野への進出、業態転換、事業・業種転換、業界再編、又はこれらの取り組みを通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等を補助金の支給で支援するというものです。

補助金の金額は、企業規模や事業規模の拡大を図るか否か等で違いはありますが、中小企業(通常枠)で100万円~6,000万円(補助率3分の2)となっています。

経済産業省からは、以下のようなケースが例示されています。

  • 小売店舗による衣服販売業がネット販売やサブスクサービス事業に進出
  • ガソリン車の部品を製造しているメーカーがEVや蓄電池に必要な部品の製造に進出
  • 航空機部品を作っている会社が新たな設備を導入してロボット関連部品・医療機器部品の製造に進出
  • レストランが店舗を廃止し、オンライン専用の注文サービスを新たに開始

特に筆者が注目しているのがその予算規模で、1兆1,485億円と非常に多額になっています。

これは、経済産業省が計上しているもののなかでは、「グリーンイノベーション基金事業」の2兆円に次ぐ規模の施策です。

仮に1件あたり6,000万円と仮定すると、約19,000件という件数になります。

補正予算から見る今後のビジネス

このような施策に多額の予算を配分しているということは、国としても、コロナ禍を機に多くの企業が事業環境の変化に直面し、このままのビジネスモデルでは立ちいかなくなるという危機感を持っていることの表れかと思います。

そもそも、コロナ禍によって脚光を浴びるようになったテレワークという働き方やUber Eatsに代表されるようなデリバリーは、コロナ禍前から存在していました。

テレワークは、コロナ禍前から働き方改革や地方創生という観点から推進されていましたが、思うように浸透していませんでした。

それがコロナ禍によって、強制的にテレワークを導入せざるを得なくなっただけのことであり、コロナ禍が終息したのちもテレワークという流れは変わらないと思われます。

また、Uber Eats等のスマートフォンを使ったデリバリーも、その利便性から、コロナ禍前にもスマートフォンの利用になれた若者を中心に利用されていました。

ところが、コロナ禍で外出がしづらくなったことを機に、これまで利用していなかった人が利用し始めています。

これまでは何となくの抵抗感や使い方を知るための煩わしさから利用していなかった人が、コロナ禍を機に利用の仕方を覚え、その利便性に気付いたのですから、食事のデリバリーという形態もコロナ禍が終息してもその流れは変わらないと思います。

筆者が関与している企業では、コロナ禍により売上が前年比5割程度まで落ち込みました。

前回の緊急事態宣言の際には、コロナ禍が落ち着けばある程度売上は回復すると考えていました。

しかし、前回の緊急事態宣言が解除され、GOTOトラベル等の施策で街中に人通りが戻ってきても売上は大きく改善しませんでした。

そのため現在は、売上が前年ほどは戻らないという前提で事業の在り方を抜本的に見直しています。

今回のコロナ禍はリーマンショックの時とは違い、明らかに事業環境の変化をもたらしていると考えられます。

改めて、コロナ終息後の自社の事業環境を冷静に見つめなおし、自社のビジネスモデルはコロナ終息後も持続可能かを真剣に考えてみてください。

なお、今回ご紹介した中小企業等事業再構築促進事業は、その申請に認定経営革新等支援機関や金融機関と一体となって策定した計画書が必要です。

弊社も認定経営革新等支援機関になっております。ご興味があればぜひこちらからご相談ください。

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 執行役員 中小企業診断士 伊原 和也
1996年 武蔵大学卒。大手ノンバンクを経てアタックス入社。中堅中小企業を中心に企業再生支援、M&A支援、中期経営計画策定支援および株式公開支援等を中心にプロジェクトマネージャーとして活躍中。
伊原和也の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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