調査研究レポート
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目次
- 調査研究の概要
- 調査研究の結果の概要
- まとめ
Ⅰ.調査研究の概要
1.調査研究の目的
中堅中小企業の新たな投資場所や、重視すべき営業販売拠点等、地域戦略展開の判断資料を提供するとともに、地方自治体等産業支援機関の地域産業政策の立案・実施のための基礎資料を提供する。
2.調査研究の対象
今回調査研究の対象としたのは、地域の経済力や生産性ではなく、20の社会経済データを用いた、過去10年間の47都道府県の「経済成長力」である。
3.調査研究の方法
調査研究の方法は、国が定期的に実施、発刊している社会経済統計の中から、とりわけ地域経済の成長力を極端に示していると思われる項目と、産業・企業に関する客観性高い民間資料を利活用し、その中から計20の項目を選定し、都道府県の成長力を求めた。
なお、成長力を求めた期間は10年間で、それぞれの項目の調査時点における最新統計と、その10年前の統計を利活用し、計算した。
しかしながら、社会経済統計の実施年の関係で、10年間の増減率ではなく、10年間のそのデータの平均値で求めた項目もある。
4.調査研究に用いた項目及び比較期間
・経済成長力計算に用いた項目及び比較期間
今回、経済成長力を求めるために使用した20の社会経済項目とその比較期間及び比較方法等は、以下(図表1)の通りである。
(図表1)経済成長力計算に用いた項目及び比較期間等の一覧
| 項目 | 比較期間 | 社会経済統計名 |
|---|---|---|
| 1 人口増減率 | 1995~2005 | 総務省「国勢調査」 |
| 2 若年人口増減率 | 1995~2005 | 総務省「住民基本台帳」 |
| 3 県内総生産増減率 | 1992~2002 | 内閣府「県民経済計算年報」 |
| 4 民営事業所数増減率 | 1994~2004 | 総務省「事業所・企業統計調査」 |
| 5 民営事業所数従業者増減率 | 1994~2004 | 総務省「事業所・企業統計調査」 |
| 6 農業産出額増減率 | 1994~2004 | 農林水産省「生産農業所得統計」 |
| 7 製造品出荷額増減率 | 1994~2004 | 経済産業省「工業統計表」 |
| 8 年間工場立地件数 | 1994~2004 | 経済産業省「工場立地動向調査」 |
| 9 小売業販売増減率 | 1994~2004 | 経済産業省「商業統計表」 |
| 10 卸売業販売増減率 | 1994~2004 | 経済産業省「商業統計表」 |
| 11 飲食店増減率 | 1994~2004 | 厚生労働省「衛生行政業務報告」 |
| 12 サービス業事業所数増減率 | 1994~2004 | 総務省「事業所・企業統計調査」 |
| 13 従業員100人以上事業所数 | 1994~2004 | 総務省「事業所・企業統計調査」 |
| 14 高額所得法人増減率 | 1994~2004 | 東京商工リサーチ調べ |
| 15 有効求人倍率 | 1994~2004 | 厚生労働省「一般職業紹介状況」 |
| 16 預貯金残高増減表(個人・企業) | 1994~2004 | 日本銀行「金融経済統計月報」他 |
| 17 新設事業所比率(開業率) | 1994~2004 | 総務省「事業所・企業統計調査」 |
| 18 課税対象所得額増減率 | 1994~2004 | 総務省「市町村税課税状況等の調」 |
| 19 地方税増減率 | 1993~2003 | 総務省「事業所・企業統計調査」 |
| 20 労働者現金給与総額増減率 | 1994~2004 | 厚生労働省「毎月勤労統計調査年報」地方調査 |
5.ランキングと評点の付け方
成長力ランキングは、比較期間の成長率や平均値が高い方から順番に、第1位~第47位と付した。
また評点は、増減率等極端なデータのバラツキを調整するため、今回は10段階評価方式を用い、ランキングの結果を以下のようにグルーピングし、評点を付した。
| 第1位 ~ 第4位 | ・・・・・ | 10点 |
| 第5位 ~ 第9位 | ・・・・・ | 9点 |
| 第10位 ~ 第14位 | ・・・・・ | 8点 |
| 第15位 ~ 第19位 | ・・・・・ | 7点 |
| 第20位 ~ 第24位 | ・・・・・ | 6点 |
| 第25位 ~ 第29位 | ・・・・・ | 5点 |
| 第30位 ~ 第34位 | ・・・・・ | 4点 |
| 第35位 ~ 第39位 | ・・・・・ | 3点 |
| 第40位 ~ 第44位 | ・・・・・ | 2点 |
| 第45位 ~ 第47位 | ・・・・・ | 1点 |
そして総合ランキングは20項目の評点の平均値が最も高い都道府県を第1位とし、最も低い都道府県を第47位とした。
なお要因分析においては、ランキング結果を総合評点により「高成長県」・「中成長県」そして「低成長県」と3つにグルーピングしてある。
6.調査研究の期間
調査研究の期間は2006年2月~4月
7.調査研究のスタッフ
調査研究は、アタックスグループのアタックス調査研究事業室のスタッフが、法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科(MBA)教授(静岡文化芸術大学教授)であり、当社顧問の坂本光司研究室と共同で行った。
Ⅱ.調査研究の結果の概要
1.総合ランキング
20項目それぞれのランキングに、10段階評価に基づく評点を付し、その評点合計を20で除して平均評点を求めた。そして、その高い順に第1位~第47位とランキングを付した。
