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香港国家安全維持法(草案)の説明

   

中国全国人民代表大会のホームページに「香港国家安全維持法(草案)の説明」がありましたので、ご紹介します。
草案そのものの全文は掲載されておらず、ここでは、香港国家安全維持法(草案)の主な内容が掲載されています。

その一部をご紹介します(全文翻訳ではありません)。

草案は主に以下の内容を規定している。

1、中央人民政府の国家安全業務に関連する根本責任と香港特別行政区の国家安全維持の憲政制度責任を明確に規定している。
・中央人民政府は、香港特別行政区に対して関連する国家安全業務の根本責任を負う。香港特別行政区は国家安全維持の憲政制度責任を負い、国家安全維持の職責を履行する。香港特別行政区の行政機構、立法機構、司法機構は関連法規により、国家安全に危害を加える行為や活動を防止、制止、処罰する。
・国家主権、統一、領土保全の維持は、香港同胞を含む全中国人民の共同義務である。香港特別行政区の如何なる機構、組織、個人は本法及び香港特別行政区の国家安全維持に関するその他の法律を遵守し、国家安全に危害を与える活動をしてはならない。香港特別行政区の居住民が選挙に参加したり公職に就く場合、中華人民共和国香港特別行政区基本法を支持し、中華人民共和国と香港特別行政区に忠誠であることをサインするか、宣誓しなければならない。
・香港特別行政区は早急に香港特別行政区基本法が規定する国家安全を維持するための立法を完成させ、関連法規を完全なものにしなければならない。
・香港特別行政区の法執行機関及び司法機関は、適切に本法及び香港特別行政区の現行の関連法規を執行しなければならない。
・香港特別行政区は、テロ活動を防止し国家安全を維持する活動を強化しなければならない。学校や社会団体などの国家安全にかかわる事項に対して、香港特別行政区は必要な措置を講じ、監督と管理を強化しなければならない。

2.香港特別行政区が国家安全維持で従うべき重要な法治原則を明確に規定している。
・香港特別行政区の国家安全維持は、人権を尊重、保障しなければならず、香港特別行政区居住民は、香港特別行政区基本法、《公民権利と政治権利の国際公約》《経済、社会と文化権利の国際公約》の香港の言論、新聞、出版の自由、結社、集会、移動、団体活動の自由の国内の権利と自由への適用を根拠に保護される。
・国家安全に危害を加える行為の防止や処罰は法に基づき行われ、法に定めのないものは処罰できない。

3.香港特別行政区が国家安全維持の関連機関を設立する及びそれに関連する職責について明確に規定している。
・香港特別行政区は国家安全維持委員会を設立し、香港特別行政区の国家安全の維持業務の責任を負い、中央人民政府からの監督と問責を受ける。
・香港特別行政区国家安全維持委員会は 行政長官を主席とし、行政長官の他、政務司司長、財政司司長などを成員とする。
・香港特別行政区国家安全維持委員会は 香港特別行政区の国家安全形勢維持の分析や安全政策の制定などを職責とする。
・香港特別行政区国家安全維持委員会は、中央人民政府から命じた国家安全事務顧問を設置する。
・香港特別行政区政府警察処は国家安全維持部門を設立し、執行能力を配置する。
・香港特別行政区政府法律政務司は専門の国家安全犯罪案件起訴部門を設立し、国家安全犯罪関連業務に責任を負う。

4.4種類の国家安全に危害を与える犯罪行為とその処罰について明確に規定している。
・草案では第三章で”犯罪行為及び処罰”について6つの節で規定している、
・国家分裂罪、国家政権転覆罪、テロ活動罪、外国或いは国外勢力と結託しての国家安全に危害を与える罪の4種類の犯罪行為の具体的構成と相応の刑事責任、その他処罰規定及び効力範囲を明確に規定している。

5.案件管轄、法律適用、手順について明確に規定している。
・特定の状況を除き、香港特別行政区は本法規定の犯罪案件の管轄権を行使する。
・香港特別行政区は、国家安全犯罪案件の捜査、起訴、審判及び刑事罰の執行などの訴訟手続きについて管轄し、本法と香港特別行政区の当地の法律を適用する。
・香港特別行政区政府警察処国家安全維持部門が国家安全に危害を与える犯罪案件を処理する際、香港特別行政区の現行の法律が認めている措置及び本法が規定する措置を適用することができる。
・香港特別行政区行政長官は、現任或いは条件を満たす前任の裁判官などの中から法官を指名し、また、暫定委員或いは特別委員法官の中から法官を指名することもできる。

6.中央人民政府の駐香港特別行政区国家安全維持機構について明確に規定している。
・中央人民政府は香港特別行政区に国家安全公署を設立する、中央人民政府駐香港特別行政区国家安全維持公署は国家安全維持の職責を果たし権利を履行する。
・駐港国家安全公署の職責は、香港特別行政区の国家安全維持形勢分析、国家安全維持に関する重大な戦略や重要な政策の意見提出や提案;香港特別行政区の国家安全維持の履行についての監督、指導、協調、支持;国家安全情報の収集;国家安全に危害を与える犯罪案件の法による処理;とする。
・駐港国家安全公署は、厳格に法により職責を履行し、法により監督を受け、如何なる個人及び組織の法的権利を侵害してはならない。
・駐港国家安全公署は、香港特別行政区国家安全維持委員会と協調し、監督や執行、情報収集を行う。

また、草案は駐港国家安全公署と国家関連機構の特定状況下の案件管轄及び手続きについての規定を明確にしている。説明が必要なのは、駐港国家安全公署と国家関連機関は特定状況下でごく少数の国家安全に危害を与える犯罪行為案件に対する管轄権を行使することであり、また、中央の全面的な管理権を具体化し、中央は香港特別行政区の国家安全維持の法執行業務と司法業務を支持すること、香港特別行政区基本法第十八条第四款(※)に規定する緊急状態状況の発生回避を支持することである。

草案附則中規定;香港特別行政区当地法と本法が不一致の場合、本法規定を適用する。本法の解釈権は全国人民代表常務委員会に属する。

(出典:新華社、掲載:人民代表大会ホームページ)

草案そのものの内容は公表されていませんので、詳細は不明ですが、香港国家安全維持法の方向性、立法趣旨は上記のようなものになるようです。
法律が正式に公表されてから、改めて内容を精読し、本法律が香港や中国、ひいては世界にどのような影響を与えるかについて検討したいと思います。

(※)
なお、香港特別行政区基本法第十八条第四款は以下の内容です。
・全国人民代表大会常務委員会が、戦争状態の宣言、或いは香港特別行政区内で香港特別行政区政府が統制できない国家統一を脅かす危機が発生、或いは動乱により香港特別行政区が緊急状態に陥ったと決定した場合、中央人民政府は全国性の法律を香港特別行政区で実施することを命令する。

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