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孫子兵法コラム「ダム経営を目指そう」

      2017/01/19

孫子は作戦編で次のように述べています。

・戦争ともなれば、兵車千台、輸送車千台、兵士十万人もの大軍を動員し、千里もの遠方へ糧秣を輸送しなければならない。この大規模な戦争を遂行するには、内外の経費、外交使節の接待、軍需物資、車輛、武器の補充などに一日千金もの莫大な費用がかかるのだ。

経営でも、経営資源を潤沢にしておくことが重要であることは論を待たないと思います。一見すると無駄や余剰に見えるかも知れませんが、松下幸之助は、前掲書の中で、これをゆとりとして肯定的に捉え、称して「ダム経営」として説明しています。

・そのダムのようなものを、経営のあらゆる面にもつことによって、外部の諸情勢の変化があっても大きな影響を受けることなく、常に安定的な発展を遂げていけるようにするというのが、この“ダム経営”の考え方である。設備のダム、資金のダム、人員のダム、在庫のダム、技術のダム、企画や製品開発のダムなど、いろいろな面にダム、いいかえれば、余裕、ゆとりをもって経営をしていくということである。

サイクルの激しい現代経営では、ダムの作り方がとても重要です。例えば、在庫で言えば、過剰在庫は、陳腐化リスクや運転資金を必要とするなど、マイナス面があるからです。
では、リスクを抱えずに在庫のダムを作るにはどうするか?
これには、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木会長の考察が参考になると思います。

品揃えにしても、お金を儲けさえすればいいのなら、すべて売り切れる量だけ並べておけばいいでしょう。しかし、売り切れ後に来た顧客はそこに商品がなければ、この店は来る価値がないと思うようになって足が遠ざかり、やがて店は縮小均衡になります。

顧客の求めるものが、求めるときに、求める数だけある状態にしておくためには、多少の廃棄ロスは出て当然と考え、それを極力最小限にするため、売れ筋を的確に把握して、死に筋を排除する。セブン-イレブンの得意とする単品管理も直接的には機会ロスをなくすことが目的ですが、最終的にはそれによって顧客ロイヤリティーを高めることを目指しているのです(鈴木敏文の「本当のようなウソを見抜く」勝見明、プレジデント社)。

ダム経営を実現するためには、ニーズ把握の現状分析に加えて、その後のきめ細かいマネジメントが必要ということかと思います。

また、財務的にダム経営を考えると、現在では「キャッシュのダム」が重要です。以前に比べるとましになりましたが、一時は金融機関からの資金調達は困難でした。また、借入金返済は、赤字でもしないといけませんので、常に目を配っておく必要があります。このため、「キャッシュのダム」が求められる時代です。

キャッシュはどこから生まれるか?この質問について「利益から」と思われるのであれば、残念ながらキャッシュのダムはできません。
キャッシュは次の2つから生まれます。

(1)損益計算書の利益(+減価償却費)
(2)貸借対照表の資産負債の適切な管理

(1)は分かりやすいですね。(2)はどういうことでしょうか?例えば、売掛金の残高が前期末は100万円、今期末は80万円に減少しているという場合を考えると、このケースでは、20万円のキャッシュが生まれたということになります。売掛金は得意先に対する貸付金と同じ意味ですので、貸した金が返って来たと考えるとわかりやすいと思います。

他にも、在庫残高の減少、固定資産残高の減少は、キャッシュの創出を意味します。図解すると以下のようなイメージです。

cbc

鈴木会長も言っているように、単に在庫を減らすだけでは脳がありませんので、資産負債をしっかりマネジメントできる仕組みや、資産を預かる現場の教育が必要です。

ちなみに、松下幸之助は、講演会でもたびたびダム経営が肝要だと披露していたようですが、参加者のほとんどの社長は「言うは易いけど」と笑っていたようですが、ある社長は、「これだ!」と感じてそれを実践するように知恵を絞って邁進されました。この社長こそ京セラの稲盛名誉会長です。皆さんは「言うは易し」と笑うか、とことん追求するか、どちらでしょうか?

また、自社にダムが無いときには、協力先の経営資源を活用するという方法もあります。自社で海外進出が難しい場合、合弁するとか、現地企業に製造委託をして、製品を購入するのみにとどめるとか、様々な協力の形があると思います。貴社の目的をどうしたら達成できるのかを熟慮して協力の在り方を検討するといいと思います。

キャッシュのダムなど、財務会計の知恵を身につけたい方は一度アタックスのセミナーに参加してみてください。色々な切り口で開催しています。
https://www.attax.co.jp/seminar/archive/genre/article.tag.00C1.html

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