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目標管理制度を機能させる その3(「最強の組織」をつくる人事制度 第25回)

中小企業診断士 鈴木茂和
執筆・取材・講演等の依頼
~軌道修正もあり!未達査定から達成支援へ~

「それでは目標の達成度評価を行います。この項目は、ほとんど手つかずですね。従って評価は“D”となります。」
「それについては社会情勢の変化から、実施不可能になりました。その点を考慮してもらえませんか?」


目標管理のフィードバック面接において、このような会話が交わされていませんか?以前申し上げた通り、目標管理は確実な経営成果を手に入れるためのツールです。しかし、上記のような会話からはそのツールを有効に利用しているといった印象を受けません。できたか、できなかったかの結果のみを取り上げた目標未達査定になってしまっているからです。実は、これも形骸化した目標管理によく見られる特徴のひとつなのです。


目標未達査定に陥ってしまう原因としては、「目標の立てっぱなし」があげられます。期首に設定した目標が、それっきり省みられることなく行動期間が過ぎてしまうケースです。なぜ「立てっぱなし」になってしまうかと言えば、上司・部下共に目標管理の本質を理解せず、ただ会社のルールとしてやらされているだけ、という状況が想像できます。


もう一つの原因としては、「目標の変更不可信仰」があげられます。期首に立てた目標の達成率で評価するのだから、目標変更は認められない、という盲信です。そもそも何のための目標設定かという視点が完全に吹っ飛んでしまった思考停止状態と言えます。


WHY(なぜ、何のために)を忘れた時点から、ものごとの形骸化が始まります。目標管理についても、正にこれが当てはまります。達成できなかったことをどれだけ評価してもあまり意味があるとは思えません。達成する=経営成果を手に入れることにこそ意味があるのです。そのように考えれば、目標未達査定では何の問題解決にもならないことに気が付くでしょう。目標達成を支援する工夫が運用上必要となるのです。


環境変化により意味の無くなった目標を、後生大事に半年間も抱えたまま事業を進めるのは、ナンセンスというほかありません。また、達成してしまったら、もうそれ以上の努力はしないというのも同様です。より大きな成果を手に入れられるチャンスをみすみす逃す手はありません。従って、目標の変更・軌道修正は大いに有り得るということになります。


環境変化に合わせて柔軟に対応していくということであれば、何も目標設定に時間をかける必要はないではないか、という声が聞こえてきそうです。しかし何の目標設定もしない、計画も立てないというのでは、行き当たりばったりで出たとこ勝負のどんぶり経営と言わざるを得ません。


きちんと目標設定をして、精緻に計画を立てるのは、環境変化に流されない、それを言い訳にしないためでもあるのです。計画があるからこそ変化にも対応できるのです。


目標管理は、仮説-実行-検証のサイクルを回すことです。これは経営の質を高めることにつながります。質が高まると仮説段階で環境変化も織り込むことができるようになります。目標管理の本質を理解し、思考活性化状態にある社員が多いほど、会社は発展するのです。思考停止状態の社員に喝を入れるためにも目標管理を正しく運用していただきたいものです。


<2003年12月5日~2004年7月9日 中部経済新聞社掲載>