株式公開(上場)のためのハードルが上がっています!

経営

今年も例年通り、あずさ監査法人様から「2016年のIPO動向について」が2017年1月26日に掲載されました。プロ向け市場を除いた株式公開社数は、昨年からは9社減(約10%減に相当)の83社でした。

株式公開のデータで気になった点が2つあります。

第一に規模感です。
2016年に公開を実現した会社の内、売上規模が40億円以下のケースが全体の約52%(2015年は、約59%)、経常利益額が5億円以下のケースが全体の約69%(2015年は、約76%)、資金調達金額が5億円以下のケースは全体の約52%(2015年は、約53%)、10億円だと全体の約76%(2015年は、約72%)となっています。 売上にしても、経常利益にしても、公開している会社の規模感が大きくなっている傾向が見られます。

第二に直前期末から株式公開日までの期間が、長期化しているという点が目を引きます。
この記事によると、直前期末から9か月以内の株式公開が大幅に減少しています。直前期末から実際に株式公開できた日までに1年以上を要した会社は、株式公開した会社83社の内約54%もあったのです。

つまり、株式公開した会社の半分以上が、直前期末から次の決算を超えて、株式公開できたということになります。これは、株式公開審査が厳格化している表れだと思います。 すなわち、会社規模もそれなりの規模が要求され、株式公開審査の中では提出された申請書類通りに会社が運営されているかどうかを、より厳しくチェックされるようになったということです。

株式公開が一気に増加し始めた2~3年前とは少し様子が違ってきているようです。 株式公開は、外部株主から資金(極論を言えば返済期限が確定していない資金)を調達し、これを会社の成長に役立てるための仕組みです。 そのためには、株式公開したい企業は、

・どのように企業は成長し
・何のために資金は使われ
・その資金は当初の目的に即して利用される仕組みが整備され、その通りに運用されているか

を明確にしなくてはなりません。

株式公開の審査では、ここを徹底的にチェックされます。この審査をクリアするには相当の準備と実行が伴います。株式公開を希望する企業は、それに応じた覚悟(労力と資金投下)が必要となります。

アタックスグループは、過去にも多くの株式公開をサポートしてきました。内部統制の整備運用、業績管理制度構築、人事労務管理体制の整備運用等幅広く、株式公開を希望される企業のお手伝いをしてきました。株式公開に関してご質問等ありましたら、お問い合わせください。

筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー
株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 代表取締役社長
公認会計士・税理士 林 公一
1987年 横浜市立大学卒。KPMG NewYork、KPMG Corporate Finance株式会社を経て、アタックスに参画。KPMG勤務時代には、年間20社程度の日系米国子会社の監査を担当、また、数多くの事業評価、株式公開業務、M&A業務に携わる。現在は、過去の経験を活かしながら、中堅中小企業のよき相談相手として、事業承継や後継者・幹部社員育成のサポートに注力。
林公一の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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