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2008年10月04日
★ なぜ、営業に「モチベーション」ばかりを問うのか? (コラム)

先日、営業のモチベーションアップに関するセミナーを人数限定で企画したところ、3日で満員御礼となった。マネージメント手法や管理ツールに関するセミナーよりも、経営者やマネージャからの関心度合いは高いようである。


実際に「営業に問題を抱えている」と相談に来られる経営者の多くが、問題の一つに「モチベーション」を口にする。営業のモチベーションが低いから適切な営業活動がなされず、売上/利益が上がらないという理屈だ。
しかし本当に問題はモチベーションなのだろうか? その向こう側にある本質から目を背けてはいないだろうか?


私は昨今、セミナーでこういう「例え話」をする。


ある夏の炎天下、「A地点」に私の子供が車の中に閉じ込められた。通報が入るが、私がいる場所からA地点までは車で5時間程度かかるほどの距離がある。子供はまだ生後まもなく、自力で脱出することができない。炎天下では車中の温度は30分程度で70度ぐらいまで上昇し、すぐに手を打たなければ命が危ない。


たまたま自社の支店がA地点から車で15分程度の場所にあり、私の部下が数名そこで仕事をしている。当然のことながら、私は支店へ電話し、部下に指示を出すであろう。
「車で15分ほど行ったところに子供が車に閉じ込められている。行って助けてくれないか!」


もし部下の体に赤い血が流れているのなら、全員で協力してその地点に向かうであろう。手段を考え巡らせている暇などない。支店を飛び出し、通りかかる車を止め、事情を説明して現場へ向かうはずだ。そこに彼らの「モチベーション」など介在しない。


無事に我が子が助けられたら、私はどんなにお礼をしても足りないだろう。もし部下に対して過去、わだかまりがあったとしてもすべて忘れて感謝するだろう。それが人間というものだ。しかしもしもこのシチュエーションで「私」が、現場で何が起こっているのかを相手に伝えず、


「A地点に車で15分以内に行ってくれないか。17分かかってはダメだ。15分で行くんだぞ」
と言ったら、部下はどう反応するだろうか。また、
「A地点へ15分で行ってくれたら1000円やろう。だから今からすぐ向かってくれ」
と言った場合はどうだろうか。


部下はすぐさま行動するだろうか。行動しなければ金額をあげればいいのだろうか。まさにモチベーションに左右されるかもしれない。

今回の記事で取り上げられている「エンゲージメント」は、まさに「目指す先に何が待っているのか」という事実をお互いに共有することである。それを明確にイメージさせることで、社員は「求められている以上に意欲的に働く」のだ。


記事には「意識向上を社員の自発性に依存するのはリスクがある」とあるが、まさにそのとおりである。自発性を促すためには、経営者として絶えず発信していかなければならない言葉がある。その言葉には、魅力度/重要度/緊急度の高いものを載せてほしい。


営業利益率や業界シェア等の目標のみしか伝えていなかったり、評価やインセンティブで従業員を動かそうとしているのは、たとえ話でいえば、「15分で行け」「1000円あげるから」と言っているのと同じなのかもしれないからだ。


<参考記事>
「職場に一体感 高まる活力」8月27日(水)日本経済新聞 朝刊

 
 
 
 
アタックス 営業ソリューション室 室長 横山信弘  [米国NLP協会認定マスタープラクティショナー]
 

2008年10月04日 05:01