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中国進出、企業の成功と失敗の分かれ道とは。アタックス・諸戸和晃の情報ブログ

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中国進出、企業の成功と失敗の分かれ道とは

      2017/01/19

撤退する企業があれば、進出や事業拡大をする企業もあります。失敗する企業があれば、成功する企業もあります。この分かれ目を様々なケースから考えてみたいと思います。

(1)彼を知り己を知れば百戦して殆うからず

ヤマダ電機や餃子の王将は、市場ニーズを見誤って撤退に追い込まれたようです。新たな提案をするということはとても重要ですが、それが「思い込み」では失敗してしまいます。その提案が、思い込みなのか、新たな市場を切り開く斬新なアイデアなのか、それを検証するプロセスが重要です。例えば、テストマーケティングをして提案が受け入れられる確率を高めていくなどがあります。

また、市場だけでなく供給面の調査も重要で、良質な材料が確保できずに生産が立ち行かないケースもありました。

つまり、事業環境分析、市場分析、自社の経営資源の分析などの事前の準備をしっかりとしておくことが大切のようです。調査すべきことは多岐にわたります。市場、サプライチェーン、競合、技術動向、労務、法律、税務、外貨規制、輸出入規制など様々です。調査の前には、専門家のアドバイスなどを活用して、まずは、何を調べないといけないのかのチェックリストを作成して、漏れなく調査ができるようにしていただくと良いかと思います。

(2)採用に注力する

優秀な人材を採用できれば成功率が高まることはそのとおりだと思いますが、そういった人材は採用に苦労することがほとんどのようです。企業の魅力に欠けるとか支払える報酬に限度があるなど、採用に苦労する要因は様々だと思いますが、採用や育成する仕掛けがないことも要因にあるようです。採用ルートの間口を拡げておくことや、優秀な中国人が何にインセンティブを感じるのかを研究し、それを人事制度に取り入れるなどの工夫も大切かと思います(とりあえず日本親会社の人事制度をそのまま持っていくという会社もまだまだ多いようです)。

経営のポイントはなんといっても人にありますから、採用や育成にもっとも時間を割くくらいの仕事のバランスでもいいのではないかと思います。

(3)任せられる仕組みを作る

 中国人を総経理にする、といっても放任では危険です。どんなに優秀な人材でも、誘惑にかられる可能性はゼロとは言えません。

権限を与えるからには責任も裏返しにありますので、責任を明確にして、果たせない場合の処遇についてはきっちりと合意しておくことも必要かと思います。また、定期的に監査をしたり、システムを使って日本親会社からでも会計仕訳や業績情報がチェックできるような仕組みを作っておくことも牽制に資すると思います。

前提としては、管理会計の仕組みを整えて、月次決算の早期化と正確性の向上、商品別などのセグメント別の利益管理、売上債権や買入債務の入金や支払管理、購買承認の仕組みなどの経営管理制度の構築が必要です。日本以上にしっかりした制度を構築することが物理的にも心理的にも遠い子会社を管理するポイントになると思います。

(4)サポーターを充実する

日本から派遣された総経理は孤独です。また、日本では経営をしたことが無い方が経営者として赴任します。派遣前の経営者教育も重要ですが、現地で起こる様々な経営問題に対処するため、総経理の相談役になりうるサポーターをつけてあげると効果があると思います。

例えば、会計処理を地元の中国会計事務所に依頼している会社は多いと思います。コスト的には日系に比べて低いので、足元の採算を考えると、地元事務所を選ぶことは合理的です。ただ、提供サービスは限定的です。年1回の監査だけで、経営的な相談役にはなってくれない事務所がほとんどです。疑問のある会計処理について問い合わせても、親身になった回答が返ってくることはあまりありません。このため、地元税務局対策としての地元会計事務所に加えて、日系のコンサル事務所と契約して、よろず相談に乗ってもらう機会を作ってあげるといいかと思います。コストは余分にかかりますが、結局は、お得という結果になると思います。

(5)最後に

最初にも書きましたが、やはり何といっても、彼を知ること、つまり中国と中国人をしっかり調べることが大切だと思います。中国人のモノの考え方などを解説した書籍もたくさん出ていますので、一読してからプランニングや赴任していただくと良いと思います。

 私も赴任する前に、孫子や兵法に関する書籍を何冊か読みました。「中国人は兵法を使って駆け引きするので、騙されないためには読んでおいた方がいい」とのアドバイスを受けたからでした。確かに、中国人の思考回路を理解するのに大いに役立ちましたが、何度か読み返すと、「孫子の言っていることは経営にも役立つな」という印象を受けました。冒頭の「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」も孫子の言葉ですが、ビジネスにおいて市場や競合を調査しないことはありえないでしょうし、自社の経営資源で不足している部分を正確に理解しておくことも重要です。

そこで、孫子の兵法を現代経営に活かすことができるのではないかと思い、文章にしてみました。ご一読いただき、中国ビジネスだけでなく、日本の経営にも活かしていただければ幸甚です。

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