視察会概要
- 日程
2008年3月24日(月)
8:30 東京駅八重洲中央口集合
8:40 JR東京駅前出発(坂本光司教授車上セミナー開催)
10:00 株式会社ファンケルスマイル(神奈川県横浜市磯子区)
12:00 移動・昼食
14:00 近代ホーム株式会社(神奈川県横浜市港南区)
18:10 JR東京駅到着・解散 - 参加者
39名
車上セミナー
小雨が降る中、39名の参加者(事務局含む)が東京駅に集合。参加者は東京のみならず埼玉や茨城、遠くは、福井、名古屋、浜松、静岡と、関心度の高さが伺えた(前日、日曜日にも関わらず、前泊者多数)。
東京駅から首都高で横浜市磯子区にある株式会社ファンケルスマイルへとバスを進める中、アタックスグループ西浦道明代表パートナーが「忘れかけていた経営者としての使命を、学ぶことが必ずできるはず」と挨拶。
引き続き、法政大学大学院教授(4月より)の坂本光司先生より車中講義。
視察企業の見所・聞き所を解説。障害者雇用促進法や国内障害者数、上場企業の障害者雇用などの実態を示しながら、ファンケルスマイルにおいて行われている障害者雇用から学ぶべき点を指摘した。
他方、近年の新規住宅着工戸数の減少(耐震偽装問題後の法律強化が原因)を示し、当業界が厳しい状況にあるなか、近代ホームが快進撃を続ける秘密を解説した。
約1時間の車中講義が終わる頃には、景色は横浜市磯子区の住宅街へと変わり、ファンケルスマイル本社へと到着。
西浦代表パートナーの挨拶 |
坂本光司教授による車中講義 |
株式会社ファンケルスマイル
ファンケルスマイルは、従業員の8 割以上(40 名中30 名以上)が障害者という、化粧品や健康食品などの製造販売を手掛けるファンケルの特例子会社である。
ファンケル(親会社)が、「当社が成長できたのは『社会(顧客)に育ててもらった』から」であり、これからは社会に恩返しをするという想いで、ファンケルスマイルを設立し、障害者雇用を積極的に進めている。
それだけであれば、学ぶに値する企業ではないが、他社と比較して抜きん出る当社の特徴は、「障害者の個性尊重と強制的自立化」といえる。
強制的自立化というと過激であるが、これでよい。
というのも、障害者を抱える企業においては、「障害者は障害者」として接し、いわば保護的意識(他にも義務的意識)のもとに雇用している。
それゆえ、彼ら彼女らの潜在能力を引き出すこともなく、業務は単純な軽作業というのが一般的である。
しかし、当社は違う。
「その子はその子なり」「手を挙げた子にチャンスを与える」という姿勢を貫き、障害者という固定概念を抜きにした業務移譲を実践することで、彼ら彼女らの自己主張や自立、やる気を第一に尊重することを心掛けているのである。
その結果、当社で働く従業員は皆、自分の仕事に自信と誇りを持ち、自分自身が任された仕事の内容を堂々と我々に紹介する。その姿は、障害者とは思えないほど立派であった。
業務内容を説明する従業員さん |
職場を見学 |
また当社では、売上目標を掲げ、達成に向けて従業員みなが総力を挙げ業務に取り組み、また改善を行う。
つまり、障害者が働く企業ではなく、根底は営利追求企業であり、一般的な企業となんら変わるところがない。それゆえ、従業員の給与も月11万5,000円が基準である(障害者の給与は月額1万円前後が一般的)。
当社の現状は、ホップ・ステップ・ジャンプの「ステップ」の段階だと関根社長が語ってくれた。
ステップとは、ファンケルスマイルが企業として自立し、また、従業員が社会的に自立できると確信できる状況だという。
今後は、従業員の親会社への転籍を可能にするシステムをつくることで、従業員に更なる挑戦を喚起させること、そして転籍を実現させること、つまり親会社への人財供給企業となることが目標であり、このジャンプ期を託されたのが、4 月から社長に就任する箕島社長(38歳)である。
関根社長同様に、熱い心、優しい心を持った箕島新社長であれば、この挑戦は実現可能であると実感した。ちなみに、関根前社長は、4月から栃木で自給自足生活を始めるという。
関根社長 |
4月に社長に就任する蓑島氏(左) |
近代ホーム株式会社
別名「行列ができるハウスメーカー」「受注残2年の住宅メーカー」の近代ホーム。
港南台にある本社兼ショールームに到着すると10数名の従業員さんに出迎えられた。
サービスではなく、ホスピタリティの心を垣間見た。
圧巻は、その後の約1時間半に及んだ松本会長の談話。
「良樹細根(良い木を作るためにはたくさんの根が必要。良い会社を作るためには、多くのよい人材が必要。つまり人財育成が重要という意)」
「2:8の原理(すべて完璧にはできないので、2割完璧にすることで残りの8割はついてくるという意)」
「“信じる”のではなく“信じ切る”」重要性など、経営者としての心構えを惜しみなく公開してくれた。
また、これからは「ビジュアル(映像)の時代」であり、情報発信や広報においては「価値や意味、深みのある映像をいかに発信し、消費者に訴えかけられるか」がポイントになると持論を展開した。
会長の談話や従業員さんの接客姿勢から、なぜ「行列ができるハウスメーカー」「受注残2年の住宅メーカー」と成りえたのかは容易に感じ取ることができた。
出迎えする従業員さん |
松本会長 |
まとめ
ファンケルスマイルと近代ホーム。事業内容や従業員の雇用条件など、まったく異なる会社であるが、経営者としての心構え、人財教育への意識の傾け方、取り組みは、ともに個人を尊重することで従業員のモチベーションを喚起するという点で共通している。加えて、事業への熱い想い、従業員への優しい想いを持った経営者がそこに存在する。
両社とも一見の価値あり、隘路に迷い込んだとき、道標とすべき企業であった。
(2008年3月 記)
