中国労務ニュース 虚偽の経費精算 裁判所、解雇支持のケースと不支持のケース
2019/02/21
中国人力資源雑誌のウェイボーに「虚偽の経費精算と従業員の解雇の裁判例」の記事がありましたので、ご紹介します。
ある会社で虚偽の経費精算が大規模で発生し、何十人の従業員が一斉解雇されたようです。解雇された従業員の中には、裁判所に訴える者もいて、その判断が紹介されています。
①ケース1(解雇処分支持)
・会社の《従業員手帳》の規定によると、複数の従業員で食事をした場合、同席した最高職階にある者がまとめて立て替え払いし、清算することを求めていて、複数人でそれぞれ清算する(個別清算)ことを認めていない。しかし、当該社員ら3名は、それぞれ経費精算し、また、経費精算のための領収書などの証拠物を提出せずに、上席である営業部長の分割清算の承認を得ていた。これら行為は《従業員手帳》に違反する行為であるとし、裁判所は、会社の解雇を支持した。②ケース2(解雇処分不支持)
・当該社員は、会社の「500元以上はカードで支払う」という規定に違反して、現金立て替えし、経費清算を行った。しかし、店舗によってはカード決済ができない店舗もあり、かつ会社は当該社員が悪意を持って行ったことを証明することができなかった。また、金額も少額であったため、解雇処分を取り消した。
なかなかにわかりにくい判断基準で、混乱します。1は上海、2は重慶の仲裁所での判断と紹介されています。場所が異なりますので、ややこしいのかもしれません。
いずれにしても、
・規定をきっちり書いておくことは大事
・承認者はルールを読み込んで、それに即した対応をする
・悪意があることを証明できない場合は、負ける可能性があるので、そのあたりの準備をしっかりしてから解雇や仲裁に臨む
というのがポイントでしょうか。
子会社設立時、会社規定を出来合いのものをほとんど変えずに採用したり、日本のものをほぼそのまま準用するのは、リスクがあるかもしれません。
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