事業再構築のM&A実務

中央経済社 3,300円(税込)

事業再構築にM&Aは不可欠です。失敗しないために必要な検討項目、進行上の留意点、各スキームの会計・税務、抜殻会社の税務処理等について多数の事例を交えて要点を解説します。
内容
10年以上前は、事業が立ち行かなくなり事業再構築を行うケースが多かったが、現在では、事業再構築とは、ヒト・モノ・カネ・といった経営資源を最もキャッシュ・フローを生み出すことができるように再分配する一連のフローのことを指し、未来志向的かつアグレッシブな経営戦略の1つと捉えられている。
事業再構築はあくまでも経営資源を再分配すること、また、M&Aは経営資源を売買することを指す。したがって、事業再構築を実施するにあたり、M&Aは非常に有効なツールとなり得るため、本書は、M&Aを利用しながら実行する事業再構築の進め方とポイントを解説している。
本書は、大きく分けると2部構成である。
前半部分(第1章、第2章)は、失敗しない事業再構築を実行するために必要な検討項目をまとめ、その実行上注意すべきポイントをまとめたものである。さらに、事業再構築にM&Aを絡めた場合における、M&A自体の進め方や企業評価などの業務遂行上のポイント等も、多くの事例を入れながらまとめている。
後半部分(第3章、第4章)は、主に会計・税務を中心にまとめたものである。事業再構築を実行する際には、いろいろなスキームが法律上用意されている。しかしながら、オールマイティな手法は存在せず、ケースバイケースでどの方法がよいのかを選択していく必要がある。恐ろしいことに、その選択した手法によって、企業が検討すべきリスクが異なり、選択したスキームによって、会計・税務上の処理も異なってくる。そこで、なぜ、それらの処理が違うのか、各スキームの会計・税務上の原則原理を踏まえながら、それらの特徴と留意点を説明している。また、実務上よくある6つのケースを取り上げながら、現実的に注意すべき項目をまとめている。
また、従来はあまり問題となってこなかったいわゆる「抜け殻会社」の処理は、平成22年度税制改正により非常に重要となっている。なぜ、重要となっているのか、また、その活用にあたって注意すべきポイントを第4章にまとめた。
目次
はじめに
第1章 事業再構築の検討・準備
- 第1節 事業再構築の意義
1 事業再構築の意義
2 自社の競争優位の分析 - 第2節 事業再構築とM&Aの活用
1 事業再構築のもつ意味
2 M&Aと事業再構築
3 事例(経営資源の再配分から着手する2ステップの事業再構築)
4 アライアンス(事業提携)と共同事業運営 - 第3節 事業再構築のための事前検討項目
1 事例(何の事業を強化し、何の事業は捨てるのか)
2 全社経営戦略の視点
3 業務フローの視点
4 組織の視点
5 財務の視点
第2章 M&Aを活用した事業再構築時の留意点
- 第1節 M&Aを活用した事業再構築プロセス
1 M&Aのプロセス
2 準備段階
3 交渉段階
4 契約書作成段階
5 フォローアップ段階
6 M&Aを活用した戦略的な事業再構築を行うために - 第2節 事業価値の評価方法
1 事業価値評価の基本的な考え方
2 マーケット・アプローチの具体的な手法
3 インカム・アプローチの具体的な手法 - 第3節 MBO・EBOの活用方法
1 MBO・EBOの意義
2 MBOの基本的なスキームと留意点 - 第4節 事業再構築後の事業運営上の留意点
1 ポストM&Aが重視される理由
2 ポストM&Aにおけるガバナンス
3 従業員のモチベーションアップ
第3章 M&Aを活用した事業再構築の会計・税務
- 第1節 M&Aスキームの概要
1 M&Aスキームの種類
2 スキームの比較 - 第2節 M&Aスキームと会計・税務
1 M&Aスキームと会計
2 M&Aスキームと税務 - 第3節 売り手と買い手の会計・税務
1 事例1「株式譲渡」
2 事例2「事業譲渡」
3 事例3「株式分割」
4 事例4「株式譲渡」+「吸収合併」
5 事例5「株式交換」
6 事例6「株式移転」
第4章 抜け殻会社の清算手続きと税務
- 第1節 M&A後の抜け殻会社化の可能性
1 抜け殻会社とは
2 抜け殻会社の処理方法 - 第2節 抜け殻会社の清算
1 会社清算の手続き
2 実務上の留意点 - 第3節 会社清算の税務
1 清算会社の税務
2 親会社の税務
3 個人株主に係る税務
編著者紹介
- 執筆・監修者 : 林 公一、磯竹 克人
- 執筆者 : 池ヶ谷 穣次、坂井 啓宏、廣瀬 明、村井 克行、荒川 幸洋
永持 祐司、川合 和人、川野 勝彦、伊原 和也、長沢 健史