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2009年11月22日
営業マネージャ(管理者)のためのコミュニケーション能力(ペーシング・ラポール・リーディング)
1.営業マネージャのコミュニケーション能力について
筆者は、これまで数えきれないほどの営業会議に参加してきました。従業員が数万人規模の大企業から、家族で経営されているような中小企業まで。規模や業種に関係なく、多くの企業の営業会議にオブザーバー参加しています。
その営業会議の中で、よく目の当たりにするのが、上司がひとりで話している会議です。会議中だけでなく、日ごろから上司だけが考え、上司だけで結論を出し、上司が指示ばかりしている、そんな営業マネージャがいかに多いことか。対する部下は、自分で考えて問題を解決するという習慣が身についていません。これは大変大きな問題ですが、営業マネージャの皆さんにしてみると、なかなか改善点が思い浮かばないようです。
上記のような営業マネージャは、部下に対して一方的に話をしてから「何か意見あるか?」と聞きます。しかし部下たちは誰も答えません。返ってきたとしても「部長の言うとおりです」という期待はずれな返答のみ。
部下から反応があろうとなかろうと、自分の言いたいことを部下に伝えたのだから、正しく伝わっているだろう。問題ないじゃないか。そのように営業マネージャ自身は感じ取っているかもしれません。しかし実際に部下が期待通りに行動してくれるかというとそうでもないのが現実です。言っても言っても行動が変わらない部下。行動が物足りないという部下はどこの企業にもいます。
それでは、営業マネージャは部下に対してどのようなコミュニケーションをすればよいのでしょうか?
2.正しい「指示」よりもまずは「信頼関係」
人間は「安心・安全の欲求」があると言われています。これは「生存欲求」からくるものです。既知のものに対しては安心を覚え、未知なものに対しては不安を感じるものです。そのため相手の指示や命令が正しいか正しくないかで、その指示や命令を理解/納得するのではなく、相手自身が自分にとって信頼のおける人間であるのか(安心欲求を満たす人間であるかどうか)が判断の基準になってしまいます。
このように、人間関係において重要なことは、人と人とのあいだにラポール(=信頼関係)が構築されているかどうかです。これによって、人の行動や意識は大きく左右されるということを覚えておかなくてはなりません。たとえば、同じことを言われても、A課長から言われると疑うことなく従うのに、B課長から言われると何となくストレスを感じる、もしくは反発したくなる、こういうことはよくあることです。それは部下の「意識の問題」だと片付ければ簡単ですが、これでは根本的な問題から目を背けているとも言えます。人間は感情の生き物であるということを頭に入れておかなければなりません。それでは次に、どのようにすれば部下と「ラポール」を構築できるのか解説いたします。
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3.信頼関係を構築する基本的なテクニック
部下とラポールを構築するためには、まず相手とペーシングする必要があります。ペーシングとは、相手との「ペースを合わせる」という意味です。
上司が部下に対して一方的に話すのはナンセンスです。日ごろから部下の言葉に耳を傾けるのは当たり前です。しかしながら、ただ耳を傾けるのではなく、相手のペースに合わせることを心掛けましょう。まずは「受け止める」ことです。「受け入れる」ことはしなくてもいいですから、部下が話していることはまず受け止めていきましょう。「受け入れる」と「受け止める」との違いを例で示して説明します。
・【受け入れる】の例
「新規開拓をする意味がわかりません」
→ 「そうだな。確かに意味がわからないよね」
・【受け止める】の例
「新規開拓をする意味がわかりません」
→ 「なるほど。新規開拓をする意味がわからないというんだね」
・【受け入れ】も【受け止め】もしない例
「新規開拓をする意味がわかりません」
→ 「何を言ってるんだ。皆で期首に決めたことじゃないか」
違いを理解していただけたでしょうか。
さらに、相手の話を【受け止める】のに、効果的なテクニックをここでお伝えします。それが「バックトラッキング」です。意味は「おうむ返し」のことです。前述の例の通り、相手が言ったことをそのまま繰り返し、質問形式で投げ返すというもの。短気な上司は、部下の発言にすぐ反応してしまい、言わなくてもいいことをついつい口にしてしまうことがあります。それを抑制し、感情のコントロールをしやすくできるのが、このテクニックのいいところです。
ラポールを構築するためには、自身の自尊心と向き合うことも重要です。感情のコントロールができないとうまくできません。
これは親と子供の関係と同じです。
子供は、自分自身がコントロールできない感情をうまく操る親を見て尊敬すると言われます。しかしそれができない親だと、当然のことながら子供は親を尊敬することができません。上司と部下も然りです。部下が上司に信頼を置くのは、自分では抑制できそうにない感情をうまくコントロールできるからといえるでしょう。親子との関係と異なるのは、上司も部下もどちらも「大人」であるということ。したがって上司はよりいっそう「感情」という厄介な存在を手なずけ、部下とのラポール構築を意識してコミュニケーションをとらなければならない、と言えます。
4.「不確実な」世界でのコミュニケーション
営業という職種は、常に「不確実な」世界に身を置いています。
上司が決めたこと、自分自身が決めた行動計画をきっちり実行すれば結果がついてくるかというと、そうとは限りません。結果が出るかどうかわからない中で試行錯誤を繰り返す、「へこたれることなく」続ける努力が必要なのです。
そういう中で、上司と部下とのコミュニケーションは極めて重要です。部下は何に拠り所を置いていいかわからないのに、上司自身に対して信頼をもてないようでは強いストレスを感じるからです。
営業一筋20年・30年の課長職・部長職の方々は、「部下を動かすためには、まずラポールの構築」と言われても、拒絶反応を示すかもしれません。ご自身が部下だったとき、上司からそのような姿勢で接してもらっていない方がほとんどでしょうから。しかしながらこのスピードの時代、遠回りだと思っても、部下との信頼を築いてから指示を出していったほうが、結果的に部下の行動変化に対するスピードは速くなる、ということを覚えておいてください。













