成功のための中国ビジネスチャンネル

中国進出、企業の成功と失敗の分かれ道とは。アタックス・諸戸和晃の情報ブログ

*

財務研修講座 決算書が読めて活用できるようになるシリーズ③ キャッシュフロー計算書を眺めてみよう

      2020/03/20

本シリーズは、ビジネスマンに必要なスキルとしてあげられる「財務」に関する記事を投稿します。
まったく財務を学んだことがない方を対象に、厳しいビジネス社会を生きるためのスキルアップに役立てていただくことを目的にしています。

今回は、キャッシュフロー計算書という決算書を眺めていただきます。

1.キャッシュフロー計算書をざっと見てみよう

今回はキャッシュフロー計算書です。眺めようシリーズはこれで最後です。

それでは、下記のキャッシュフロー計算書を見て、ありのままに数字を追ってみてください。

【キャッシュフロー計算書】

この会社は、営業活動から(      )円のキャッシュ(現預金)を獲得したが(営業キャッシュフロー)、設備投資のために(     )円を支出した(投資キャッシュフロー)。また、借入金で(    )円を調達した(財務キャッシュフロー)。
結果、現預金は、(      )円増加した。もともと保有していたキャッシュは(     )円であったため、今期獲得した(     )円のキャッシュと合わせて、残高は(     )円になった。

■穴埋め回答■
この会社は、営業活動から30,000円のキャッシュ(現預金)を獲得したが(営業キャッシュフロー)、設備投資のために10,000円を支出した(投資キャッシュフロー)。また、借入金で10,000円を調達した(財務キャッシュフロー)。結果、現預金は、30,000円増加した。もともと保有していたキャッシュは10,000円であったため、今期獲得した30,000円のキャッシュと合わせて、残高は40,000円になった。

いかがでしょうか?
キャッシュの動きに関連する表現が多く出てきます。最後には、キャッシュ残高としていくらになったか、が分かるようになっています。

このようにキャッシュフロー計算書は、キャッシュの動きと結果としての残高が表現されている決算書です。

2.キャッシュフロー計算書とは?

ここで気にしていただきたいのは、上表の一番上に
・利益
があり、最後に
・キャッシュ残高
があるということです。

意味するところは、
・利益とキャッシュは一致しない
ということです。

現代会計では、利益とキャッシュは一致しません。会計(簿記)がスタートしたのは大航海時代前夜ですが、大航海時代は利益とキャッシュは一致していました。
一つの航海を終えて様々な支払いをした後に、残ったキャッシュが利益でした。
航海は1年以上かかる長いビジネスですが、今の企業は1年ごとに決算をして、税金を支払ったり、配当をしたりすることを要求されています。
このため、本来長期間に跨って続くビジネスを強制的に1年単位で締めることになります。
また、信用による商売が発達したため、売り上げてもすぐにはお金をもらえなくなってきました(掛け売り)。仕入も同様です。
これらのことを反映して決算書を作成するようになったため、今では、利益とキャッシュが一致しないような状況になっています。

キャッシュフロー計算書は、利益とキャッシュのギャップを明らかにしてくれる決算書です。
トップに利益があり、一番下のキャッシュ残高に至る過程で、どこでキャッシュが失われ、そこでキャッシュが獲得されたかを1年という期間で明らかにしてくれます。

前回の貸借対照表の記事でも言及しましたが、ビジネスの基本は、調達資金を投資して増やして、調達額以上で回収し、以上の部分を関係者で分け合うことにあります。
つまりは、キャッシュを増やすことが目的です。
利益はキャッシュを増やすための一項目でしかありません。キャッシュフロー計算書を見れば、利益は一番上にあるのみで、後は、利益には関係のない項目ばかりです。

キャッシュフロー計算書は、ビジネスの目的である
・キャッシュ残高をどうしたら増やせるか
を示唆してくれるとても重要な決算書なのです。

3.利益とキャッシュはなぜ一致しないのか?

利益とキャッシュが一致しない要因は様々です。

例えば、売掛金。
信用取引が発達したため、販売してもすぐには払ってもらえません。しかし、販売したことは事実なので、それは売上高として処理され、損益計算書に計上されます。
売上高が費用を上回れば利益が計上され、黒字になります。
しかし、販売代金はまだもらっていません。ここで黒字≠キャッシュの状態が生まれます。
未回収の代金は、回収を失念しないように、貸借対照表の売掛金として計上されます。
売掛金が増えるということは、未回収の販売代金が増えるということです。
お金の動きから見ると、お客様にお金を貸しているのと同じ効果となります。
お金を貸すと、自分のお金は減りますので、キャッシュは減ってしまいます。売掛金が増えるのは、これと同じ効果があり、黒字で得られるであろうキャッシュを相殺してしまいます。

買掛金はこれと逆の効果となります。仕入れて販売すると、その仕入れ分は売上原価として、損益計算書に計上されますが、その仕入代金を支払っていないと、それは支払いを失念しないように買掛金として処理されます。
買掛金が増えるということは、仕入先に支払うのを待ってもらっているということになり、それは仕入先からお金を借りているのと同じ効果となります。
お金を借りると、自分のお金は増えますので、買掛金が増えるということもお金が増える効果があります。

このほかにも、機械の購入もギャップの要因となります。
購入して支払い、キャッシュが減っても、それは利益を計算する損益計算書ではなく、資産として貸借対照表に計上されるため、利益計算とはギャップが出てしまいます(厳密には減価償却費ということで絡みますが後述します)。

借入金もギャップが出る原因です。
お金を借りてキャッシュが増えてもそれは、利益を計算する損益計算書ではなく、負債として貸借対照表に計上されるため、利益計算とはギャップが出てしまいます。

ギャップが生じる主な原因をまとめると以下のようになります。
・売掛金が増減した。
・在庫が増減した。
・買掛金が増減した。
・設備を購入したり売却したりした。
・多額の借入や返済をした。

4.キャッシュはどこで生まれ、どこで失われるか?

