コロナ禍でもM&Aは堅調!~中堅中小企業の事業永続の選択肢

MandA 事業承継

コロナ禍でM&Aが増加?!

昨年からのコロナ禍によって、M&A市場も少なからず影響を受けました。

買収の検討を進めていた企業が凍結や見直しをするケースもあり、交渉が一時中断することもありました。

日ごろからM&Aの業務に携わることが多くありますが、凍結や見直しは一時的なことで、むしろニーズは増えてきていると感じます。

ただし、コロナ禍で売上減少が顕著だった飲食業やホテル観光業などの業界は、業況不振に陥っている企業も多く、売却のニーズはあるが買い手が見つからずに撤退や廃業に追い込まれるケースもあります。

コロナの影響はワクチン接種で好転が期待されるも、まだまだ時間がかかるとも言われ、また元の事業環境に戻るとは限りません。

つまり買い手としても消極的にならざるを得ません。

このようにコロナの影響を受けた業界のM&Aは減少しています。

また、コロナ禍に関係なく業績が悪化していた企業は、コロナが追い打ちとなり、事業縮小や撤退などに舵を切った企業も多数あります。

緊急事態宣言が発出されたときは、大手企業も投資案件を延期、凍結するなど、経済活動が一時的にストップしたこともあり、結果として背中を押されたところもあるのでないでしょうか。

事業収益力があれば、M&Aとして売却できたかもしれませんが、撤退・廃業しか選択肢がなかったようなケースも数多くあったものと考えられます。

M&Aは事業承継の選択肢の一つ

一方で、事業承継の問題が差し迫っている企業も多く、事業承継の選択肢の一つとしてM&Aが企図されるケースが増えてきています

10年程前だと身売りのイメージが強く、経営者としては選択しづらいということもありましたが、今では中小企業でも行われることが多く、M&Aの仲介会社も多数存在し、社会的にも浸透してきていると感じます。

私が関与したクライアントも、自動車部品の製造業から撤退し、不動産事業へシフトする会社や保有車両を売却して事業縮小する運送会社からの相談があり、実際にサポートさせていただきました。

コロナ禍でも様々な企業が様々な理由でM&Aを検討されており、業況が悪化している企業ばかりではありません。

買い手としては、コロナに関係なく将来を見据え、拠点や販路の拡大や商品ラインナップの拡充、ITシステム系の増強など、買収を企図されている企業も多くあります。

売り手としても、脱炭素社会など環境問題への対応に対して、自社の将来性を不安視され、現状に問題がなくても売却を検討されたり、成長著しい会社でも更なる発展を企図して大手企業との資本提携を検討されたり、将来的には業界が大手に集約されると見越して、今のうちに大手の傘下に入ることを検討されたりと、経営者の方々は様々な想いでM&Aを検討されています。

こういった企業では事業承継の問題のためだけでなく、将来を見据えたうえでの一つの戦略としてM&Aを検討されています

コロナ禍であったとしても事業承継の問題は待ってはもらえません。

事業承継が喫緊の課題になっている企業は多いと思います。

そこで、事業承継でM&Aを検討する際、留意してほしいことを最後にお伝えしたいと思います。
 

事業承継でM&Aを検討する際の留意点

M&Aがダメなら廃業、といったような状況であれば売却することが前提になってしまい妥協しつつ交渉を進めることになります。

交渉がまとまらない可能性も高く、時間だけが経過して財務内容を毀損してしまうことにもなりかねません。

現状はともあれ事業の将来性が描けていない状況ではM&Aは成立しにくいでしょう。

ただ収益性の問題もなく、事業承継の選択肢のひとつとしてM&Aを検討できるのであれば、交渉の仕方も自ずと変わってきます。

売らないという選択肢を持って交渉に臨むと交渉の幅は広がり、満足できる条件で成約する可能性が高くなります。

オーナー経営が圧倒的に多い中小企業の場合は、事業承継は極めて重要な課題になります。

事業承継には10年以上かかるケースもあることから、事業が順調なときにM&Aを一つの選択肢として事前に準備、検討しておいても良いのではないでしょうか。

弊社のM&Aの取り組みは、仲介ではないため売却を前提としたものだけでなく、事業承継の一つの手段として各種支援に取り組んでいます。

アタックスグループでは、中小企業のM&Aのサポートを行っています。
M&Aに関するご相談がございましたら、こちらからお気軽にご相談ください。
 

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 執行役員 坂井 啓宏
1999年 滋賀大学卒。中堅中小企業の業績管理制度構築や事業計画策定等のコンサルティング業務に従事。中小企業再生ファンドの運営にも携わる。現在は、デューデリジェンスや計画策定等の企業再生支援、株式公開支援、買収監査や企業価値評価等のM&A支援を中心にプロジェクトマネージャーとして活躍中。
坂井啓宏の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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