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日本と中国の決算書の違いとは? 決算書の形式や会計処理の違いについて解説します。

   

このカテゴリーでは、中国の税金、労務、会計などに関する基礎知識を解説しています。

今回は「中国と日本の決算書の違い」について解説します。

中国と日本の決算書の種類はほぼ同じですし、それぞれのフォームもほぼ同じです。
ただ、違いがあることはありますので、そのあたりを解説します。
なお、日本の決算書はある程度分かっている前提で解説します。

1.損益計算書の違い

損益計算書の違いについてご説明します。
(1)表示方法の違い
損益計算書では、利息、為替差損益、貸倒損失、固定資産売却損益などが異なります。
まずは、中国のスタンダードな損益計算書をご覧ください。

①利息、為替差損益など
日本では「営業外損益」でくくり、営業利益と経常利益に挟まれます。
これに対して中国では、「財務費用」という名称でくくり、管理部の人件費等の費用を集計して表示する「管理費用」、営業活動にかかる費用を集計する「販売費用(销售费用又は营业费用)」と並んで配置されます。
中国の営業利益の上に配置されます。このため、中国の営業利益は日本の経常利益に近い概念になります。
つまり、中国では日本の「営業利益」に相当する利益の概念がありません。日本的に「営業利益」が知りたい、となれば、会社内部資料で、財務費用を営業利益の下に再配置することになります。

②貸倒損失、固定資産売却損益など
また、「营业外收入、营业外支出という表示があるじゃないか、ここに利息や為替差損益が含まれるのではないか?」との疑問がわきますが、中国損益計算書のここには、日本の「特別損益」に含まれる損失等がはいります。たとえば、貸倒損失や固定資産売却損益などです。名称がややこしいので混乱しがちです。

③その他売上高or雑収入
「其他业务利润」は内容次第で、日本の「その他売上高」だったり「雑収入」だったりと分かれます。内容に応じて並び替えるといいと思います。

ということで、表示上の最も大きな違いは、
・日本では、営業利益と経常利益がありますが、中国では経常利益(表示は营业利润)しかない、
ということになります。
日本では営業利益を気にする経営者は多いと思いますので、中国からメールされてくる損益計算書を少し並び替える必要があるかもしれません。

(2)種類の違い
日本の損益計算書には、損益計算書そのもののほかに、「販売費及び一般管理費」と「製造原価報告書」がセットになっています。
しかし、中国には、このセットの資料がありません。
このため、中国子会社の方に試算表をもとに作成してもらうことになります。
「販売費及び一般管理費」と「製造原価報告書」がないと、勘定科目別にどれだけ支出したかなどが分かりませんので、手間ではありますが作成してもらうことになります。

2.貸借対照表の違い

損益計算書に比べるとそんなに大きな違いはありません。
(1)表示方法の違い
一般的な中国貸借対照表のイメージは以下です。

資産、負債は若干漢字が違いますが、日本と同じです。
日本の資本の部に相当するのは、「所有者権益」です。こちらの呼び方のほうがストレートですね。

流動、固定(中国は、非流動)の区分もあります。
日本の投資等や繰延遺産は中国では非流動と同様にくくられます。これもそれほど大きな違いはありません。

しかし、中国語が難しいので、取っつきにくいという方は多いようです。
損益計算書は、日本にある漢字を使っていることが多いので、何となくわかりますが、貸借対照表はちょっと・・・、というところでしょうか。
よく使う会計科目についての対訳でした。ご参考になればと思います。

(2)会計処理等の違い
①土地と土地使用権
なお、土地はすべて政府の所有ですので、土地は取得できません。代わりに土地所有権を取得し工場を建設します。定期借地権のようなものです。
このため、有形固定資産ではなく、無形固定資産に分類され計上します。年数に応じて均等償却します。

②内装工事
工場と賃貸するも、事務所などの内装工事をすることがあると思いますが、この支出は、中国では「長期前払費用」に分類されます。無形固定資産です。これも年数に応じて償却します。

