財務研修講座 知っておきたい財務キーワード⑦ 回転率とは?
2020/03/20
経営に関わる方に絶対に知っておいていただきたい財務キーワードを解説します。
本日のキーワードは、「回転率」です。
回転率も重要なキーワードです。回転率をよくするとキャッシュフローと利益の増大に貢献します。
1.計算式は?
計算式は、
・売上高÷売上債権(受取手形、売掛金)
・売上高÷在庫(商品、製品、原材料、仕掛品、半製品)
・売上高÷買入債務(買掛金、支払手形)
です。
売上債権、在庫、買入債務は期首と期末の平均をとりますが、期首の金額がないときは、期末の金額で大丈夫です。
意味合いは、売上債権回転率が12回の場合、
・現金化までに1か月かかっている
というイメージです。
今月の売上高を翌月に振り込んでもらう感じです。現代は一部の小売店やIT、サブスク以外のビジネスではほぼ掛けで商売しますので、12回が目指すべき回転率になります。
これが、6回だと、
・現金化までに2か月かかっている
となります。
このため、この回転率は
・数値が大きいほど良い
となります。
2.なぜ重要なのか?
売上債権や在庫はそのまま滞留させるのではなく、すぐにキャッシュして再投資(次の商売)をしたほうがビジネスチャンスが広がります。
滞留しているとキャッシュがなかなか増えませんので、経費を支払うために、借入をすることにもつながります。借金が増えるとリスクが高まります。
※どうせ借金するなら、借金した分をそのまま預金にして、天変地異などの突発的なことに備えたほうがいいと思いますし、このような借金はしっかりすべきだと思います。
買入債務回転率も数字が大きいほうがいいと思います。
・12回だと毎月支払う、6回だと2か月まとめて支払う
ので、資金的には6回のほうが助かるのではないか?
と思われるかもしれませんが、支払が悪いと、サプライヤーが付き合ってくれなくなるリスクが高くなると思います。
前回、ROAについて解説しましたが、ここで、ROAがなぜ重要だったのか思い出していただければと思います。
それは、
・ROAは事業そのものである
からでした。
それでは、ROAを高めるにはどうしたらいいでしょうか?
ROAは次のように分解されます。
ROA=売上高利益率×総資産回転率
売上高利益率か総資産回転率を高めればいいわけです。
売上高利益率はみなさんお馴染みだと思います。損益計算書の売上高と利益の比率です。
では、総資産回転率とはなんでしょうか?
それは。
・売上高÷総資産
です。
こちらはあまり馴染みがないかもしれません。しかし、とても重要なキーワードです。
厳密にはちょっと違いますが、リードタイムのようなものです。
回転率が1なら、
・年間の売上高を上げるために365日かかっている
という感じです。
回転率が2なら、
・年間の売上高を上げるために183日で済んでいる
という感じです。
逆に言えば、半分の投資で、同じ売上高を確保できるほど、効率的であるということになります。
どちらがいいかは一目瞭然です。
総資産ですから、固定資産も含めてのリードタイムです。
総資産の部分を、売掛金や在庫、固定資産など資産の種類別に区分して計算すると、よりリアリティーがあると思います。
リードタイムは短い方が経営的にはプラスです。
たとえば、
・短い時間で製造販売できれば、その分、販売数量が稼げますので、売上高はアップします。
・特に製造では、1日でも製造が遅れると、その分、コストがかさみ、利益率が悪化します。
・回収や製造を早くできれば、その分の運転資金が節約でき、借金を減らすことができます。
このように、リードタイムはとても重要です。
リードタイムが短くなると、回転率が上がります。
回転率が上がると、ROAが上がります。上記のようなメリットが効いて、ビジネスがうまく回るからです。
リートタイムは意識されていると思いますが、合わせて、回転率もチェックされるといいとおもいます。
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