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優良企業研究・見学会:弊社主催の各種研究会、見学会の実施報告です。

2009年3月17日に株式会社エーワン精密の企業見学会を行いました。

企業見学会概要

株式会社エーワン精密

株式会社エーワン精密

本社所在地:山梨県韮崎市旭町上条南割3191
TEL:0551(22)5811 FAX:0551(22)5812
社員数:92 名(パート含めて約100名)
資本金:292,500千円
売上高:21億8,636万円
経常利益:8億2278百万(平成20年6月実績)


短納期へのこだわりが高収益を支える

山梨県の静かな山間の地に、38年連続で売上高経常利益率が35%超(平均は約42%)というとんでもない会社がある。梅原勝彦氏(現在、同社取締役相談役)が1965年に府中市で創業した株式会社エーワン精密である。現在も本社は府中にあるが、今回は韮崎市にある工場をお尋ねした。

ユーザーは「いい品物を、安く、早く」をメーカーに要求するが、「いい品物」はどの会社も当たり前のように取り組むので差別化が難しい。「安く」は品質に見合った適正価格で取引すべきである。そこでエーワン精密は、最後の「早く」に徹底的にこだわった。

「短納期を実現するには、設備と人が過剰でなければ対応できない」と梅原相談役は語る。また、「作るのが早いのではない、取りかかるのが早いのだ」とも。海外を含め、約13,000社ある顧客からの注文は、電話かFAXが大半であるが、受注から現場での製作開始までが約5分というから驚きである。「積み残し」、「作り過ぎ」ともになしというのがこの会社の特徴だ。全社員が常に「今」を大事に考え、時間を有効活用する。


工場入口の景観
工場入口の景観
過剰な設備、やや過剰な人員
過剰な設備、やや過剰な人員

利益を出せない経営者は失格

「不況時には、客先に顔を出すな!値下げ要請を受けやすいからだ。また不況時に価格を下げるな!安く出来たじゃないかと二度と値段を上げてもらえなくなる。」と梅原相談役の指摘は、いちいちもっともである。


現場に指示を送るエアシューター
現場に指示を送るエアシューター
ほとんどの部品を仕掛品として在庫
ほとんどの部品を仕掛品として在庫

最初に手がけた事業がカム、次がコレットチャックであるが、それぞれ国内市場で90%,60%という圧倒的なシェアを誇る。現在は、切削工具の再研磨事業に力を入れる。現事業が好調なうちに、次の柱となる事業を育てるというのが、梅原流。もともとライバル多数で単価も安い研磨事業に着手したのは、「汗をかくため」と言い切る。つまり、次代を担う若手育成の狙いがある。

創業以来、販売価格は一切変えていない。「去年100円で作ったものを、今年は95円で作れなければ会社は潰れる」と、生産性を高めるための投資は怠らないが、必要のないものは釘一本でも買わないという姿勢を貫く。そして数字はデイリーで把握し、徹底的に利益にこだわる。


創業者は死ぬまで千両役者

2004年にジャスダック上場を果たしたが、創業者利益は全く手にしていないという。町工場でも利益が出せるし、上場も出来るということを証明してみせた。その裏には、日本のモノづくりの空洞化や町工場には未来がないといった「日本の製造業の危機」という論調に対する反発心があった。

見事に町工場の矜持を示した梅原氏であるが、子供には跡を継がせないという。世襲にしないからこそ、社員も新社長を盛り立てていこうという気持ちになる。「工場内のどこでも写真撮影してもらって構わない。社員のやる気は写らないから。」との言葉に違わず、社員のモチベーションは極めて高い。同社は、終身雇用が基本で給与は年功序列、賞与は実力主義になっている。働き甲斐のあるいい会社だと、わざわざご主人を入社させたパート社員もいると聞いた。

「社員は宝」と言い、隠し事は一切しないという経営を貫く梅原氏は今年70歳。毎朝3時に起床し、3時間ほど読書をし、琴を弾くのが30年来の日課という。「モノづくり」を若者にとって魅力ある産業にするために奔走する同氏に、町工場のオヤジ(尊敬と親愛の念を込めて、こう呼ばせていただく)の真骨頂を見た思いがした。

(文責 静岡事務所長 鈴木茂和 2009年4月8日)