アタックスグループ パートナー
大手都市銀行で、調査業務・政策投資業務に従事。その後、営業担当時には、最新の金融手法を導入することにより数多くの課題解決に貢献する。また、日本有数といわれた大企業の再生計画策定では、ヘッドとしてプロジェクトを主導し、企業再生ビジネスの最先端を経験する。現在は、数多くの企業再生実務で培ったノウハウを武器に、中堅中小企業の財務戦略を指導し、高い評価を得ている。

ギリシャの財政危機問題を契機に、世界経済・金融市場が大きく揺れている。ユーロ安が加速し、欧州のみならず世界の株式市場が下落、米国や日本更には中国を始めとする新興国経済への悪影響も懸念されている。
本稿では、ギリシャの財政危機そのものではなく、この問題を踏まえ今後の経営を展望する上で考えていただきたい事項について、簡単に解説したい。
まず一つ目は、欧州の小国(経済規模ではユーロ圏全体の約2%)ギリシャの財政赤字問題が、世界の経済と市場を揺るがすという連動性である。
欧州はEUやユーロ導入等経済圏として一体化を進めており、もはや欧州内においては一国の問題という捉え方はできなくなっている。また、欧州だけではなく、例えば、中国の金融引き締め観測が出たら即座に、日本・米国の株式市場が下落するといったように、世界的な連動性は益々強まっている。
日本・米国経済の連動性の強さが「米国がくしゃみをすれば日本が風邪をひく」といった言葉で表現されていたが、現在の世界経済・市場の連動性は、その規模・スピードにおいて、以前と比べものにならないレベルとなっている。世界的な連動性を高めたグローバリゼーションの進展は、もはやその是非について議論する対象ではなく、厳然たる事実として経営判断の大前提とすべきであろう。
二つ目は、金融情勢の重要性である。ギリシャの財政危機リスクが直撃するのは銀行である。欧州の銀行は、ギリシャのみならず欧州各国の国債を大量に抱えており、所謂“銀行の不良債権問題”が、欧州景気に多大なる悪影響を及ぼすのではという懸念が、問題を更に深刻にしているものと考えられる。
銀行の不良債権問題が恐いのは、カネが目詰まりを起し、端的に言えば、企業に必要資金が供給されなくなることである。経営者としては、銀行含めた金融情勢を注意して見ていく必要があろう。
三つ目は、財政赤字のリスクであり、それは日本の問題でもある。日本の財政赤字は、累積債務残高ではGDPの200%近くに達し、約115%であるギリシャを大きく上回っている。
S&Pの日本の信用格付は、PIIGSの一国であるアイルランドと同格付(AA、ちなみにギリシャはBB+)、かつ「ネガティブ(引下げ方向)」なのである。もちろん、日本の国債は、ギリシャや米国と異なり、その大部分(90%以上)を国内投資家が保有していること、消費税の引上げ余地が大きい(欧州は20%程度)ことから楽観的な見方もできる。
しかしながら、世界最大とも言える水準の財政赤字問題が、今後も何のお咎めもなく世界から許容されるということ自体、想定しづらい。全くの私見であるが、消費税の大幅引上げは、いつそれが実行されるのかという時間的問題と認識すべきではないだろうか。
当然であるが、消費税の大幅引上げは、個人消費を始め国内経済に大きな影響を及ぼすものと考えられる。
上に挙げた3点は、この問題が示唆する一部に過ぎないであろう。経営者の皆さんには、当社は欧州への輸出はないから大丈夫、ユーロを保有していないから損失はないといった短期的な視点ではなく、この問題を通して、事業の永続のために自社にとって何が必要でどういう対策を打てばいいのかを考えていただきたい。
<参考記事>
「欧州経済 不安の連鎖」2010年5月16日(日)日本経済新聞 朝刊
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大手都市銀行で、調査業務・政策投資業務に従事。その後、営業担当時には、最新の金融手法を導入することにより数多くの課題解決に貢献する。また、日本有数といわれた大企業の再生計画策定では、ヘッドとしてプロジェクトを主導し、企業再生ビジネスの最先端を経験する。現在は、数多くの企業再生実務で培ったノウハウを武器に、中堅中小企業の財務戦略を指導し、高い評価を得ている。