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増値税とは? 中国の増値税の基礎について解説します。

      2019/09/04

このカテゴリーでは、中国の税金、労務、会計などに関する基礎知識を解説しています。

今回は「増値税の基礎」について解説します。
※個人所得税、企業所得税、社会保険などについては「中国基礎講座」をご覧下さい。テーマ別に解説しています。

増値税は、モノの売買やサービス取引に対して課税される税金です。

1.増値税とは?

増値税は、日本の消費税に相当する税金です。
消費税は、買い物などの際に負担されていると思いますのでなじみが深いと思います。
中国でも買い物をすれば、増値税を負担します。

ただ、企業と増値税がどう絡むのかはあまりイメージできない方も多いようです。
そこでまずは、増値税と仕組みが似ている日本の消費税を題材に企業と増値税の関係性について解説します。

消費税は、販売した際に本体価格の8%を本体価格とは別にいただき、仕入した際に本体価格の8%を本体価格とは別に支払います。
たとえば、売上高200円なら、その8%で16円を別にもらいます。
また、仕入高50円なら、その8%の4円を別に支払います。
そして、決算の時に、もらった16円と支払った4円の差額の12円を税務署に納付します(16円-4円=12円)。
つまり、
 +16円(得意先からもらう)
  -4円(仕入先にはらう)
 -12円(税務署におさめる)
  =0円
となり、仕入れて販売する企業にとっては負担なしになります。
なお「-4円」のことを「仕入税額控除」といいます。

計算式はこうなります
・受け取った消費税-支払った消費税=納税する消費税

計算式のように、商品を仕入れて販売する企業は消費税を負担しません。
消費税の最終負担者は、仕入れたが(購入したが)それを次に販売しない者です。
つまり最終的な消費者です。

中国の増値税もまったく同じ仕組みです。
なので、日本の消費税の上記の仕組みを理解しておけば、全然難しくない税金です。

2.増値税は何に課税されるか?

増値税は、モノやサービスの取引に課税されます。
モノは、服や食品などの日用品まで様々です。
なお、これらを輸入した時もかかります。
貨物を税関から引き取るときに、16%分の増値税を税関に納税すると荷物を渡してくれます(+関税)。

サービスは、交通運輸、郵便、電信、貸付などの金融サービス、家賃、リース、メンテナンスや修理、教育、医療、ホテル、レストラン、コンサルティングなど目に見えないサービスです。
税率は、モノとサービスでは、異なります。

モノは主に16%、サービスは主に6%です。

3.小規模納税人

企業規模が小さい(小規模納税人といいます)と優遇があります。
月売上高が10万元以下であると増値税が免税されます。

4.発票とは?

中国でお金をやり取りがあると、「発票」という言葉が飛び交います。
発音は中国語で、ファーピャオ(fā piào)です。
発票は増値税と深い関係にあります。

発票は、領収書のようなものです。
日本では、接待で支払いの際に、「領収書ちょうだい」となりますが、中国でも同じで、お金を支払ったほうが、発票をもらいます。
発票を発行するのは、お金をもらう側です。
なので、みなさんの会社がサプライヤーから仕入をしてお金を支払うと、発票を「もらう」ことになります。

この発票には、仕入の本体価格と増値税の額がそれぞれ記載されています。ほかにもサプライヤーの名前や仕入れた商品の名称や数量などが書いてあります。
何を書かないといけないかは法律で決まっています。

この発票がないと、とても困ります。
便宜的に先ほど説明した消費税の仕組みを例に説明すると、
・16円-4円=12円(→これを税務署に納付する)
とやりましたが、発票がないと、仕入税額控除ができなくなってしまうのです(税務署が認めてくれません)。よって、
・16円-0円=16円(→これを税務署に納付する)
になってしまい、余分に4円の税金を納付することになってしまいます。

もったいないですね。

税務署が「-4円」の仕入税額控除を認めないケースは、
・発票がない
・発票の書き方が悪い(法律に定められた記載内容どおり書いていない)
・発票の記載内容が嘘
などがあります。
ほかにも特殊なケースでは仕入税額控除ができません。これは「5.仕入税額控除が認められないケース」で解説します。

また、発票にはさまざまな種類がありますが、重要なのは、
・増値税専用発票
です。
なぜ重要かというと、増値税専用発票じゃないと、仕入税額控除がそもそもできないからです。
ちなみに、発票は、そのフォームや配布を税務署が管理しています。発行する際に使い切ってしまったら税務署に行って支給してもらうことになります。