③減価償却費
償却方法は、税務上は定額法です。定率法はNGです。
耐用年数は日本よりシンプルです。日本では機械などは機械種類別に複雑に分類されますが、中国は機械の種類を問わずすべて10年です。
・建物、構築物  20年
 ・機械     10年
 ・工具器具備品  5年
 ・車両     4年
 ・電子設備  3年
簡単なので事務は助かります。

3.会計処理の決定的な違い

最後に、会計処理の決定的な違いについて説明します。
親会社の経理部の方や赴任したマネージャーが戸惑う点についてポイント解説します。

(1)中国では税務上、仕掛品や半製品の概念がない。
中国のほとんどの中堅中小企業における会計基準は、税務基準になります。
この税務基準では、仕掛品や半製品(以下、仕掛品)の概念がありません。
製造業の在庫には、日本では、原材料、仕掛品、半製品、製品、と主に4つの概念があります。
仕掛品は、月末や事業年度末に工場内のある工程内で製造途中だったもの、を指します。半製品はその工程での作業は終了しているが、次の工程が残っているような状態のもの、を指します。
いずれにしても、工場内にある状態のものとなります。

この仕掛品は、日本では、工場に投入された時点から、投入原材料の価値にその製造に投入された製造経費(人件費や電気代など)を加算して、原価の測定をしていきます。
製造が進むにつれて、仕掛品の価格は増加していきます。そして、途中で決算を迎えたら、その日までに集計された原材料+製造経費の金額で、在庫の一種として認識し、在庫に含めて貸借対照表に記載します。

中国税法ではこの仕掛品の計算を行いません。
ではどうするか?以下のような処理をします。

①仕掛品を構成する原材料費
・まだ製造に投入していないものとして原材料に戻し、原材料倉庫にある原材料の金額に加算して貸借対照表に記載する。
②仕掛品を構成する製造経費
・製品にすべて加算(製品のうち販売されたものは売上原価になるので、製品と売上原価に区分して加算という感じでしょうか)

このため、工場内に製造途中の仕掛品が結構ある会社は、損益が大きくぶれることがあります。
このため、仕掛品の量をカウントしていない企業がほとんどです。
日本と同じ基準で判断したい企業は、仕掛品の量をカウントして内部管理用に日本基準の決算書を作成することになりますが結構大変です。
なお、会計上は仕掛品の概念がありますので、日本と同様に仕掛品を計算し、計上している会社もあります。

(2)中国は基本、発票主義
発票主義とは、発票を発行したら売上高に計上する(発票を取得したら経費や原価に計上する)というものです。
※発票については、「増値税の基礎」で解説していますので、参照ください。

では、発票はいつもらったり発行したりするのでしょうか?
・中国では一般的には、金銭の授受があった時点、
となります。日本の領収書と同じ感覚ですね。

よって、この発票による売上計上などをすると、いわゆる現金主義となりますので、日本の基準とは違ってきます。

日本では、売上高を計上するのは、出荷、納品、検収の日とするのが一般的です。つまり、金銭の授受とは無関係です。
出荷基準であれば、出荷日で売上高を計上し、まだ未入金であれば、売掛金を認識します。入金後、売掛金を消して減らし、代わりに預金を増加させます。
中国では、売掛金を認識せずに、ダイレクトに預金/売上高の仕訳で認識します。
このため、日本的な感覚とは大きく利益が異なることがあります。

事実を正確につかむためには、出荷基準ですべきなら、出荷した売上高一覧を記録し、その横に発票を発行した(つまり売上計上した)かどうかを描いて、社内資料で未発行でも出荷済みのものを売上高に加算するなどのことが必要になります。

ほかにも細かな処理の違いはありますが、決定的な違いはこの2点です。

4.結び

中国の決算書も漢字表記なので、なんとなく意味は分かる、という方は多いのですが、会計処理の違いがありますので、使いこなすというところにはストレスを感じておられるようです。
本稿で表記の違いだけでなく、会計処理の違いについても理解を深めていただき、中国子会社の管理に活かしていただければと思います。

なお、中国では法律が頻繁に改正されますので、そのキャッチアップも大切です。
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