大谷翔平選手のすごさの原点とは?~「経験学習サイクル」を職場で実践しよう!

人材育成

これまで新型コロナ対策優等生とされてきた諸外国が、感染者数のぶり返しに翻弄されています。

一方日本は、感染者数の激減により、街には人があふれ、徐々に経済が回り出しているかのようです。

しかし、厚生労働省は、新型コロナに係る雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の特例措置を、2022年3月末まで延長する方針を固めました。

コロナ禍の影響が残るため延長が必要と判断したようです。

政府が企業と社員を支えるために支払いを決定した雇用調整助成金は4兆円を超えています。

これは、今回の新型コロナウイルスが、いかに多くの企業と社員を痛めつけたかを示しています。

このような中、原油高が及ぼす生活品の物価上昇も懸念されています。

大谷翔平の強さの原点とは

まだまだ予断を許さない経済状況が続いていますが、今月、明るいニュースが私たちの心を晴れやかにしてくれました。

メジャーリーグで活躍する、大谷翔平選手のMVP獲得です。

日本時間19日に、メジャーリーグの今年のMVPが発表され、エンゼルスの大谷翔平選手が史上19人目の満場一致で選出されたことは、すでにご存じの通りです。

地元のロサンゼルスタイムズ紙は、「エンゼルスの二刀流スター、大谷選手が満票でアメリカン・リーグMVPの栄誉を勝ち取る」との見出しで、彼の偉業を称えました。

同じ日本国民として大変誇らしく、私たちを勇気づけてくれたことは言うまでもありません。

日本人離れした体躯と活躍振り、その原点は何か。普段、企業の人財教育に従事する立場から、彼に興味を覚えました。

そのような中、先日TVの特集で、大谷翔平選手のドキュメンタリー番組を見る機会がありました。

「これか!」

画面に映し出されたのは、まだ幼さの残る大谷選手の文字と、お父さんの文字が交互に綴られたノート、交換日記でした。

小学生の大谷選手は、毎日お父さんと交換日記をつけていたようです。

「今日の良かったこと」
「今日の悪かったこと」

自分のその日の練習ぶりや試合ぶりを活字にして振り返る。
それに対してお父さんがコメントする。

そのノートには、「一生懸命」という言葉がちりばめられていました。

大谷翔平からみる「経験学習モデル」

「経験学習モデル」

この言葉を聞いた方も多いと思います。
この理論を提唱したのは、デイヴィッド・コルブです。

社会人の能力開発は、日常の仕事の経験から生まれていると言われており、経験からの学びを「経験学習」といいます。

また、米国の調査機関・ロミンガー社の調査では、経営幹部としてリーダーシップを発揮している人たちに「どのような出来事が役立ったか」について、70%が経験、20%が薫陶、10%が研修という結果が発表されています。

つまり、人が成長する上で、もっとも影響を受けるのは「日々の仕事経験」を通じた学習であり、その次に「上司の指導や助言」、そして研修や自己啓発による「能力開発」が続くといわれています。

これらから、いかに人の成長において経験が大切か、がわかります。

デイヴィッド・コルブの「経験学習モデル」は、単に経験するだけでなく、経験を次に活かすためのプロセスが重要であるとされており、「経験学習モデル」は次のようなサイクルを意識的に行うことで効果が生まれます。

  • 経験・・・具体的な経験をする 気づく
  • 内省・・・経験を多様な観点から振返る 考える
  • 概念化・・・他でも応用できるよう概念化する、教訓を得る
  • 能動的実験・・・新しい場面で実際に試してみる、検証する

ここで重要なことは、内省、概念化、そして能動的実験をするというプロセスです。

日頃私たちは、忙しさを理由に、仕事の「やりっぱなし」「経験しっぱなし」が常態になっていることが多いのではないでしょうか。

一つひとつ丁寧に仕事を振り返る。

  • うまくいったのなら、「どうしてうまくいったのか」を振り返り、そのコツを得ることで、再現力を上げる
  • 失敗したのであれば、「どうして失敗したのか」を振り返り、教訓を得ることで、再発防止につなげる

まさに、これは大谷翔平選手が行っていることそのものです。

そして、それを「一生懸命」にやることが、100年ぶりの快挙と言わしめた偉業へとつながったわけです。

上司と部下が定期的に向き合い、仕事の振り返りを行う1on1(リフレクション面談)が、多くの企業で導入されつつあります。

これから導入を検討している企業は、是非ともこれを単に形式だけにとどめるのではなく、真に社員を成長させるための手法として、根付かせてください。

そしてビジネス界の大谷翔平を続々と生み出していって頂きたいと思います。

そのためには、上司(管理職)が面談を我流で行うのではなく、しっかりトレーニングを受けることが大切です。

今の時期は、年度末に向けて教育計画を立案するタイミングでもあります。

アタックス・ビジネス・セミナーも、1月スタートの2022年度年間パンフレットが完成しました。

この機会に、真に実効性ある人財教育をご検討ください。
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私共では、人財教育の設計から講師派遣まで、伴走支援を行っています。
いつでもお気軽にご相談ください。

また、コラム執筆者である北村信貴子が登壇するオンラインセミナーを以下に開催します。
是非ともご参加ください。

本コラムのポイントを動画でも解説しています

筆者紹介

アタックスグループ パートナー
株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング 代表取締役
中小企業診断士 北村 信貴子
1963年生まれ。中小企業診断士、産業カウンセラー。大手食品メーカー勤務後、アタックス入社。中堅中小企業を対象に経営診断や人事制度設計運用・人材育成業務に従事。現在は、後継者育成、管理者教育、女性リーダー育成を中心に実践型の教育訓練・能力開発に特に注力。講演・セミナー実績多数。受講者との対話を通じて理解を深めていく迫力ある指導には定評がある。
北村信貴子の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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