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キャッシュを増やすポイントとは? ~キャッシュフロー経営を実践するポイント解説~

      2020/08/12

キャッシュの重要性がますます高まっています。
自己努力でキャッシュを増やす、借入で残高を増やす、など方法はいろいろありますが、いずれにしても、キャッシュが増えるメカニズムをしっかり理解しておかないと思うようには増えていきません。

本稿では、キャッシュを増やすポイントをまとめたいと思います。

 

Ⅰ.キャッシュを増やすはどうしたら上がるのか?

キャッシュを増やすには、どうしたらいいのでしょうか?
答えはシンプルで、
・キャッシュフロー経営を実践する
ということになります。そうすれば、キャッシュは増えていきます。

では、キャッシュフロー経営を実践するにはどうしたらいいのでしょうか?
そのヒントは、キャッシュフロー計算書にあります。
まずは、キャッシュフロー計算書をしっかり理解することがスタートです。

 

Ⅱ.キャッシュフロー計算書を眺める

決算書は、主に
・損益計算書
・貸借対照表
・キャッシュフロー計算書
で構成されます。

損益計算書は見慣れている方が多いと思いますが、キャッシュフロー経営を実践するには、
・貸借対照表
・キャッシュフロー計算書
も、しっかり見ていくことになります。

キャッシュフロー計算書は、
・どこでキャッシュが増えたのか?減ったのか?
が分かる決算書です。なので、これを眺めて減っている原因をつかめれば、キャッシュ残高は改善します。

キャッシュフロー計算書は以下のような構造になっています。
なお、キャッシュフロー計算書には、
・間接法
・直接法
の2種類ありますが、キャッシュフロー経営の実践には間接法が便利ですので、間接法で解説します。

上から説明します。主に、マイナス表記やプラス表記の意味を解説します。

利益以下の項目はすべてキャッシュが増減する「要因」一覧です。
この要因のうち、
・プラスならキャッシュを増加させてくれた要因として〇
・マイナスの項目があれば、キャッシュを減らした要因として×
となります。なので、キャッシュが減った場合、キャッシュフロー計算書を見れば、何が原因でキャッシュが減ったのかが分かります。

①利益
利益はキャッシュを増やす(減らす)、最初の原因です。
黒字であれば、プラス表記でキャッシュは増加、赤字ならマイナス表記でキャッシュ減少です。これは分かりやすいと思います。
黒字は、入ってくるもの(売上高)>出ていくもの(仕入高や経費)の状態ですので、
入りが多ければキャッシュは増えます。
なので、キャッシュフロー計算書ではプラス表記はキャッシュ増加となります。

②減価償却費
減価償却費は、
・購入した機械などの設備の代金をその使用年数に割り振って費用化したもの
で、損益計算書では費用として利益を減らすものです。
キャッシュフロー計算書では利益の調整項目とし二行目に出てきます。

減価償却費があると、その分利益は減りますのでキャッシュも減ります。
しかし、減価償却費の原因となった設備代金は過去に支払っていますので、損益計算書に減価償却費があっても、利益は減りますがキャッシュを減らすことはありません。
キャッシュの動きを伴わない費用だからです。
このため、キャッシュフロー計算書では、キャッシュを増やす項目として扱われます。
この項目は、かならずプラス(ゼロ以上)となります。

③売上債権増減
貸借対照表の売掛金や受取手形などの売上債権の増減がここにきます。
増減とは、期首と期末の増減です。
・期末残高>期首残高であればマイナス表示(売上債権が増えればキャッシュは減る)
・期末残高<期首残高であればプラス表示(売上債権が減ればキャッシュは増える)
となります。

飲食店や小売店などを除けば、代金は「後払い」が日本の商慣行です。
売上債権は、後払いしてくる得意先に対する代金請求権と言えますが、その本質は、
・得意先に対する無利子無担保の貸付金
です。
皆さんの会社は、得意先に商品を販売しますが、商品はキャッシュの塊ですので、キャッシュを渡しているのと同じことになります。キャッシュを渡したら回収しないといけませんが、未回収なら、キャッシュを貸している状態で貸付金と同等です。
貸付金が増えたら、皆さんの財布からはキャッシュは出ていきます。
なので、売上債権が増えたらキャッシュは減るということになります。
キャッシュフロー計算書ではマイナス表示となります。