キャッシュフロー計算書を理解することで、経営にとって重要なキャッシュがどこで生まれるのかが分かります。
キャッシュが生まれる場所は大きく二つあります。
・損益計算書から生まれるキャッシュ
・貸借対照表から生まれるキャッシュ

(1)損益計算書から生まれるキャッシュ
利益+減価償却費で表されます。
利益は本来、そのままキャッシュになるものですから、まず利益を置きます。
次に、減価償却費を加算します。
減価償却費は、投資した工場や設備等の金額を使用可能年数で割り算して計算した1年ごとの金額です。
たとえば、100万円の機械を購入し、それが10年使用できるのであれば、100万円÷10年=10万円となります。
この10万円が1年毎の減価償却費として損益計算書上で費用として扱われます。
これは費用ですから、利益を押し下げる効果があります。
購入時点で100万円を一括して費用としてしまうと、その年は大赤字、それ以降は大幅黒字になり、実態を表さなくなりますので、このような処理を行います。
つまり、お金的には、100万円支出したのは過去の話で、10万円の費用は、実際の現金支出を伴わない費用なので、利益に加算するわけです。

(2)貸借対照表から生まれるキャッシュ
利益+減価償却費から下はすべて、貸借対照表から生まれるキャッシュです。

①売掛金増減
売掛金は、得意先に対する貸付金であると定義しましたが、貸付金が増えると、手元のお金はなくなります。
よって、売掛金が増えるとキャッシュは減り、減ると増えるという関係になります。

②在庫増減
在庫も増えると購入のための資金が必要ですので、手元のお金はその分減ります。
よって在庫が増えるとキャッシュは減り、減ると増えるという関係になります。

③買掛金増減
買掛金は仕入先からの借入金であると定義しましたが、借入金が増えると、手元のお金は増えます。
よって買掛金が増えるとキャッシュは増え、減ると減るという関係になります。

④固定資産増減
ここには工場や機械などの大型の設備投資が入ります。設備投資すれば、手元のお金はなくなります。
よって、固定資産が増えるとキャッシュは減り、減ると増えるという関係になります。

⑤借入金増減
銀行からの借入金の実行や返済が入ります。
借入を実行すれば、借入金は増加しますので、手元のお金は増えます。返済すれば手元のお金は減ります。
借入金が増えれば借入なのでキャッシュ増、減れば返済なのでキャッシュ減です。

上記のうち、特に①~③は、日常的に管理可能な内容です。
特に、在庫は、製造業であれば、リードタイムを短縮するなどの社内努力で圧縮することが可能です。
圧縮すれば、その分キャッシュが増える効果があります。
リードタイムが長くなってしまうと、キャッシュを圧迫するだけでなく、原価も積みあがり高コストになりますので、良いことはありません。

5.まとめ

ビジネスで財務視点での最も重要なキーワードはキャッシュです。
キャッシュが潤沢であれば、そう簡単には倒産しません。
逆に、黒字でも、売掛金や在庫の管理の悪く、キャッシュ喪失が続くと倒産します。

キャッシュフロー計算書で利益≠キャッシュのギャップを把握し、損益計算書と貸借対照表をさらに分析してその原因をつぶすというのがキャッシュリッチを実現する近道です。

【講師のご依頼はこちら】
講演や研修の講師を承っております。これまでのテーマには以下のようなものがあります。
・管理職のための「計数管理講座」
・はじめての「M&A講座」
・経営者、経営幹部のための「財務管理講座」
・これから始める「中国ビジネス講座」
・中国赴任者のための「赴任者心得講座」
・中国子会社の「管理強化講座」
上記講座の詳細については、こちらこちらをご覧ください。

また、これら以外のテーマもご相談ください。
料金の確認及び申し込みは、こちらをご覧ください。

【中国顧問サービスのご案内】
当社は、毎月貴社を訪問して、中国法改正や経済動向の解説や対応のアドバイスを行うサービスをしています。
法改正への対応が遅れると、行政処罰や労働争議などのトラブルが生じかねませんので、是非、本サービスをご利用ください。サービスの詳細や料金の確認及び申し込みは、こちらをご覧ください。

メールマガジンのご案内

期間限定のお得なコンサルティングのご案内や、このブログでは書けない情報を配信しています。メルマガ登録していただき、お役立てください。
また、ブログ記事のヘッドラインや業務提携情報なども配信します。メルマガのリンクをクリックしてブログ記事や業務提携情報を漏れなくチェックしてください。

登録はこちらから

メールマガジンのご案内

期間限定のお得なコンサルティングのご案内や、このブログでは書けない情報を配信しています。メルマガ登録していただき、お役立てください。また、ブログ記事のヘッドラインや業務提携情報なども配信します。メルマガのリンクをクリックしてブログ記事や業務提携情報を漏れなくチェックしてください。

登録はこちらから

 - 経営者、マネージャーのための財務管理講座