この結果、過去およそ10年間の「20の指標からみた経済成長力」が最も高かったのは、沖縄県の8.8点、第2位は福岡県の7.5点、第3位は滋賀県と宮崎県の7.4点、そして第5位は愛知県と鹿児島県の7.2点等と続く。
逆に最も低かったのが、和歌山県の2.9点、第46位が山口県の3.7点、第45位が秋田県と大阪府の3.8点、そして第43位が富山県の4.1点等と続く。
ちなみに、東京圏では東京都が6.2点で第19位、神奈川県が6.5点で第13位、埼玉県が6.6点で第11位、そして千葉県が7.0点で第8位であった(図表2)

なお、今回のランキング結果を平均評点が6.5点~を「高成長県」、平均評点5.0~6.4点を「中成長県」そして平均評点が4.9点以下を「低成長県」と、3つにグルーピングして日本の地図上にプロットしてみると、「高成長県」は千葉県、埼玉県、神奈川県、茨城県、栃木県そして群馬県等、関東内陸部、とりわけ北関東に位置する県や愛知県、滋賀県そして三重県等、愛知県の西地区の県、さらには福岡県、宮崎県、鹿児島県そして熊本県等、長崎県を除く南九州地区の県と沖縄県である。
一方、「低成長県」は和歌山県、大阪府そして京都府等、大阪府とその南北に位置する県や中国地区の全ての県と四国地方の瀬戸内海に位置する県、さらには山形県と石川県を除く日本海側に位置する県に集中しているのが分かる(図表3)
| 高成長県 平均評点6.5点~ |
沖縄、福岡、滋賀、宮崎、愛知、鹿児島、熊本、茨城、千葉、栃木、埼玉、三重、群馬、神奈川 |
|---|---|
| 中成長県 平均評点5.0~6.4点 |
北海道、奈良、宮崎、大分、東京、佐賀、青森、岩手、静岡、徳島、高知、山形、長野、山梨、兵庫、石川、福島 |
| 低成長県 平均評点4.9点~ |
島根、鳥取、愛媛、岐阜、香川、広島、岡山、長崎、京都、新潟、富山、福井、大阪、秋田、山口、若山 |
総合ランキングが第1位となった沖縄県は、製造品出荷額増加率が第29位、工場立地件数が第43位、労働者現金給与総額増加率が第47位と伸び率が低かったものの、第1位となった項目が12あったのをはじめ、他の大半の項目が上位にあり、この10年間の総合的な伸びが示されている。
総合ランキングが第2位となった福岡県は、県内総生産増加率が第41位、製造品出荷額増加率が第31位そして労働者現金給与総額増加率が第40位と低位であったが、他の項目は総じて高位にあり、やはりこの間の安定した高い伸びが示されている。さらに総合ランキングが第3位となった滋賀県は、農業産出額が第39位、サービス業事業所増加率が第32位そして労働者現金給与総額増加率が第31位と低位であったが、人口増加率と民営事業所増加率がともに第1位であることをはじめ、総じて項目が高位であった。
一方、総合ランキングが第47位と最も低かった和歌山県は、県内総生産増加率が第12位、製造品出荷額増加率が第14位と中位であったが、他の大半の項目は30番台~40番台と低調であった。また総合ランキングが第46位であった山口県は、製造品出荷額増加率が第4位と高位であったが、他の大半の項目は低調であった。さらに総合ランキングが秋田県と並び第44位であった大阪府は、有効求人倍率が高まり第5位、新設事業所比率(開業率)が第4位と高位であったが、他の大半の項目は低調であった。
III.まとめ
- 過去10年間の47都道府県の経済成長力は、近年の企業の業績と同様、一様ではな く大きくばらついている。
- この10年間の経済成長力の格差は、かつてのような三大都市圏と地方圏、とりわけ東京圏と東京圏から遠く離れた地方圏といった格差ではなくなってきている。
- この10年間、総合成長力が高かったのは、東京圏及び北関東地区、愛知県及びその西地区の県、そして長崎県を除く九州・沖縄地区の県である。
- 逆にこの10年間、総合経済成長力が低かったのは、大阪府及びその南北地区の県、 中国・四国地方の瀬戸内海地区の県、そして山形県と石川県を除く日本海側に位置する県である。
- 高成長県、中成長県そして低成長県と各項目との相関をみると、労働者1人当たり 現金給与総額増加率を除き20項目中19項目で明確な相関が示されている。
- 高成長県に共通してみられる特徴は、事業所、農業、製造業、小売業、卸売業、飲 食店、サービス業従業員100人以上企業、高額所得法人そして有効求人倍率といった産業に関する項目の増加率や減少率あるいは水準値が中成長県や低成長県を大きく上回っている点である。
- 高成長県と中成長県そして低成長県のとりわけ決定的な違いは、製造品出荷額増加 率や工場立地件数といった工業関連項目や飲食店増加率、サービス業増加率、従業員100人以上企業増加率、高額所得法人増加率そして有効求人倍率増加率等である。
- つまり近年の地域間格差・都道府県格差は規模やロケーションではなく、地域の産業活力とりわけ魅力的な企業・就業空間の有無や、そのレベルといえる。
- 近年、47都道府県の経済成長力は、これまでのイメージを覆す、またかつての構図ではない新しい動きがみられ、中堅中小企業の拠点戦略や営業販売戦略の見直しが必要である。
- 近年、農業については沖縄県・栃木県そして鹿児島県、工業では大分県・三重県そして山形県等、小売業では沖縄県・長崎県そして熊本県等、飲食店では沖縄県・熊本県そして鹿児島県等、サービス業では沖縄県・愛知県そして東京都等、そして従業員100人以上企業については沖縄県・埼玉県そして奈良県等が注目県である。
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