ご挨拶
7月17日「夏期経営トップセミナー2009」は昨年度に引き続き満員御礼をいただき、大変盛況の内に終了することができました。県内はもとより、かなりのご遠方からも多くの皆さまにご出席を賜り誠にありがたく、ここにお礼申し上げます。
セミナーの様子を以下にご報告申し上げたいと思います。
第1部 セミナー
- 主催者挨拶
あさ出版 代表取締役社長 佐藤和夫氏 - 参加者
170名(関係者含む) - 総合司会
株式会社アタックス 執行役員 北村信貴子
![]() セミナーの様子 |
第1講
トータルコーディネーター:法政大学大学院政策創造研究科 教授 坂本光司氏
「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者であり、トータルコーディネーターである法政大学大学院 坂本教授(アタックスグループ顧問)より、各講師の方のご講演に先立ち、本日のポイントを解説いただきました。
- 本の売れた数より、自宅のパソコンへのメール、FAXが殺到していることに驚いている。送られる方々の思いの強さから、殆ど全ての方に返信している。
- 寄せられた三百数十人からのメール・FAXの内、半分の方は現役の経営者、30%が社員、10%大学、大学院生、10%一般の方である。半数の経営者の声に共通していることは、「自分の会社が、なぜ上手くいかなかったか、その理由がこの本によってわかりました。」ということ。
- 企業経営とは、5人に対する使命と責任を果たすこと(5人の幸せを追求する活動)5人とは、
(1)社員とその家族、(2)下請企業の社員とその家族、(3)顧客、(4)地域社会、(5)株主 - 学生の方から、「ぶれない経営をしている会社というのが夢世界のものではなく、現実にあるのだとわかった。」という手紙をもらっている。今日はその生き証人の話をじっくり聴いて欲しい。
そして、各講師・企業について、坂本教授からポイントをお話していただきました。
- 〔柳月〕
帯広で60番目に創業した、最も後発の会社である。
この会社の原点(創業の心)は、「汽車の中で見た子供さんがおなかをすかせて泣いている時に…」。
そこから始まり、現在従業員が650人。売上高が下がらない。お客さんも社員も追いかけてくるような会社に成長した。いったいどういう経営が行われてきたのか?
- 〔杉山フルーツ〕
静岡県の吉原商店街(半分近くの店舗はシャッターが降りている)の一角で、
家族で経営されている小さな果物屋さん。
ここに、全国からお客さんが殺到している。
ロケーションが悪い・大型店等ライバルが多い等の理由は通らないことを証明している。
経営の心がぶれていない。正しいやり方で進めている。
- 〔日本理化学工業〕
50年前から障害者雇用をしている。
働いている障害者(従業員)を守るため、懸命に新商品を開発し続けている。
単なる下請を続けているだけでは、従業員を守り続けられなかったのではないか?
- 〔アールエフ〕
今から16年前に社長と夫人2人でスタートされ、現在はこの分野(レントゲン機器、次世代カプセル内視鏡の開発)で世界最強と言われている。
地縁も血縁もないところから、これだけの地位を獲得することは尋常ではなかったと思う。
また、本日のもう一つのメインである、交流懇親会に参加され、講師の方・参加者の方と交流され、明日・これからのきっかけ作りにしてほしい。と、参加者の皆様を本日の講演へ誘導されました。
第2講 『お菓子を通して人々に幸せを贈る』
講師:株式会社柳月 代表取締役社長 田村昇氏
帯広・札幌・釧路においてお菓子の製造小売専門店チェーンとして40店を出店され、今年で62周年(昭和22年創業)を迎えるお菓子の柳月、田村社長からは、「お菓子を通じて家族の団欒を提供し続ける」為の揺るがない思いと、その弛まぬ努力の道筋をお話いただきました。
- 終戦後列車の中で、あやしても泣き止まない子供さんが、キャンディーを口に含んだ時、泣き止んだ。その時、お菓子の魅力(一番大切なお母さんに匹敵するだけの魅力)に感動した先代が、菓子店を営む決心し、砂糖のある街帯広でお菓子屋を始めた。
- 父は大変頑固な人で、黒であっても白にしてしまうワンマン社長であったが、現社長をありとあらゆる勉強会・セミナーに出席させてくれた。
- セミナーから学んだ、「本店経営からチェーン店経営」を実践したいが、父は「一店舗主義で地域一番店を目指す」をいう考えを曲げなかった。
- 東京から技術者指導者を呼んでの新製品の開発など、商品の差別化戦略。
- 父との交渉の末、郊外ショッピングセンターでの、出店依頼(3.5坪)に応じる。(=1号店)
- スナックの入ったビルでの出店の誘いがあり、夜の12時まで営業することを前提に出店。夜9時からはスナックに行くお客様がお土産としてお菓子を買われる為、昼と夜の二毛作経営で売上、知名度を上げる。=時間的差別化
