企業視察会概要
- 日程
2010年3月15日(月)
9:00 JR新宿駅西口スバルビル前 集合・出発後 坂本光司教授による車上セミナー
10:00 株式会社ライブレボリューション 到着
増永社長の講話
社内見学
質疑応答
12:00 ライブレボリューション 出発
調布の深大寺にて昼食
14:00 三鷹光器株式会社 到着
中村社長の講話
工場内見学
質疑応答
16:00 出発
18:00 JR新宿駅西口スバルビル前 到着・解散
- 参加者
31名
株式会社ライブレボリューション
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所在地:〒108-6318 |
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景気や業績の先行き不透明感から2011年度の採用計画に慎重な姿勢を崩さない企業が多い中、「宇宙一の企業」をビジョンとして掲げ、11年度採用計画30名、昨年10月からスタートした11年度採用者向け会社説明会の参加者が13,000名を超す(3月現在)株式会社ライブレボリューション(以下、LR社)増永寛之社長に人財の採用・育成・評価に対する考え方を伺った。
![]() 受付カウンターにはウェルカムカード |
『LR HEART』が地下水脈(アイデンティティ)
LR社が求める人財像は、クレド(信条)である『LR HEART』のように人生を歩んできた人だ。『LR HEART』には、企業理念、経営理念、メンバーへの約束、基本原則(29項目)、宇宙一へのコンセプト(12項目)、
そして、「すべては、夢を持つことから始まる」(宇宙一へのコンセプト1項)というコーポレートコピーによって構成されている(詳細は、増永寛之(2007)『宇宙一愛される経営』総合法令出版、p.212-213を参照されたい)。
なお、『LR HEART』の手本になったのがザ・リッツ・カールトンホテルの『クレドカード』であり、増永社長が当ホテルの人事部長から直接レクチャーを受けたことで、クレドの本質を知り、LR社もこれに習い2005年4月から導入した。
![]() 『LR HEART』を手にお話される増永社長 |
セレクション(採用)には命を懸ける
LR社は、人財こそが価値創造の源泉であり、最も大切な経営資源と位置づける。他方、『LR HEART』を心から納得できる人財を採用することに対して妥協を許さない。
人財の採用ルールは「新規学卒者以外は募集しない」こと。このルールは一見すると、新規学卒者は「無垢であり、色に染めやすい」からと捉えられがちであるが、それは誤解である。「新規学卒者は真っ白ではない。20数年間の人生を歩んできており、ひとりひとりに色がある。LR社は就職希望者の中から『LR HEART』のように人生を歩んできた人を採用している。」のだ。そのためには、厳しいセレクションを行わなければならない。また、厳しいセレクションを行うためには「母数(エントリー)が多くなければならない」。
そのためには、多くの若者を惹きつける磁石を備えなければならず、企業理念やビジョン、事業内容や労働環境はもとより、求人情報の発信や会社説明会での演出など、戦略的なエントリー者の募集を展開している。
ちなみにLR社では、採用まで8次にも及ぶ選考を行っており、就職希望者はもとより、LR側も多くの(時間や人員を含む多種多様な)コストを掛けており、採用活動は、最上位ミッションのひとつに位置づけられる。
「ゆとり文化」が人を成長させる
金銭的な「ゆとり」、時間的な「ゆとり」、心の「ゆとり」がなければ、大切にしなければならない人や仲間を思いやり、優しくすることはできない。多くの企業は、競争力を維持するために、社内で仲間同士を競わせ、社員から精神的な「ゆとり」を奪っている。しかし、その一方でチームワークを奨励する。これは矛盾でしかない。また、この構図が、社内における人間関係を悪化させ、強くても優しさのない企業を多く誕生させてしまった。強いだけの企業に社会的価値はない。
LRでは、営業ノルマを課していない。この理由は「ゆとり文化」を奨励していることはもちろんであるが、「数字を出す喜びよりも、顧客に貢献する喜び」を重視しているからである。
「営業ノルマなし」→「ゆとりが生まれる」→「仲間のこと、顧客のことを考える時間ができる」→「チームワークが向上する。顧客に貢献できることは何かをじっくり考えられる」→「仲間や顧客との信頼関係が向上する」といった好循環が生まれ、必然的に仲間が支えあい、人として成長を促すことで、LRの成長発展を実現している。
環境整備面だけではなく、他にも「月一全メンバー読書会」を開催しており、毎月1冊の課題図書をメンバーで読み合わせることで、知識の共有化、知識水準の同一化も図っている。
![]() L.BAR |
![]() LR社内風景 |
民主的な給与・評価体系
LR社では、独自で開発した「Six Members Valuation」によって人財評価が行われている。
この評価手法の特徴は、
1)自分の周りの6名から、『LR HEART』と「パフォーマンス」の軸で評価される。
2)3ヶ月に一度評価する(年4回昇給)。1回平均5,000円ほど昇給。
3)独自開発のウェブベースのシステムにより、10分程度で評価が可能。
評価期間終了後、翌日にはウェブでフィードバック。昇給額もその画面に表示。
会社は一切その評価に手を加えることはできない。
4)相対評価ではなく、絶対評価である。数字の達成などは一切考慮されない。
すべての職種で、全く同じ方法で評価し、年齢、年次、役職による差はなし。
