株式会社アタックス 執行役員 中小企業診断士
大手システムハウス(東証1)勤務後、アタックス入社。戦略的経営計画策定、経営情報システム導入、人事組織風土改革支援、経営幹部・後継者教育等に従事。現在は、ビジネスモデルの刷新を図り、組織活性化と業績向上を実現する経営革新のコーディネータとして奔走中。

最近ドラッカーが大流行のようである。通称『もしドラ』(※1)がそのブームの火付け役とも言われるが、昨年が生誕100年にあたったこともあり、その思想が改めて見直されていることは確かなようだ。セミナーや研修の折にも、「ドラッカーを読みました。」とか、「読んでみたけれど難しい。」といった意見や感想を述べてくれる受講者が多くなった。
ドラッカーの著作を、経営のハウツー本だという認識のもとに、あたかも経営を良くするための魔法の書だと、即効性を期待して読んだ方には、「読んでみたけれど難しい。よく分からない。」という感想の方が多いのではないかと思う。
(経営の)哲学書だと思って読めば、なるほどと納得される部分が多いのではないだろうか。ドラッカーの著作や論文は、経営のあり方や企業や経営者の生き方を論じているものが多いからだ。
(もちろんハウツーに相当するものもたくさんあるが)
そして時代はまさにその経営哲学を必要としている。未曾有の不況の中、自信を喪失した企業トップやビジネスマン達は、その生き方の道標を探し求めているのではないだろうか。
だからこそ改めてドラッカーが注目されているのだと思う。孫子に次の一節がある
「道とは、民をして上と意を同じくせしむる者なり。
故にこれと死すべくこれと生くべくして、危わざるなり」(計篇)
(道とは、人民たちを上の人と同心にならせる(政治のあり方の)ことである。
そこで人民たちは死生をともにして疑わないのである。)
この「歴史に学ぶ経営」シリーズの第1回目でご紹介した「道、天、地、将、法」の「道」である。上の口語訳の「政治のあり方」を「経営のあり方」と置き換えて読んでいただきたい。
経営トップは、全社一丸となれるような「道」を、ぜひご提示いただき、そして社員に熱く語りかけて欲しいものだ。社員が誇りを持つことのできる「道」であれば、必ず不況を押し返す力になる。
※1
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」
岩崎夏海著 2009ダイヤモンド社