④在庫増減
貸借対照表の原材料や製品、商品などの在庫の増減がここにきます。
増減とは、期首と期末の増減です。
・期末残高>期首残高であればマイナス表示(在庫が増えればキャッシュは減る)
・期末残高<期首残高であればプラス表示(在庫が減ればキャッシュは増える)

在庫購入にはキャッシュを必要としますので、キャッシュが減りますが、それを販売することでキャッシュを回収することができます。
この場合、仕入数量=販売数量なので在庫の増減はありません。
しかし、売れ残ると回収できませんので、購入によるキャッシュ減だけが残ってしまいます。
売れ残ると在庫は増えます。つまり、在庫増はキャッシュ減です。

⑤買入債務増減
貸借対照表の買掛金や支払手形などの買入債務の増減がここにきます。
増減とは、期首と期末の増減です。
・期末残高>期首残高であればプラス表示(買入債務が増えればキャッシュも増える)
・期末残高<期首残高であればマイナス表示(買入債務が減ればキャッシュも減る)
となります。
売上債権や在庫などの資産とは逆の動きとなります。

買入債務は、仕入先に対する「後払い」です。
これは売上債権とは逆で
・仕入先から無利子無担保で借り入れしている
ことになります。
借入すればキャッシュは増えますので、買入債務が増えれば、キャッシュも増えるとなります。

⑥投資増減
設備に関連して生じるキャッシュの動きをここで表します。
貸借対照表の設備などの固定資産の増減がここにきます。
増減とは、期首と期末の増減です。
・期末残高>期首残高であればマイナス表示(固定資産が増えればキャッシュは減る)
・期末残高<期首残高であればプラス表示(固定資産が減ればキャッシュは増える)

残高が増える、とは設備を新たに購入したことになりますので、キャッシュは減ります。
よって増えるとマイナス表示です。
減れば、設備を売却したことになりますのでキャッシュは増加します。
よって、プラス表示です。
厳密には、設備を廃棄しても設備残高は減りますので(この場合は、キャッシュは増えませんので、固定資産が減ればキャッシュが増える、という原則にはなりません)、実際にキャッシュフロー計算書を作成する場合には、単純な増減だけで計算せず、増減理由に合わせて調整することになりますが、キャッシュフロー計算書の作成方法の解説については別稿にしたいと思います。
ここでは、他の資産項目(売上債権や在庫)と同様に、
・固定資産残高が増えれば、キャッシュは減る
・固定資産残高が減ればキャッシュは増える
という基本を押さえていただければと思います。

なお、投資といえば、固定資産以外にも、子会社を設立したり、会社を買収したりという投資もありますが、いずれも資産に属する項目ですので、増減とキャッシュの動きは同じです。

⑦借入増減
借入に関連して生じるキャッシュの動きをここで表します。
貸借対照表の借入金の増減がここにきます。
増減とは、期首と期末の増減です。
・期末残高>期首残高であればプラス表示(借入金が増えればキャッシュも増える)
・期末残高<期首残高であればマイナス表示(借入金が減ればキャッシュも減る)
借入金の増減とキャッシュの動きはシンプルです。

⑧当期のキャッシュ増減
計算項目です。①の利益~⑦の借入増減までの金額を足し算して求めます。
この合計額が
・プラスなら、当期はキャッシュが増えた。
・マイナスなら、当期はキャッシュが減った。
ということになります。

⑨期首のキャッシュ残高
当期が始まる前のキャッシュ残高です。スタート地点です。

⑩期末のキャッシュ残高
計算項目です。
上記の⑨+上記の⑧を足し算して求めます
⑧がプラスなら、期末のキャッシュは増えますので、⑨<⑩になります。
⑧がマイナスなら、期末のキャッシュは減りますので、⑨>⑩になります。

以上が、表の項目の説明です。見る順番としては、
・最初に一番下の⑧~⑩を見る
・その後、①~⑦までを見て、どこがマイナスになっていて、その理由はなにか?
などを確認していきます。
プラスの項目でも、偶然そうなったということもありますので、プラスの理由も確認しておきます。

