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中国への赴任した駐在員のビザや税金はどうなるの? ビザと税金の基礎について解説します。

      2019/06/17

このカテゴリーでは、中国の税金、労務、会計などに関する基礎知識を解説しています。

今回は「赴任者のビザ及び税金の基礎」について解説します。
※個人所得税、増値税、企業所得税、社会保険などについては「中国基礎講座」をご覧下さい。テーマ別に解説しています。

なお、赴任に際しては、出国前に日本国内ですべき手続きが多数あります。
それについては、小冊子「海外に社員を赴任させる場合の税金対応」にまとめています。出国前の年末調整をどうするか?など必要な手続きについて解説していますので、ダウンロードして活用いただければと思います。

さて、ビザの種類には様々ありますが中国で働くにはZビザが必要です。
これが大原則です。

1.中国のビザの基礎

(1)駐在員
ビザの種類には様々ありますが、中国で働くにはZビザが必要です。よって、赴任して駐在する者は、Zビザが必要になります。
ビザ上の扱いはシンプルです。

(2)出張者
2015年1月1日改正からビザの取り扱いが変わっていますので、少々複雑です。
改正により以下のステップで判断することになりました。

ステップ1:中国で行う業務が「短期業務」に該当するかどうか?
・該当すれば、15日以内であってもZビザが必要となります。

ステップ2:「短期業務」に該当しない。
・15日以内であればビザ免除

なお、短期とは通常、滞在90日以内を指しています。

上記のように改正されたため、「短期滞在」の定義が重要になります。法律には以下のように定められています。
 ①国内の提携先において、技術、科学研究、管理、指導などを行う業務
 ②国内体育機構で訓練(コーチを含む)を行う業務
 ③広告映像、記録映像などの撮影を行う業務
 ④ファッションショーを行う業務(モーターショーのコンパニオンや広告映像への出演を含む)
 ⑤渉外営業性の演出に従事する業務
 ⑥人力資源社会保障部が定めるその他の状況
上記①~⑥に該当する業務を行う場合、15日以内滞在であってもZビザが必要になります。

一般のサラリーマンとしては、上記①が該当しそうですが、単なる商談や視察は①には含まれず、15日以内であればノービザで入国できます。

2.労働許可

駐在員は中国で働きますのでZビザが必要です。
Zビザを取得するためには、前段階として、「外国人工作许可通知」や「外国人工作许可证」と呼ばれる許可証(以下、許可証)を取得する必要があります。これら許可証を取得した後にZビザを申請する段取りになります。

許可証を取得は、年々難しくなっています。
取得のためには学歴や年収などを数値化した採点表で一定の点数を取らないといけないことと、発行数を政府がコントロールしているため、取得できなかったり、時間がかかることがあります。

ポイントになるのは、「点数」です。この点数等によって外国人は、A、B、Cのランクに格付けされます。
ランク付けの「点数表」は後述します。

ランク毎に許可証の発行数に制限があるようで、B、Cランクになった外国人は許可証がもらえないという事態も生じています。

(1)ランクの定義
A、B、Cのランクの定義が重要です。まず、これを説明します。
ランク定義の中にある「点数」が重要です。大企業にお勤め手それなりの地位の方はAランクの可能性があります。中堅中小企業の方は、あらかたBやCとなるようです。

1.Aランク
(1)呼称を「外国高級人材」とする。
(2)主な該当者は以下である。
①ノーベル賞受賞者
②アメリカ国家科学賞など各国の権威ある賞の受賞者
③「世界500強企業2015」の本部高級管理職や技術開発研究員など
※日本勢では、トヨタ、ホンダ、日産、日立、ソニー、パナソニック、三菱商事、丸紅、日本生命などの企業
④ゴールドマンサックスなどの世界的金融機関、デロイトなどの世界的監査法人の高級管理職
⑤別に定める「ランク付け採点表」で85点以上の人材

2.Bランク
(1)呼称を「外国専門人材」とする。
(2)主な該当者は以下である。
①別に定める「ランク付け採点表」で60点以上の人材
②学士以上の学位と2年以上の関連する仕事の業務経験がある者で下記に該当する者
・グローバル企業が派遣する中級階層以上の社員、外国企業の駐在事務所の代表者
・各企業が招聘する外国管理者或いは専門技術社員

3.Cランク
(1)呼称を「外国普通人材」とする。
(2)主な該当者は以下である。
①別に定める「ランク付け採点表」で60点に満たない人材
②季節労働の外国人
③部門管理を割り当てられる外国人