- 「商売は、勝てる土俵で勝負せよ」。帯広には既に老舗の強豪がいる為、帯広から2時間半の釧路市への出店計画。父の説得に5年を要した。
- 5年かけて父を説得。その後、立地調査に5年。(資金力のない会社は、きちっとした市場調査をしなければならない。)
- どんなことでも10年スパンで物事を考える。常に先を考える。
- 老舗のお菓子屋さんをなくしてはならない。という考えから、既存の同業者(地域のお菓子屋さん)から、最低限500m離れたところに出店することを条件に立地調査。
- 社長の決断ひとつで、企業は大きく動く。慎重さは必要だが、後継者・社員の考えを全て否定してはならない。
- 人は食べなければ生きていけない。が、食べることが使命ではない。常日頃から、自分たちの企業の目的はなんなのか?を問い続けている。
【企業の目的】
今の社会に少ない、「親子の団欒の場」を提供したい。日本は、世界一、お父さんと子供の接触時間が少ない国である。親から子、子から孫へ言葉で伝えなくてはならないことが伝わらない。
ケーキを囲めばコミュニケーションの場が広がる。
↓
『毎週最低1回の親子の団欒の場(ケーキの時間)を提供したい。』
これを実現させる企業努力=ショートケーキ1個180円で提供するための企業努力。
(親子3人分のケーキをいくらで提供できるか) - 社員の特性を活かし、働く幸せを実感させることで、目に見えない報酬を与える。
- 仕事をすればするほど喜びに繋がる仕組み作り。
各店ごと、目標を達成すると各店全員に報奨金が出る仕組みにより、店舗のチームワークが良くなる。
(北海道では15年続いている不景気の中で、毎月30店舗以上が目標を達成することができている。) - 社員の努力・・「ジャパンケーキショー東京」でのメダル数8個は、日本の菓子店でトップのメダル数。
- 企業は人なり・・商品の差別化・時間の差別化・新商品の開発も、全て社員がすること。
- 人は心なり・・正しい考え方・生き方の哲学が主体となって、会社の考え方ができてくる。それに賛同して社員が頑張ってくれる。その社員を大切にし、良い会社ができてくる。
![]() 講演される田村社長 |
第3講 パネルディスカッション『ぶれない経営の極意』
| パネリスト: | 日本理化学工業株式会社 取締役会長 大山 泰弘 氏 |
| パネリスト: | 杉山フルーツ 代表者 杉山 清氏 |
| コーディネーター: | アタックスグループ 代表パートナー 公認会計士 西浦道明 |
「ぶれない経営」を実践し、「日本でいちばん大切にしたい会社」を築きあげた、大山会長、杉山代表をパネリストに迎え、その経営の極意についてディスカッションを展開しました。その内容を少しだけご紹介します。
まず、コーディネーターの西浦より、パネリストの方々それぞれが、逆風ともいえる境遇の中を進んでこられたことについて問いかけました。
【西浦から大山会長へ】
- 重度障害者多数雇用モデル工場として経営される逆風に向かった「思い」とは?
- 最初から障害者雇用をと考えたわけではなく、しぶしぶ親のチョーク工場を継いだ。
- たまたま、近くの知的障害者の学校の先生が就職のお願いに来られた。3度目に先生が来られたときに、働く経験だけでも…という先生の言葉に心を動かされ、2週間の実習を受け入れる。終了の日に、彼らを雇うことを従業員から懇願された。
その時の2人から始まり、まさか現在のように7割の障害者の雇用をすることになるとは考えていなかった。 - どうして彼らが毎日大変な思いをして、働きに来るのだろう。という素朴な疑問に対し、
寺の住職から、人間の究極の幸せは、
1)人に愛されること 2)人に褒められること 3)人の役に立つこと 4)人に必要とされること
であるという言葉をいただく。
今、自分のやっている企業が、人間の幸せを与えることができるのであれば・・・という思いが生まれる。 - 逆風とも思われる始まりではあったが、結果において、私はすごく幸せな人生を送らせてもらったと実感している。むしろラッキーな人生を送るきっかけを障害者の方からいただいたと感謝している。
【杉山代表】
まず、杉山氏は今現在の杉山フルーツの状況(多くの人が全国から生ゼリーを求めて店に足を運び、田舎の商店街で長蛇の列をなしている)に対し、伝え切れない感謝の気持ちを涙ながらに語られ、お客様から送られてくる手紙の一通を披露してくださいました。
<上海の18歳の高校生からの手紙>
「どの大学へ行き、どのような勉強をしようか悩んでいるところ、本を読んで、御社の企業理念、今までぼんやりとしていた自分の考えがはっきりとしてきました。御社の社風を自分の肌で感じたいと思い、研修させていただきたく筆をとらせていただきます。」
- 「人間はいかに世の中に貢献できるか」という亡き父の言葉が常に胸にあり、自分のような小さな商店街の果物屋に、貢献できる何かがあるのかと、とても感激している。
【西浦から大山会長へ】
- 最低賃金の除外申請を行わない理由は?
