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企業所得税とは? 中国の企業所得税の基礎について解説します。

      2019/12/02

このカテゴリーでは、中国の税金、労務、会計などに関する基礎知識を解説しています。

今回は「企業所得税の基礎」について解説します。
※個人所得税、増値税、社会保険などについては「中国基礎講座」をご覧下さい。テーマ別に解説しています。

企業所得税は、中国に設立した中国子会社だけでなく、日本親会社も課税対象になる場合があります。

1.企業所得税とは?

企業所得税は、日本の法人税に相当する税金です。
税率は25%です(小規模企業は20%)。日本より低いです。
日本は、地方税と合わせてまだ33%くらいあります。
ちなみに、中国では企業所得税計算では地方税に相当するものはないので、25%のみです。

なお、小規模企業に対して2019年~2021年の3年間、大幅減税があります。
もともと20%と優遇されていましたが、さらに減税されています。具体的には以下です。
・年間課税所得額が100万元までの部分 
 →課税所得額×25%×小規模企業税率(20%)=実質税率5%
・年間課税所得額が100~300万元までの部分 
 →課税所得額×50%×小規模企業税率(20%)=実質税率10%

5%、10%はタックスヘイブよりも優遇されている税率です。
是非、有効活用していただきたいと思います。
この減税についての詳細は下記のリンク記事をご確認ください。
企業所得税大幅減税の続報です。法案化されました
企業所得税減税の対象となる小規模企業の定義をどう計算するか?

2.企業所得税は何に対してかかるのか?

企業の儲けに対してです。
なお、儲けのことを、税務では「所得」といいます。
一般的には、儲けは「利益」と呼ばれますが、利益に税務上の調整を加えて再計算したものが所得です。経費として認められない支出があるということです。
たとえば、交際費。
交際費を支出すると利益はその分減りますが、税務的には全額を経費としては認めません(経費として認めないことを「損金不算入」といいます。逆は「損金算入」)。
このため、経費として認めない額を、利益に足し算します(足し算することを「加算」といいます。逆は「減算」)。
このため、ほとんどの企業で、利益と所得は一致しません。

3.日本親会社が負担する企業所得税

企業所得税は、基本的には、中国で活動する企業に課税されるものですが、日本親会社にも課税されることがあります。
例えば、中国子会社から日本親会社に支払う、配当、利息、ロイヤリティーなどです。
こちらの税率は10%です。
中国から日本に送金するときに、中国子会社は、支払う金額から企業所得税を差し引き(これを源泉といいます)、源泉した税金を税務署に納付します。
この場合、税金の負担者は日本親会社で、中国子会社は納税の代行をしていることになります。
親会社の手取りは総額の90%分となります。

なお、送金で気を付けないといけないのは、サービスフィーです。これは後述します。

4.企業所得税の注意点

ここでは、中国で活動する企業(中国子会社)の注意点を解説します。日本親会社の注意点は後述します。

(1)発票
経費として認められるには、特殊なケースを除き、基本的に「発票」が必要です。
発票については、「増値税の基礎」で解説していますので、参照してください。

(2)損金不算入
経費のすべてが認められるわけではありません。経費として認められる限度は以下です。

①社員福利費
賃金総額の14%を超えない部分は、損金算入できる。
②社員教育費
2018年1月1日から、賃金総額の8%を超えない部分を損金算入できるようになった(一部の企業を除き、以前は2.5%)。8%を超える部分は翌期以降に繰り越して控除できる。
③社会保険費
・基本保険
関連主管部門等が規定する範囲と標準で社員のために納付する、基本養老保険費、基本医療保険費、失業保険費、労災保険費、生育保険費等の基本社会保険費は、損金算入できる。
・補填医療保険、補填養老保険
国家の関連政策規定に準拠して、企業に雇用される全体の社員のために支払われる補填医療保険費、補填養老保険費は、賃金総額の5%を超えない部分は損金算入できる。超過部分は控除できない。
④商業保険
・国家の関連規定により、特殊な業務に従事する社員のために支払う人体安全保険費と、国務院財政・税務主管部門が控除することを認めた商業保険以外は、控除できない。
・企業が参加する財産保険で規定に従い納付する保険費は控除できる。
⑤住宅積立金
関連主管部門等が規定する範囲と標準で社員のために納付する、住宅積立金は損金算入できる。
⑥工会経費
賃金総額の2%を超えない部分は損金算入できる。
⑦交際費
・事業活動に関連する交際費は、発生額の60%は損金算入できる。ただし、営業収入の0.5%を超えることはできない。
⑧広告宣伝費
・企業が支出した条件に合致する広告宣伝費は、国務院財政・税務主管部門の特別な規定を除き、原則、営業収入の15%を超えない部分は損金算入できる。超える部分は翌年度以降に繰り越して控除できる。
・化粧品の製造・販売、医薬品の製造、飲料製造(酒類は除く)企業の広告宣伝費は、営業収入の30%を超えない部分は損金算入できる。超える部分は翌年度以降に繰り越して控除できる。
⑨公益性寄付
利益総額の12%を超えない部分は控除できる。超える部分は、翌期以降3年内は繰り越し控除できる。
⑩利息(対金融機関)
他の金融機関の利率と比較して同水準の利息は控除できる。
⑪利息(対非金融機関)
他の金融機関の利率と比較して同水準の利息は控除できる。
⑫コミッション、手数料
事業活動に関連して発生したコミッションや手数料は、保険会社を除く一般企業の場合、合法の経営資格を有する仲介会社に支払うものは、当該仲介サービス契約の収入金額の5%を超えない部分は損金算入できる。 動に関連する交際費は、発生額の60%は損金算入できる。ただし、営業収入の5%を超えることはできない。

