目標達成の意欲と力量に差~コロナ禍が炙り出す営業マネジャーの真価!

営業

新型コロナウイルス感染拡大の影響で業績予想の下方修正が相次いでいます。

帝国データバンクが定期的におこなっている「上場企業の業績修正動向調査(2020年8月31日時点)」によると、業績予想の下方修正をおこなった上場企業は1,000社を超え、その売上減少額は10兆円に迫る勢いとなっています。

当然、中堅中小企業においては更に深刻な影響にさらされていることは間違いなく、既に関連倒産は500件を超えており、事業停止や休廃業の更なる増加が示唆されています。

コロナで浮き彫りとなるマネジャーの力量の差

このような国内経済の流れの中、売上をはじめとする様々な数値目標未達の要因を「新型コロナウイルス感染拡大の影響で・・・」から話をはじめる営業マネジャーがいます。

私は当社における営業支援の実務担当として、多くの企業の営業現場に入り込み、指導にあたっています。

企業とお客様をつなぐことが仕事である営業にとって、対人接触を抑えなければならない現状の影響は甚大です。

オンライン営業をはじめとする、新たな生活様式にあわせた多くの変革が必要なことも確かです。

しかし、こうした自社を取り巻く環境変化や、変革の必要性は、見方によっては状況に過ぎません。

その状況が、目前の数値目標未達に「具体的にどのような影響を与え、なぜ減少しているか」を正しく把握し、分析し、対処することが、目標を達成させることが仕事である、営業マネジャーには求められるのです。

数値目標未達成の要因を「新型コロナウイルスの影響で・・・」から話しはじめる営業マネジャーに、「新型コロナウイルスの影響で、売上が押し下げられていることはわかりました。では、具体的に・・・」と、是非もう一歩踏み込んで、未達の真因を問いかけてみてください。

その問いに対する回答によって、その営業マネジャーの目標を絶対達成させる意欲と力量を見極めることができます。

営業マネジャーの3つのタイプ

営業マネジャーの目標を絶対達成させる意欲と力量を見極める際の目安となるタイプを3つご紹介します。

タイプ②:実態を把握しておらず、その場のみしか考えていない

具体的にどの顧客、商材で、誰と誰の間でどのような話があって、と突っ込んでいくと、別の論点へのすり替え(業務繁忙など)や、黙り込む、ひどい場合は感情的に反論をしてきます。実は全く実態を把握していないタイプです。

このタイプは、これまでも深く考えず、その場のノリでやり過ごしてきた海千山千の話術が上手い人が多く、言葉だけ聞いているともっともらしい感じがします。

そのため、顧客との相性によっては一営業としては成果を出していることも多く、その延長でマネジャーを任されている場合が少なくありません。

しかし、現状把握も未来への展望もないため、目標達成は景気やお客様次第、という他責の発想になりがちで、大きな事業環境の変化に際して、マネジャーとしてほとんど役に立ちません。

タイプ②:実態は把握しており、予測はするが構想がない

状況の変化が自社のどこに、どのような影響をもたらし、どの数値を変化させたのかという実態は抑えており、過去の経験にもとづき予測は示せます。しかし、数値未達の未来をひっくり返す発想にはいたらないタイプです。

多くは1.のような古いタイプのマネジャーを反面教師に育った優等生タイプで、部下にも強く当たれないこともしばしば。

平時においては堅実に組織をまとめてくれることを期待できますが、今回のような有事においては物足りなさを感じることでしょう。

タイプ③:実態を把握のうえ、構想し攻める

新型コロナウイルスがもたらす変化を正しく読み解き「今回は、過去にない大きな変化!予測がつかない!」ということを認めながらも、数値目標の絶対達成に拘り抜くタイプです。

自社の実態を抑え、過去の体験にもとづく数値未達の予測はもちながらも、数値目標の未達を許さず、過去にない対象や手法を考え抜き、成果につながるシナリオを構想し、組織全体で果敢にチャレンジします。

組織のあり方を見つめ直すきっかけに

最後のタイプは、私が理想論を並べ立てているだけ、とお感じになる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、私が予材管理のご指導にあたらせていただいているマネジャーの皆さんは、あたりまえにこのような取組みをしています。

  • お客様の声を丁寧に拾い上げ、「コロナだからこそ今必要なもの」を仕込み、その実現に組織全体を動かす商社のマネジャー
  • 画面越しで伝わらなくなった商品の感触を伝えるために、有志の社内勉強会をはじめるメーカーのマネジャー

皆、荒れ狂う新型コロナウイルス影響の中、数値目標未達を回避するために思考と行動をフル回転させています。

今回、ご紹介させていただいたマネジャーの意欲と切り口を見極めるための3つのタイプが、この難局に相対する組織のあり方を考えるきっかけとして活用いただければ幸甚です。

筆者紹介

株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ 取締役副社長 桑原 賢一
1999年 同志社大学卒。大手化粧品メーカーにて、経営指導から現場販売員の指導育成に携わり、延べ100名以上のトップセールスの育成実績をもつ。アタックス参画後は、上場企業の営業戦略構築、小規模企業の営業組織に対しての直接指導、営業職の個別指導等にあたっている。コンサルティング支援における行動変革率は100%を誇る。
桑原賢一の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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