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優良企業研究・見学会:弊社主催の各種研究会、見学会の実施報告です。

2008年6月26日に株式会社エリジオンと池島フーズ株式会社の企業見学会を行いました。

企業見学会概要

株式会社エリジオン

株式会社エリジオン(ELYSIUM.CO.LTD)

設立1999年11月1日
代表者:代表取締役社長 小寺 敏正氏
社員数:74 名
資本金:3000万円
売上高:16.4億円(2007年)
本社所在地:静岡県浜松市中区旭町11-1プレスタワー
事業内容:PDQ検証ソフトやダイレクトデータ変換ソフトの自社開発及びグローバルな事業展開
       形状処理技術を活かした専用システムの開発により、製造業に特化したトータルソリューションを提供


浜松発世界ナンバーワン企業

JR浜松駅前の通称プレスタワーに、データ変換ソフトの分野では世界シェア35%という驚異の会社がある。小寺敏正社長率いる株式会社エリジオンだ。三次元形状処理技術を基盤としたソフトウェア開発では、デファクト・スタンダードを握る文字通り世界ナンバーワンの企業である。

エリジオンとは、ギリシア語で「至上の幸福・理想郷」の意味。「日本はエリート(特に優秀なエンジニア)を腐らせてしまう国だ。それならば、自らが技術者の理想郷を創ろう」と1999年に設立された。


非凡を集めて非凡をなす(企業理念)

技術者の理想郷を追求するための企業理念にはいささかの揺るぎもない。やりがいのある仕事、快適な職場環境、尊敬できる仲間、自己実現の機会、正当な評価による十分な報酬という条件に惹かれ、優秀な若者が集まってくる。初任給も、その人の能力・人間性・成果に応じて決定する。


1人あたり45㎡のスペース
1人あたり45㎡のスペース
小寺社長
小寺社長

社長の仕事はビジョン策定と採用

「お金を儲ける方法は二つある。」と小寺社長は語る。誰もマネできないことをやるか、誰もしたくないことをやるかだ。人がマネのできない「数学」をやってきたため、25年間、敵が現れなかった。

「アイデア一発のベンチャーに将来はない」とも言う。大資本にすぐにマネされる様な事業はしない。世界に通用するコアコンピタンスを持った技術立社ベンチャーでありたい。

そして「少数精鋭」。正しく“非凡を集めて非凡をなす”である。「眠らないウサギ」であれば世界を相手にしても勝てる。そのために採用にも工夫を凝らす。(2008.6.11の「日本経済新聞」を参照)筋トレ・脳トレをした「人が解けない問題を解くこと」に生き甲斐を見つけ、挑戦せずにはいられない人財を採る。


天分(GIFT)を授かった者には使命(MISSION)がある

小寺社長の話は、ソフトウェア産業のみに留まらず、日本の将来やアメリカの国家戦略にまで及ぶ。次代の産業は、「バイオ」と「数学」であり、今後の基幹産業の戦略的育成の必要性と民族・国家をリードするエリートの育成が急務であると説く。社員には、「数学」に秀でているという「天分」を授かった者の「使命」を意識して欲しい。「媚びず、傲らず、常に公平で公正な仕事をする」をモットーにしている。社員と共に福祉活動に注力するのも、そうした「使命感」を醸成し、真のエリートを育てるための試みなのかも知れない。


社会貢献事業もさかんに行っている
社会貢献事業もさかんに行っている
プログラムをするのに最適なリクライニングチェア
プログラムをするのに最適なチェア


池島フーズ株式会社

池島フーズ株式会社

設立:1966年11月(創業明治10年)
代表者:代表取締役 池島 義幸氏
社員数:50名
資本金:8000万円
売上高:12億円(2007年10月期)
本社所在地:静岡県浜松市浜北区寺島2351
事業内容:茶そば等各種麺類の製造・販売


全国シェア50%の茶そば

掛川市内を一望できる山麓に、茶そばの試食ができる観光工場がある。平成6年に完成した池島フーズ株式会社の掛川工場である。ここで製造される茶そばを中心とした各種麺類とパスタは、全国のホテル、料亭、旅館、ゴルフ場、航空機の機内食等で用いられている。主力製品の茶そばは全国シェア50%をほこり、一流の料理人達からも絶大なる支持を集めている。この会社を率いるのが、池島義幸社長である。


絶え間のない製品開発の歴史

明治10年創業で130余年の歴史を誇る当社であるが、創業時は米穀の販売を行っていた。現社長は、昭和9年生まれの四代目であるが、戦後の動乱期に麺製造を始め、現在の規模まで成長させた「中興の祖」であり、実質創業者と言ってもよい人物である。