(3)特別損失の専用申告
特別損失とは、あるべき資産がなくなってしまって、損失処理することをいいます。
たとえば、以下があります。
・現金を紛失した
・売掛金が回収できない
・在庫が売れずに捨てることになった
・機械が壊れて捨てることになった
このような場合、損失処理すると所得が減りますが、本当に捨てたのかどうかなどがわかりませんので、経費として認めてもらうには、税務署に対して、別途で報告し許可をもらわないといけません。

これを専用申告といいます。

これら損失処理は、大きな金額であることが多いのでこのような制度があります。
専用申告では、さまざまな資料を添付して提供します。これが結構大変です。
専用申告に必要な書類は
小冊子「中国税務、中国子会社管理の基礎知識」で解説しています。この小冊子をダウンロードしていただきご確認ください。

5.企業所得税はいつ納税するの?

企業によって異なります。
毎月納付の企業もあれば、四半期納付という企業もあります。税務署が指定します。
ちなみに税制優遇が享受できる小規模企業は四半期納税です。

6.日本親会社への送金での注意点

(1)納税済みであること
日本親会社のような国外の企業といえども、中国国内に源泉のある所得に対しては、納税義務があります。
このため、配当などを送金する場合は納税が必要です。具体的には、中国子会社など国外への送金を行う企業が送金時に源泉徴収して納税します。

また、5万米ドルを超える金額を送金する場合、銀行に納税したことを証明する書類を送金申請書と一緒に提出する必要があります。
5万米ドルは多額なので、きちんと納税したかどうかを確認するわけですね。

(2)サービスフィー
中国国内に源泉のある所得に対しては、日本親会社のような国外の企業といえども、納税義務がある上記で説明しましたが例外があります。
日本と中国は税務ついて、条約を結んでいます。
これを「日中租税条約」といいます。中国語では「中日税收协定」となります。

この条約において、日本国内企業は、中国国内で発生した所得であっても、その仕事の場が管理できる施設でなければ免税扱いにするという規定があります。
管理できる施設のことを専門用語で恒久的施設(PE)といいます。
税務の世界では「PEなくして課税なし」と言われます。

例えば、日本親会社の社員が中国子会社に出張して、経営管理制度構築の支援をし、その報酬を親会社が子会社に請求することがあります。
日本親会社は、中国に子会社はありますが、出張して子会社の事務所に行って作業するだけですから、親会社としての施設はありません。
子会社の事務所は子会社のものだからです。
よって、施設はありませんので、この支援費用(親会社から見ると支援報酬)には本来であれば課税されません。
※PE認定されないためには他にも要件があります。

が、中国では、課税されることがしばしばあります。

課税される場合は、企業所得税の税率の25%で課税されます。
といっても、このようなケースで課税する場合、「みなし経費」を認めるという考え方があり、たとえば、報酬が100万円であった場合、経費率は60%程度認められます(逆に言えば、利益率は40%。これをみなし利益率といいます)。
よって、利益(所得)は、40万円になります。
これに25%課税されますので、税金は10万円となります。
結果、売上高100万円に対して税金が10万円のため、売上高に対して10%となりますが、配当や利息などと同じになります。ただ、これは「偶然の一致」です。
ちなみに、みなし利益率は、サービスフィーの内容によって異なり、すべてが40%ではありませんので注意が必要です。
この場合、中国当局としては、PEあり、と判断して課税しているのだろうと思いますが(実際は、子会社の担当が租税条約に対する知識がないため、配当と同じように10%源泉しているケースもあるようです)、PE認定の理由が明らかにされることはほぼありません。

6.結び

親会社から派遣される方は、日本勤務時代に法人税の計算や納付を担当した経験はあまりないでしょうから、最初はなじみがないかもしれません。
ただ、企業所得税は、日本の法人税とその仕組みはほとんど変わりませんので、一度、馴染めばそれほど難しい税金ではありませんので、上記のポイントをおさえていただければと思います。

なお、中国では法律が頻繁に改正されますので、そのキャッチアップも大切です。
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