 

Ⅲ.キャッシュフロー計算書を活かす

利益から借入増減までの合計が、当期のキャッシュ増減となります。
つまり、当期にキャッシュ増えたか減ったかの原因は、利益から借入増減までの何か、ということになります。複数の要因が絡むこともあるでしょう。

例えば、在庫増減がプラスでキャッシュが減っていれば、当期にキャッシュが減ったのは、在庫を多く購入して売れ残ったため、ということが原因となります。
多く購入したからいけないということではありませんが、キャッシュ増減に与える影響としては、在庫が増えたからキャッシュが減った、ということになります。

もし、当期が黒字で利益が出ていても、それ以上に在庫が増えていれば、キャッシュは減ってしまいます。他の要素も同様で、売上債権が利益以上に増えても同じようにキャッシュ残高は減ってしまします。

つまり、期末のキャッシュ残高を期首のキャッシュ残高より増やしたい場合、利益から借入増減の要素をしっかり管理し、利益以上にマイナスとなる要素を作らないことがポイントになります。

以下にポイントをご案内します。

①キャッシュフロー経営を実践するというメッセージを社内に発する
キャッシュが増えるか増えないかは、経営戦略など大きな意思決定も重要ですが、売掛金や在庫の管理など、現場の日々の管理も重要です。
得意先との回収条件契約をこちらに不利なものにしてしまうと、売掛金が増えてキャッシュが減ってしまうことになりかねません。
これを改めていくには、まずは意識改革だろうと思います。

②現場責任者にキャッシュフロー経営の研修をする
意識を高め、キャッシュフローを改善するにはどう動いたらいいかを考えてもらうには、メッセージの発信とともに、キャッシュフロー研修も有効です。
上記のようなキャッシュフロー計算書の見方の学びを通して、現場の仕事がキャッシュフローとどう関連しているかを理解していただくと、自分事としてキャッシュフロー経営を感じていただけると思います。

また、研修によって、部分最適を回避することもできます。キャッシュフローを改善しようと実践した施策が利益を減らしてしまい、トータルではキャッシュが減ってしまった、というケースもあります。
部分と全体が矛盾しないような施策を実践するのがベストですが、それができなければ、部分最適は避けなければなりません。
部分と全体の関係を理解していただくには、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の3つの決算書をトータルで学ぶ方法が有効です。

③仕組みを作る
次に仕組みです。
現場の方に意識を持って実践しても、それがいいか悪いかは、確認チェックする機能がないと判断がつきません。いわゆるPDCAサイクルを回すことで、さらなる改善につなげることができます。
以下のような仕組みがあると良いと思います。
・1日でも入金が遅れたらアラームが出る売上債権管理制度
・何か月回収できていないかが分かる売上債権年齢調べ制度
・取引条件が一覧できる得意先別契約条件一覧管理制度
・得意先別契約条件一覧の横に表示できるよう、その得意先への売上高と直接利益が分かる利益管理制度
・在庫別の残高一覧表
・何か月販売できていないかが分かる在庫年齢調べ制度
・取引条件が一覧できる仕入先別契約条件一覧管理制度
上記は一例ですがこのような現場の改善活動を助けるような帳票を設計されたらと思います。

④評価制度にキャッシュフロー関連項目を入れ込む
評価項目に、在庫削減とか契約条件の改定などを盛り込むことで行動を促すインセンティブになります。
評価設定の際には、部分最適にならないように注意します。
また、目標値設定だけでなく、アクションプランも併せて検討します。
部門横断的に対応することもあると思いますので、それができるような部門間コミュニケーションや、効果的に対応するためのシステム化、予算付けなども併せて検討していただくといいと思います。

 

Ⅳ.まとめ

以上が、キャッシュを増やすためのポイントです。
実際には、キャッシュフロー決算書や社内の管理制度を分析し、課題を整理し、キャッシュフロー経営を実践するためのプランを作成したあと、実践に入ります。

また、投資や借入金をどのように判断するか、などの財務戦略もキャッシュフロー経営の実践には必要です。これはCFOのメインタスクですね。
経営戦略、現場の意識と仕組みの運用、財務戦略でキャッシュフロー経営を実践していただければと思います。

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