中国ビジネスに好影響?~相次ぐ減税策が意味するもの

税務

中国では最近、相次いで減税策が打ち出されています。
中国に出張すると景気が落ち込んでいるようには思えませんが、国際貿易を取り巻く環境変化に対する事前策なのかもしれません。

主な減税政策をご紹介します。
中国に進出している企業や、輸出している日本企業も多いと思いますので、今後の戦略検討の参考になればと思います。

【1】増値税率の引き下げ
増値税は日本の消費税のような税金です。
中国ではモノの売買にかかる増値税率は17%でした。
これが16%に減税されています。
たった、1%ではありますが、負担する個人消費者にとってはプラスになります。

【2】アニメ業界の増値税減税が継続
ソフト産業育成のため、この業界はもともと増値税が優遇されていましたが、その法律が2017年末で期限切れとなり、継続するかどうか注目されていました。
結局継続となり、増値税3%分が即時還付されます。
知的財産権についても、法律上は保護強化の方向で進んでいます。

【3】物流企業の土地使用税や車両取得税の軽減
企業の物流コストを下げるため、物流企業が負担する税金を軽減します。
土地使用税が半減、車輛取得税も半減です。
いずれも期間限定の政策です。
また、省境にある高速道路の料金所を廃止する政策もスタートします。
中国で操業する日系企業にとって物流コストが下がるのはプラスです。
中国はネットショッピングが盛んですので、物流コスト削減は効果がありそうです。

【4】企業所得税における社員教育費の損金算入限度額のアップ
中国では、社員教育費は全額が損金算入できるわけではありません。
上限があり、これまでは人件費総額の2.5%が限度額でした。
これが8%にまで引き上げられます。
減税効果と同時に社員育成面でも好影響になりますので、一石二鳥です。

【5】設備や器具の即時償却
単価500万元以下の設備や器具が即時償却できるようになります。
500万元超えは、条件を満たせば加速償却ができます。
設備投資が刺激されそうです。

【6】医薬品関連の関税率引き下げ
医療は重要な分野となっています。
産業育成の面だけでなく、人民の健康を守る面でも重要視されています。
これらのことから、抗がん剤などの一部の医薬品の関税がゼロになります。
該当品を日本から中国に輸出している企業には有利ですね。

【7】自動車関連部品の関税率引き下げ
自動車関連の関税も引き下げです。
218品目が対象です。
例えば、関税率20%の135品目が15%に引き下げられます。

人件費は上がっていますが、タックスコストなど他のコストは下がりそうです。

悲観論も多い中国経済ですが、しっかり対応していけば、ビジネスチャンスはありそうです。情報を早くキャッチし、自社への影響を見定めることがポイントです。

なお、私が運営するブログ「中国ビジネスチャンネル」では、上記の法律の内容紹介や解説をしています。
中国では頻繁に法律が改正されます。
これら改正等の情報を知らないと、罰金や操業停止などのペナルティーを受ける可能性があります。
このようなリスクやトラブルを避けるために本ブログをご活用ください。
諸戸のブログ『成功のための中国ビジネスチャンネル』

筆者紹介

株式会社アタックス 海外サポート室 室長 諸戸 和晃
大手住宅会社勤務を経てアタックス入社。株式公開、企業再生、M&A支援等のコンサルティング業務に従事。2011年より2年間北京赴任。赴任中は北京中央財経大学への留学、中国系会計事務所「中税咨询集团」(北京)で業務。帰国後、海外サポート室の室長として、中堅中小企業の海外進出に関する支援業務に注力している。
諸戸和晃の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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