- 昭和50年当時、神奈川県の企業で除外申請が難しかった。だったら申請せずにやろうと、破れかぶれでスタートした。難しい境遇に立ったからこそ、企業なりの努力ができた。悪い条件だからこそ、なんとか方法を考えて努力する、これは中小企業だからこそできること。
- 障害者を雇用したことに対し、早まったかなと思ったことも正直あるが、彼らの理解力に合わせて、結果がきちっと合うようにやり方を考えると方法が見つかる。企業は、結果さえきちっとできていればプロセスはいかようにも工夫できる。
【西浦から杉山代表へ】
- 100に近い大手の百貨店等からの、製造・販売のオファーを断る理由は?
- 一言で言えばクオリティ重視。
- スケールメリットでは大手には勝てない。「間逆をやらないと勝てない。」という持論。
- 個人の身の丈にあった経営。
- どんな企業になりたいと考えているのか?
- 羊羹の「とらや」は一族で480年継続している。黒川社長は社員さんを一番大事にしている。勤務時間内だけのことだけでなく、社員の人生を大事にしている企業であり、目標としている。
- 幸せな企業にならなければならない。毎日が舞台だと思っている。今現在が幸せである。
最後に、コーディネーターである西浦が、2社が逆風に向かった、そのベースには、それぞれのストーリーがあり、曲げない信念・使命感がある。物語の裏には、それぞれの経営者の色が見えてくる。その物語に、お客さんはファンとして、信者としてついてくるのではないか。とまとめた。
![]() コーディネーターを務める アタックスグループ西浦代表パートナー |
![]() パネリストの 大山会長と杉山代表 |
第4講 『175人のしろうと集団が過疎地に医師を・・・』
講師 株式会社アールエフ 代表取締役社長 丸山 次郎 氏
- キーワードは「しろうと」、「無計画」
- アールエフは『しろうと集団』の集まり・・・従来の概念にとらわれず、柔軟な発想ができる。
- 社員と共に、時に悩み、話し合い、知恵を出し合う。
- 時々の空気を読み取り、すぐに方向転換ができるような体制作りをする。
先を読みすぎて無駄な体力を使わない。 → 「無計画」 - 先の読めない時代、とにかく、目の前のことを一生懸命に行なう。
- 歯科用口腔内カメラ世界トップシェア(85%)。
- レントゲン検査において被ばく量を減らす、医療機器の高性能デジタル化、原価を下げる知恵。
- 過疎地域で開業することの難しさ → 開業コストを下げることの重要性
- 通常7000万の開業コストがかかるが、4000万円での開業プランの実現を目指し、新規部署の立ち上げ。
- こちらから出向かない、来てもらう営業 → 主要駅前に店舗・ショールームをもつ
- 国内外における、Webライブカメラによる実演販売システムの構築。
- 生後2ヶ月の赤ん坊の体の中を検査すれば、将来現れる障害が見つけられ、発病を防げる。
小児用医療機器を大人用に転用すれば、無理がないし、十分な市場も見込める。 - 社員が壁にぶち当たっている時、技術的なアドバイスよりも、出来あがった時の話をしている。
「こんなものを作ったらすごいぞ!」というわくわく感にしている。技術屋に技術の話をしても仕方がない。 - 人間的な嗅覚で、その都度、短・中・長期的な展望を読む。素朴に人間としての一般的な感覚で物事を見る。
- 「無計画」の考えを基にした体制作り。社員全員が仕事に対して柔軟。
- 他国の医師から、『日本には世界に誇る技術力がある。ところが、世界の医療機器の中には、日本製のものが少ない。安くていい医療機器を作るのは“日本の責任”』と言われた使命感。
![]() 講演される丸山社長 |
![]() 講演される丸山社長 2 |
閉会の挨拶
株式会社アタックス 執行役員 静岡事務所所長 鈴木茂和
第2部 懇親会・交流会
- 挨拶
沢根スプリング株式会社 沢根孝佳社長 - 乾杯挨拶
坂井モーター株式会社 坂井光蔵社長 - 中締め挨拶
株式会社リヴル総研 奥村繁子社長 - 参加者
約100名
![]() 株式会社リヴル総研 奥村繁子社長 |
![]() 交流会の様子 |
![]() 参加者と名刺交換される講師の方々 |
![]() 柳月 田村社長 |
(文責 静岡事務所長 鈴木茂和 2009年8月)










