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財務研修講座 決算書が読めて活用できるようになるシリーズ⑪ 損益決算書を使いこなすには?~経営損益計算書と変動損益計算書~

      2020/03/20

今回は、損益計算書の活用について解説します。

ただ、損益計算書はそのままではあまり使えません。
よって、損益計算書を経営に役立つように表示替えをすることになります。

この表示替えには、2通りの組み換えがあります。
・損益計算書の勘定科目を表示する
・変動損益計算書へ組み換える

順に説明します。

1.損益計算書の勘定科目を表示する

下記のように給与や家賃など「見える化」し、チェックしなければならないポイントが掴めるようにします。
原則、勘定科目はすべて表示するようにします。
・細かい金額は「その他」にまとめて、
という方もいますが、厳しい経営者になればなるほど、細かな数値にこだわります。
経営者レベルでもそうですので、実務べースでは、全科目の動きを把握できるようにしておいたほうがいいと思います。

ただ、グルーピングは重要です。
人件費や戦略経費などで集計を行い、人件費の総額がいくらかなどをチェックできるようします。
人件費は給与だけ見ていても片手落ちで、法定福利費や福利厚生費も合算してチェックしないといけない場合があるからです。

戦略経費は「未来経費」とも言われます。よく雑誌で取り上げられる中小企業で長野県の伊奈食品工業がありますが、この会社もこの未来経費を重視しています。
これには、研究開発だけでなく、教育研修、人材採用費などが入ります。ただ、ここに何をグルーピングするかは、それぞれの企業の考え方次第です。このグルーピングが経営の未来を左右します。

この組み換えで作成された損益計算書を経営決算書と呼んでいます。

2.変動損益計算書へ組み換える

次に、変動損益計算書について説明します。
上記の損益計算書は、変動損益計算書ではありません。
通常の損益計算書を組み替えて、変動損益計算書を作成します。

まず、作成の仕方を説明します。

①売上原価と費用を、「変動費」と「固定費」に区分する
通常の損益計算書と変動損益計算書の違いは、
・原価と費用のグルーピング概念の違い、
にあります。

損益計算書のグルーピングは、
・販売(製造)に直接連動するか?又は販売や管理活動に関連するものか?
で行い、それぞれ売上原価、販売費及び一般管理費となりますが、
変動損益計算書のグルーピングは、
・売上高の動きに対して変動するか固定的か?
で区分し、それぞれ変動費、固定費となります。

通常の損益計算書は、売上高の下にはまず「売上原価(製造原価を含む)」が配置されます。そのうえで、販売活動や製造活動の利益である「売上総利益」を計算した後、販売や管理に関係する費用を配置し、営業利益を計算します。
これに対して、変動損益計算書は、売上高の下には、まず「変動費」が配置されます。
変動費は、
・売上高の増減に比例して増減する費用(原価)
です。具体的には材料費や外注加工費です。
固定費は、
・固定費は変動費以外の費用(原価)
をいいます。厳密には、残業代などは売上高の増減に連動して動くものですが、あまり細かくすると管理コスト倒れになりますので、まずは、材料費と外注加工費だけで十分だと思います。

このグルーピング替えで通常の損益計算書は、変動損益計算書に変わります。営業利益はどちらでも同じ金額になります。
厳密には、製品在庫に含まれる固定費部分を修正することになりますが、これも複雑な手続きを必要とする場合がありますので、在庫増減は「変動費」として扱うことで十分だと思います。

これで損益計算書を活用する準備が整いました。

3.損益計算書の分析のポイントは?

経営損益計算書や変動損益計算書を使って、次の手順で分析を進めるとやりやすいと思います。

(1)まずは、黒字か赤字か
計画があれば、それと比べてどうかなどの比較も必要です。

(2)率を計算する
主に売上高との比率です。
営業利益率であれば、
・営業利益÷売上高
となります。

5つの利益率は計算します。
また、経費の売上高比率も計算します。〇〇費÷売上高です。
そして、変動損益計算書では、以下の重要な比率を計算します。
・限界利益率
・労働分配率
限界利益率は後述します。

労働分配率は、
・(労務費+人件費)÷限界利益
で計算します。
意味合いは、限界利益の何割が配分に回っているかの指標です。
50%を超えると、人件費に比べて限界利益が足りない、となります。他社と比較したり、自社の過去推移などの比較して異常値でないかを確認します。

(3)比較し、分析して要因を掴む
比較が大事でした。
売上高や各費用の金額の過去や計画とのギャップを見ます。
また、上記で計算した比率についても過去や計画と対比します。また他社のそれとも比較します。
過去より減少していたり、計画通りいっていない場合は、得意先別や商品別、営業マン別など分解して分析し、問題個所を特定します。

(4)そして変動損益計算書の最大のポイントの限界利益(付加価値)の状況
限界利益(付加価値)は、売上高から変動費を引いた後の利益の概念です。
この限界利益(率)は、「顧客から認められた価値の割合」と言ってもいいと思います。

これが低迷し始めると、
・顧客からの支持を失いつつある
と言えると思います。

支持を失うと、値引きで拡販することがありますが、値引きすると当然に限界利益率は下がります。量を売らないと額が取れませんので、量を販売したり生産するための経費が余分にかかってきます。
となると、高コスト体質になり、赤字に転落しやすくなります。このような負のスパイラルに陥ると、倒産が間近に迫っているとなってしまいます。

ちなみに、私は日本国内で長く企業再生支援コンサルをしておりましたが、業績悪化企業は、すべて共通して限界利益率が年々悪化していました。

限界利益(率)が悪化するのは、以下のような理由が考えられます。
顧客訪問を日ごろからしっかり行うなどで支持を得られるような商品開発やサービス提供を継続するともに、財務面からは、以下を視点もチェックしてみてください。
①材料の値上がり
②材料の歩留まり悪化
③販売単価の値下げ
④利益率の低い商品の売上高が、全体に占める割合が増えた
⑤利益率の高い商品の売り上げが減少した。
⑥利益率の低い得意先の売上高が、全体に占める割合が増えた
⑦利益率の高い得意先の売り上げが減少した。
なお、上記のうち、④~⑦をやろうとすると、商品別や得意先別の限界利益(率)が測定できるようになっていないといけません。
これには、在庫管理や原価計算がきちんとできていることがベースの制度として必要になります。

(5)損益分岐点売上高(BEP)
損益分岐点売上高と聞くと、財務の専門家用語で取っ付きにくいと思いますが、実は簡単に計算できます。
計算式は、
・固定費÷限界利益率
です。実にシンプルです。

損益分岐点売上高は、赤字と黒字の分岐点の売上高です。
この数字は聞かれなくても言えるようにされるといいと思います。
BEP(ブレイクイーブンポイント)は低い方が黒字になりやすいので、これを下げるためには、限界利益率を上げるとか固定費を下げるといったことにつながる施策が必要になります。

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