みなさんの会社のサプライヤーのほとんどは増値税専用発票を発行できると思います。支払ったら、必ず増値税専用発票をもらい、その内容に誤りがないか確認しましょう。

なお、発票も偽物が横行しています。
これをつかまされると困るので、税務署が確認してくれます。逆にこの確認(認証といいます)がないと、税務署が本物と確認できないので、「-4円」ができません。
認証は法律では発行日から数えて360日以内にするようにと定められていてかなり長い猶予がありますが、すぐに認証するようにしましょう。

●正しい発票とは?などは関連記事でご確認ください。下記以外にも解説記事がありますので、カテゴリー「増値税改正などのニュース」内の記事を参照してください。
発票の押印で注意すべき点は?
発票は勝手には無制限に発行できませんのでご注意を!
「摘要欄」には何が書かれていないといけないか?
発票をもらえない場合、経費処理はどうすればいいか?
発票にハンコを押す場合、どの発票にハンコを押さないといけないか?
発票を紛失、毀損した場合、どのような手続きをしないといけないか?

5.増値税を受け取っていないのに増値税を納めないといけないケース

得意先に無料でサンプルを配った場合、お金をもらっておらず、また売上でもないのに増値税を課税する、とされてしまいます。
この場合、お金をもらっていないので、増値税分は自社負担で納付することになります。
このような取引を「みなし販売」といいます。
みなし販売には以下があります。

①物品をその他単位或いは個人に引き渡して代理販売させる行為。
②物品を代理販売する行為。
③二つ以上の組織を設けて統合計算を実施している納税者が、物品を一つの組織から他の組織に移送して販売する行為。ただし、関連する組織が同一の県(市)に設けられている場合を除く。
④自家生産或いは委託加工の物品を非増値税課税項目に用いる行為。
⑤自家生産、委託加工の物品を集団の福利或いは個人消費に用いる行為。
⑥自家生産、委託加工或いは買い入れた物品を、投資としてその他の単位または個人商工事業者に提供する行為。
⑦自家生産、委託加工或いは買い入れた物品を、株主または投資家に割り当てる行為。
⑧自家生産、委託加工或いは買い入れた物品を、無償でその他の単位または個人に贈与する行為。

上記⑧がサンプル取引ですね。ほかにもたくさんありますので、このような取引ななるべくしないようにされるといいと思います。

6.仕入税額控除が認められないケース

仕入れてお金を払い発票ももらったけれど、仕入税額控除ができないケースがあります。
このようなケースには以下のようなものがあります。

①簡易課税計算の項目、免税項目、集団福利や個人消費の購入貨物・加工修理労務・サービス・無形資産と不動産
②非正常損失の購入貨物、及び関連の加工修理労務と交通運輸サービス
③非正常損失の製品、製品消耗の購入貨物(固定資産は除く)・加工修正労働と交通運輸サービス
④非正常損失の不動産、及び当該不動産消耗の購入貨物・設計サービスと建築サービス
⑤非正常損失の不動産で建設中消耗の購入貨物・設計サービスと建築サービス
⑥購入旅客運輸サービス・借入サービス・レストランサービス・居住者日常サービスと娯楽サービス
⑦その他財政部と国家税務総局が定める項目

上記にあるように、福利厚生などで、現物支給したりすると、その仕入支払時に負担した増値税が仕入税額控除できませんので、注意してください。

7.増値税はいつ納付するのか?

ほとんどの企業で毎月納付です。

8.輸出したら増値税はどうなるか?

日本では輸出は免税、つまり、本体価格に16%ではなく、0%となります。
この場合、上記の計算例では、16円が0円になりますので、
・0円-4円=▲4円
となります。
国内での売上がなければ、受け取る消費税が0円なので、▲4円は税務署から戻ってきます。

中国では、輸出は免税というのは常識ではありません。
基本、課税です。
ただ、商品を絞って税率をゼロ%や16%から下げていることがあります。

このため、日本と違い、仕入時に支払った増値税は全額戻ってくることはほぼありません。
輸出する商品によって異なります。
つまり、16%の増値税に対して一部しか戻ってこないことになります。戻ってこない増値税は経費として処理します。
商品別の還付率をチェックして資金繰り予想をしないといけないことになります。

9.結び

増値税は、日本の消費税とほぼ同じ仕組みなので、慣れてしまえば難しくない税金です。
ただ、発票には注意が必要です。
日本では、文具店で売っているような領収書でいいのですが、中国では、税務署が厳格に管理しています。理由は脱税が多いから。
おかしな発票をつかまされないように、最新の注意を払っていただければと思います。

なお、中国では法律が頻繁に改正されますので、そのキャッチアップも大切です。
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