アタックスグループ代表パートナー 公認会計士・税理士
KPMG NewYork、KPMG Corporate Finance株式会社を経て、平成11年 アタックス入社。KPMGでの経験を活かし、現在は、事業評価や事前(買収)調査を担当すると同時に、株式公開プロジェクトにも参画。過去9年の外国企業との関連の中から学んだ経験を活かして、主にコーポレイトガバナンスの観点からアドバイスを送っている。

今般、粉飾決算が発覚した株式会社エフオーアイのHPによると、同社の平成21年3月期の売上は118億円、営業利益は24億円であった。平成22年5月16日付けで同社が発表した資料によると、100億円規模の粉飾が存在していることを容認している。
118億円のうち100億円が粉飾という。真実の売上は、わずか18億円ということになる。さらに、同社の上場直後からその粉飾の可能性を複数の投資家に指摘されていた。結果的に同社は、5月21日に破産手続きを申請し、平成21年11月に上場して以来、一度も株主総会を開かず、わずか半年で倒産。
平成21年は、新規公開企業数が少なく19社のみであった。この厳選された企業の一社がこのエフオーアイ社であった。
公開バブル以降、内部統制監査(いわゆるJ-SOX)を含めた公認会計士監査や主幹事証券会社の審査が厳しくなったはずだ。その結果、本件のように上場早々に倒産が発生したのでは、主幹事証券会社や監査法人のみならず、東京証券取引所もどんな審査・監査をしていたのか、といわれても仕方がないのではないか。
このプロトピックスでも、以前書いたことがあるが、今後の日本の再成長を考えた時、新しい発想、ビジネスモデルが必要となる。その一翼を担うのが、ベンチャー企業だと思う。
しかしながら、報道されたような新規上場企業の不祥事が今後も続けば、ベンチャー企業は、ポジティブな存在ではなくネガティブなものと見られてしまう。
私の知る限り、ベンチャー企業は、粉飾というような発想は全くなく、事業がうまくいかない時は正直にうまくいっていませんと報告している。また、そうした状況で周りからいろいろといわれながらも事業を継続し、成功をおさめつつある企業もある。
そんな前向きな企業がベンチャーというだけで、この会社と同じような括りで疑いの目で見られるのは非常に悲しい。ベンチャー企業を守るためにも、公認会計士監査や公開審査基準のレベルをアップし、細かな内部統制をどうこういう前に、大きな「うそ」だけは許さない体制を強化していくべきである。
特に今回の件で、売上の約85%が粉飾だったことを見抜けなった会計のプロのである監査法人はどうなるのか、その処遇を注視していきたい。会計監査そのものの存在意義を問われるような事件だと思う。
<参考記事>
「新興市場、問われる審査」2010年5月25日(火)日本経済新聞 朝刊