麺作りは決して順風満帆ではなく、2度の大きな方向転換を余儀なくされている。 当初は製粉機を24時間稼動させ、自身は16時間働いたと言う。手作業での麺製造は1万食が限界であると、設備投資を決意する。ちょうど、即席ラーメンが流行しだした頃のことであった。現在の価値に換算すれば4~5億円の資金を投じて工場を建設したが、同業者も同様な設備投資を行い供給過剰に。見る見るうちに価格は4割下落した。

これを受けて、ラーメンから撤退することを決意。売上の8割を占めていたことを考えると苦渋の決断であった。その後、ゆで麺に軸足を移すが、ここでも供給過剰、価格競争というラーメンと同じ状況が展開されることになる。


茶そばへの熱い思いを語る池島社長
茶そばへの熱い思いを語る池島社長
試食させて頂いた茶そば
試食させて頂いた茶そば

輝きを持った商品づくり・コストを意識しない製品づくり

「川の右岸で価格競争という熾烈な戦いをしていたとき、反対の左岸を見たら競争相手がいないことに気がついた。それが茶そばであった。」茶そばは江戸時代から高級品で、普通のそばの8倍の価格。静岡という土地柄、茶そばは新しい商品としてぴったりであった。他社が3~5時間で製造するところを、50時間かけて熟成させる。手打ちと同等のおいしさを出すために、手間隙かけた生産に徹底的にこだわった。


経営はコントロールできる

ラーメンとゆで麺から撤退したときは、三期連続の大赤字であった。しかしこの失敗から経営計画の必要性に気づくことができた。一倉定という師について、10年間学び、自ら経営計画書を毎年作成することになる。

「経営者は、経営をしているというが、経営の正しい意味を知る人は少ない。「経」は、学ぶ・律するという意味があり、「営」は測量・設計などもともと「数字」を意味する。つまり経営者は財務に強くならねばならない。本業で一流になっただけでは、一輪車経営。止まれば360度倒れる危険性がある。財務が分かるようになると二輪車経営。倒れる角度は180度と危険性は減るがまだ不安定。10年前(間)の数値(決算書)と今の数値(決算書)を較べながら行うのが四輪車経営。これで経営はぐっと安定する。」


経営計画書に基づく数値経営推進

いただいた経営方針書の抜粋には、「お客様第一主義に徹する」、「社員が希望と生きがいを感じる会社とする」、「高品質製品作りのトップメーカーとなる」、「環境整備を徹底する」などが並ぶ。「仕事(経営)が楽しくて仕方がない」と言われる姿には、ある境地に達した経営の達人・名人を見る思いがした。



今回の視察を通じて

最先端のIT企業と伝統的な食品産業、一見するととても対照的に思える二つの企業であるが、多くの共通点を見つけることができる。

まずどちらの会社の社員も非常に明るく屈託がない。本当に会社から大切にされているのだということを感じる。「日本一給料の高い会社を目指す!」(エリジオン)、「生涯賃金が分かる仕組みになっている」(池島フーズ)と社員の待遇を高めることに余念がない。

そして両社ともに「継続」することを最大の経営課題としている。(決して拡大指向ではない。)そのためにニッチな世界でオンリーワンになることを目指す。大企業・大資本が参入して来ないブルー・オーシャンを悠々と泳いでいるのだ。  更に、自社商品・製品に対する絶対の信頼と自信。「他にない商品だから値引く必要がない」(エリジオン)、「一流の料理人は、我が社の商品を正しく理解してくれる」(池島フーズ)

明確な経営方針と高い志も忘れるわけにはいかない。自社の経営を語る二人の経営者には、いささかの迷いもない。「技術者の理想郷を追求する」(エリジオン)、「めんは永遠なり」(池島フーズ)。理念を追求する真摯な姿がそこにある。

最後に、言った事をやり抜く実行力も素晴らしい。小寺社長は、社員から暑苦しいと言われるくらい自分の思いを社員に熱く語りかける。仕事時間の30%ほどは社員とのコミュニケーションに費やすという。池島社長の武器は、言うまでもなく「経営方針書」だ。作成しておしまいではなく、毎日朝礼で社員と共にこれを唱和する。

今回見学させていただいた企業は両社とも、正しく“非凡”な会社であり、永遠に「継続」して欲しいと思わせる企業であった。

(文責 静岡事務所長 鈴木茂和 2008年6月)