5)「Six Members Valuation」の評価が高い評価者からの評価ほど正しいという考え方のもと、
評価反映のウェートが大きくなる。
これは、年功序列型や成果報酬型、目標管理型や年1回昇給型といったわが国企業の多くが採用するいずれのものとは異なり「既存の給与・評価体系を凌駕する画期的な制度」「会社とメンバーがwin-winになれる仕組み」なのである。
The Speed of Trust(スピード・オブ・トラスト)
スティーブン・M.R.コヴィー博士の言葉を借用すれば、「「信頼」がスピードを上げ、コストを下げ、組織の影響力を最大化する」。
表層を眺めただけでは、ベンチャーの急成長企業としてしか映らないLR社だが、増永社長の話を伺うことで、LR社の深層を肌で感じることができた。仲間、顧客、社会との信頼関係を構築することで、企業に信頼を貯蓄し、パフォーマンスのスピードと質を高め続けている。
この紙面だけでは語り尽くすことができない、奥深さがあり、今後の成長発展や社会への貢献を大いに注目したい企業である。
![]() 坂本光司教授ご挨拶 |
三鷹光器株式会社
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所在地: |
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始まりは望遠鏡
三鷹光器は、東京都三鷹市に本社を置く精密機器メーカーであり、もともとは主に天体望遠鏡などを製造していた。天体望遠鏡の種類は多種多様であるが、三鷹光器の作る望遠鏡は特殊なものが多い。たとえば、南極のオーロラを見るための望遠鏡、日食観察専用の望遠鏡、ハレーすい星のように、別軌道で回っている天体を追っかけて行く望遠鏡などである。またそのほかにも、オゾンホールを発見した観測機器やブラックホール発見に寄与したX線望遠鏡、スペースシャトル・コロンビアに搭載された特殊カメラなどがある。
望遠鏡から医療分野へ
望遠鏡からスタートした会社ではあるが、現在は医療機器分野が中心である。当日、中村社長が我々に、太陽が核融合を行っている一枚の写真を見せてくれた。「そこに、医療分野進出のヒントがあった」という。
当社が製造しているのは、脳神経外科手術用顕微鏡とそのスタンドであり、その世界シェアは50~60%を誇る。この顕微鏡は、交通事故による脳損傷や脳にできた巨大な腫瘍を切除する時などに使われる。
太陽の写真を撮る際に、特殊な光だけを取り出すフィルターを通して撮影する技術が三鷹光器にはあり、その技術を転用し腫瘍・癌だけを光らせ、腫瘍を残さずに摘出するのに役立つのである。「この機械で多くの人の命を救う手伝いができた」と社長は語ってくれた。
![]() 手術用顕微鏡 |
地球を救いたい
現在、三鷹光器が積極的に取り組んでいるのが、環境分野、特に太陽熱の活用である。社長は、「我々が生きていられるのは地球のおかげ。それならば地球をもっと大事にすべきで、地球を救いたい」と語ってくれた。
反射鏡を利用した巨大な太陽熱集光装置を製作し、そこから得られる熱エネルギーを用いることで、電力を得たり、海水や汚水を真水に変えたり、季節外農業などへの活用出来ると言う。またこの装置は、二酸化炭素を一切排出せず、地球環境にやさしい次世代型エネルギーを作り出すのである。
三鷹光器から車で10分ほど行ったところに、その実験施設が完成しつつあり、完成すれば、多くの市民や児童に公開され、環境問題や新しいエネルギーについて学ぶ場にもなるであろう。
![]() 中村社長のご講話 |
設計図は現場にある
社長は「当社に設計図はない。設計図は現場にある」と言う。顧客のニーズの中に設計図はあるのである。現場でポンチ絵(製品イメージ図)を描きながら、それをもとに話し合いをすれば、そのほうが短時間で設計図は完成する。無(む)から有(ゆう)を創るには、脳で書くことが重要となるからである。
事実、三鷹光器では課長以下の社員はCADを使用しないことになっている。CADは確かにいい道具だが、あくまで道具であり、「ああしよう、こうしよう」と考えながら、汎用機で手と脳を動かしながら作るほうが、創造力を養い、社員の技術力が高まるである。
この現場でのやり取りこそが、三鷹光器の新製品・新技術を生み出す力となっているのである。
![]() 工場内見学風景 |
![]() 工場内見学風景2 |
![]() 3D測定器 |
ユニークな入社試験
三鷹光器が行っている入社試験はユニークではあるが、非常に理にかなったものである。試験は3つあり、まず1つ目が電球のデッサン、2つ目が模型飛行機の製作、そして3つ目が(実は公にはされていないが)焼き魚を食べさせる、というものである。
これらの試験は、応募者のモノづくりの適性を見るために行われている。それは三鷹光器が精密機器を扱うメーカーだからこそ行っている試験である。例えば、電球のデッサンなどは、絵の上手い下手は選考には特別関係しない。何度も消しながら絵を描く人は観察力不足であり、モノづくりには向かない。逆に、電球にブランド名を描いたり、電球に映りこむ景色までを描く人は細かいところまで配慮できる人材として評価され入社している。
そして模型飛行機の製作では、出来上がりもさることながら、製作の過程に重点を置いている。段取り、指示に対する素直さ、道具の扱い、創意工夫などを判断するために行われているのである。
このように、各々の社に求められる能力・適性を明確化し、採用活動を行うことがより重要となるであろう。
(文責 調査研究事業室 2010年4月1日)