(2)ランク付け採点表
採点の要素は多岐にわたります。カッコで特徴を説明します。
①中国子会社が支払う給与水準
②学歴水準
③業務の勤続年数
④年間労働月数
⑤中国語のレベル(HSKという中国語資格の点数が高いと加算)
⑥労働地域(中国内陸部など政府として経済発展を促進したい地域に赴任すると点数加算)
⑦年齢(60歳以上になると配点は0点)
⑧有名企業での勤続経験(世界500強と呼ばれる大企業での勤続経験があると加算)
⑨地方政府の加算(その地方に必要なスキルを持った人は点数を加算するなど)
表には、0点とか20点とかの点数があります。この合計が60点以上であればBとなります。許可証が取得しやすくなります。

(3)取得フロー
地域によってフローや窓口となる役所の名前も異なります。深センでは以下のようになっています。

ステップ1「外国人工作许可通知」の手続き
・受理機構:深圳市外国专家局
・場所:深圳市人才园行政服务大厅
ステップ2「邀请确认函」の手続き
・受理機構:深圳市外事办公室
・場所:市民中心B 区行政服务大厅
ステップ3:「Zビザ」の手続き
・受理機構:中国驻外使领馆、深圳口岸
ステップ4「外国人工作许可证」の手続き
・受理機構:深圳市外国专家局
・場所:深圳市人才园行政服务大厅
ステップ5「身体検査」の手続き
・場所:皇岗口岸医院
ステップ6「外国人就业居留签证」の手続き
・深圳市公安局出入境管理处
・入国後30日以内

Zビザ取得手続きそのものは旅行会社でもやってくれるのでいいのですが、点数などはどうしようもないので、中国語を勉強するなどして地道に点数を上げる必要があるようです。

(4)年齢制限
中国でのZビザ取得には年齢制限があります。
地域にもよりますが、例えば、深センで就業する場合の年齢制限は以下です。
・下限は満18歳で、上限は一般論としては60歳である。ただし、企業投資者・法定代表人・責任者並びに不足している高級管理技術人員で、心身状態が良好で、且つ企業が担保証を提供する前提で、年齢上限(新たな就業証では一般に65歳まで。延期就業証は70歳まで)を緩和することができる。なお、Aランク外国人は年齢上限はない
※担保証には、以下を含む。
 1.年齢上限を超えて雇用する緊急な理由や必要性
 2.年齢上限を超える申請者の良好な提供業務、良好な生活環境、保険購入を事実があること

このような扱いがあるため、総経理など企業運営に欠かせないポジションにある赴任者はかなり高齢でも許可証を取得できているようです。
ただ、ずっと更新できるかどうかはわかりませんので、後進の育成が課題になります。

3.赴任者の税金

(1)課税対象となる給与
「個人所得税の基礎」でも解説したように、中国で働くことによって給与などの所得を得る赴任者は中国で税金を納める必要があります。

中国子会社の総経理などの地位で赴任されれば、1年を超えて中国国内に居住し、また1年のほとんどを中国国内で業務し、その対価として給与収入を得ますので、給与全額が課税対象になります。たとえ、一部の給与を日本国内で支払ったとしても、その部分も課税対象になります。

ちなみに、このような働き方をする赴任者は中国税法では「居住者」と判定されます。
となると、中国国外所得も中国の課税対象になります。
よって、この方が日本に土地を持っていて家賃収入があるようなケースでは、その不動産所得も中国の課税対象となります。

(2)外国人特有の免税所得
赴任して働く外国人は、特別な支出があります。例えば、クリーニング代や語学教室の費用です。これら特別な支出に対して、企業が手当を支給することがありますが、一定の条件を満たすとこれら手当を免税とすることができます。
・住宅手当、食事手当、クリーニング手当、引越手当、出張手当、帰国手当、語学手当、子女教育手当
が対象となります。いずれも、実費精算方式で領収書などのエビデンスが必要になるなど、条件がありますので個別に確認する必要があります。

なお、この免税規定は2021年12月31日で終了します。
2022年1月1日以降は、中国人と同じく、「専用控除」と呼ばれる控除方式に変わります。
専用控除の規定がない手当(出張など)は、免税規定が継続すると思われますが、2022年にならないと明確にはならないかもしれません。
専用控除に関する詳細は、「個人所得税の基礎」を参照してください。

4.結び

赴任者にとって、ビザや税金は面倒なテーマです。ノービザで働くと違法ですので、確実にビザを取得する必要があります。
また、点数制になりましたので、Zビザが更新されないケースも出てきています。こうなると、後進を派遣しないといけませんので、企業としてはそのあたりもケアする必要が出てきますので、ビザが円滑に更新できるよう注意していただければと思います。

なお、中国では法律が頻繁に改正されますので、そのキャッチアップも大切です。
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